第18話 魔族と天使族

第18話


魔王が告げる真実は到底信じられない様な物ばかりだった。


しかも、それがまだ続くという。


『そもそも、我等は異世界の太陽系第3番惑星■■■■と呼ばれる星に済む創造主が作り出した人工創世生物でのう、とある命令でこの世界、この場所に降り立った。』

「とある命令?何だ、それは?」

『忘れた。』

「はぁ!?」


マジか、マジかよ、お前!?


『すまん、この地に降り立ってからも含めて数兆年も経っておるからのう。辿り着くまでが本当に長かった………』


だから、ババアみたいにボケたってか?


『酷い心象じゃのう、間違いないのが余計に腹立つわい………まぁ、一つだけ覚えておったのは【この世界に命を齎し、支え続けろ】という事だけじゃった。』

「それでお前達は魔王と女神に?」

『そうじゃ。まぁ、我らをそう呼ぶ様になったのもお前達の様な意思疎通の出来る個体が生まれてからじゃがのう………』


しかし、こいつ等の創造主は何がしたかったのだろうか?


何となく嫌な予感がするので、聞くのは止めておくのだが、少し気になった。


『それでの、ジャンケンで担当を決めて我が滅亡の担当になった後は、それを手伝う存在として魔族を生み出した。』

「あんた、経産婦なのか?」

『言い方よ………いや、我が孕んで産んだ訳ではない。愚妹が生み出した生物を改造したサイボーグみたいな物じゃな。』


サイボーグ?


何じゃ、そりゃ………


『お主ら風に言うと、生物とゴーレム魔導人形の複合体じゃな。』

「成る程、化け物だな………」

『滅びの化身の様な物じゃからな………』


そりゃそうか………


でも、今の魔族は魔族ではなく………


「じゃあ、天使族は何なんだ?」

『天使族は愚妹が繁栄させた生物達を導き、守護する為に生み出した物じゃな。因みに、魔族とは違って交尾できるぞ、ズッコンバッコンな。』

「いや、前者は兎も角後者のそんな情報は要らねぇよ。」


それを教えて貰ったからといって、俺が何すりゃ良いって話よ。


『それもそうじゃな。で、我も理由は知らぬが天使族の奴が魔族のフリをしていた。おそらくは、今の魔族の殆どは天使族が魔族を騙っている可能性がある。』

「で、俺はそいつ等に襲われ続けると言われたな。」

『奴等が狙うと言うのなら、間違いなく愚妹もお主を狙っておるじゃろうな。お前さん、一体何したんじゃ?』

「それは俺が一番聞きたいわ!!」

『じゃろうな………』


少しの間、魔王は考え込む様に黙り始めた。


そして………


『まっ、その内に理解わかるじゃろ。今はそいつ等に対抗する為の事を考えるのが先決じゃな。』

「えぇ、そりゃそうだが………」

『よし、思い立ったが吉日じゃ!ほら、構えろアーク!』

「はぁ、急に何を!?」

『此処は我とお主の精神世界!精神に負荷はかかっても、肉体は無事じゃ!』

「前者に嫌な情報が聞こえたんだけど!?」


それって、大丈夫じゃないよね!?


『……………大丈夫じゃ!』

「おい、今の間は何だ魔王!?」

『一々煩い!喰らえ、アーク!!』


憤怒の拳レイジ・インパクト


「正気か、テメェ!!!???」


背景、死んだ母へ。


今、俺は猛烈に魔王に助けて貰った事を後悔しています。


天使族に色々されるより先に、俺は魔王に何とかされそうです。


「おお、上手く避けたのじゃ!なら、次はコレで行くぞ、アーク!!」


憤怒徹甲弾レイジ・ディストラクション


「ハーゲンティにトドメ刺した技を人間に使ってんじゃねぇぞ、クソババア!!!???」


あ、やべ、消しと─────


続く

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