第2章 憤怒
第17話 魔王と女神
第17話
ハーゲンティを魔王の力を借りて退けたアーク。
彼等はハーゲンティが作り出した黄金の路を道標に、次の町へと向かっていた………
向かっていたのだが………
「か゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!???
焼ける、身体が焼けていく!!!???
み、水を!
だ、誰か水を─────────
『落ち着け、アーク。』
「お、落ち、落ち着ける訳ないだろ!!!どれだけ俺が熱いと、熱いと─────あれ?」
いつの間にか、焼ける感覚が無くなった。
皮膚を焼く炎の熱さも、焼けていく度に鋭く刺す様な痛みも引いている。
しかも、身体をよく見ると火傷どころか、全くの無傷なのだ………
一体、コレは………
『人の身で我の力を使った反動じゃろう。そもそも、コレは神の力じゃ。人間ごときの肉体で扱える物ではないのじゃ。』
「何つー力を俺の身体で使ってるやがるんだ!?でも、そのお陰で助かったのでありがとうございます!!」
必要経費だな、うん………
でも、これから逃げ続けるって事は………
『何度も使う羽目になるじゃろうのう。』
「ですよね………」
────そもそも、今の俺は知らない事が多すぎる。
俺を助けてくれた魔王の事、俺を襲って来た魔族のフリをした天使族という奴………
────そして、ミリスの事。
『そのミリス、聖女の事は管轄外じゃが、他の事については教えてやるぞ。ほら、少し目を閉じるんじゃ。』
「目?別に良いけど………」
☆☆☆☆☆☆
『もう開けても良いぞ。』
「ああ────って、此処は何処だ!?」
目を開けた瞬間、景色が一変していた。
何かドロドロした闇みたいなのが広がっており、正直不快感が凄い。
『言うな、ソレに関しては我も気にしとるんじゃ………』
そうなのか、なら聞かない事にしよう………
『それで良い。………改めて、自己紹介をしようか、我はイリス・インディゴ。かつて、この世界に存在した初代にして最後の魔王じゃ。』
あの時も思ったが、最初で最後とはどういう事だ?
額面通りに受け取れば、この世界にはもう魔王が存在しない事になるぞ?
『勿論じゃ。今の魔王は間違いなく我を騙る偽物、バッタもん、詐称者じゃ。』
「じゃ、じゃあ、今までの魔王との戦いはどういう事なんだよ!?俺とミリスが離れ離れにされた元凶は、一体何なんだ!!??」
『知らん!!』
「なっ、ふざけんな!!!」
そんな答えで納得できる訳がないだろ!!!
『落ち着け。じゃが、それを裏で手を引いてる奴なら分かるぞ。』
「なっ、それは誰だ!!」
『お主等が崇める女神、クソッタレの愚妹なアリス・スカーレットじゃ。』
は、はぁ!?
何で女神様がそんな事を!!??
ていうか、魔王の妹なの女神様!!??
いや、それ以上に────
「それは巫女様の名前だぞ、魔王。」
『恐らくじゃが、アリスの奴等が巫女にそう名乗らせてるんじゃろうな。我が生きてた時もそんな戯れをしておったし………』
そ、そうなのか………
まぁ、無いよな………
巫女様が女神様本人ってのは………
『まぁ、何かしらあの愚妹が関わっとる事は間違いないじゃろう。あの時もそうじゃったからのう………』
「あの時?」
『ああ、我や我の部下である魔族を、異世界から呼び寄せた勇者によって皆殺しにされた時の話じゃ。当時は愚妹の正気を疑ったもんじゃ。世界の均衡を崩すのかとのう………』
「世界の均衡?」
何じゃ、そりゃ………
『知らぬのか?いや、情報統制をしたのか、伝え継ぐ奴等が消滅したのかものう。』
そう呟き、魔王は少し考える素振りを見せる。
そして、少しずつ話してくれた。
『我と愚妹は勇者と同じ異世界から来た存在なのじゃ。そして、降り立った世界、その土地に繁栄と滅亡を齎す存在として君臨し続ける事。それが我等が創造主による命令だったのじゃ。』
──────────────────は?
『頑張って着いてくるのじゃぞ、アーク。そして、我が滅亡、愚妹が繁栄を担当する対の存在として在り続けたのじゃが、先の件で均衡を愚妹の方からわざわざ崩したのじゃ。まぁ、今の所は安定してるみたいなのは、ちょっとだけホッとしたがのう………』
────頭がどうにかなりそう何だけど!?
『まだ続くぞ、アーク。』
続く
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