幕間1 産声を聞いた者達

幕間1


アリスside


「はぁ、ハーゲンティはまだでしょうか?」


あの子なら直ぐに見つけて連れてこれるでしょうに………


確かに戦う力は下の下でしょうが、今のアーク様は普通の人間。


楽に拐えるでしょうし、戸惑う事もない筈なのですが………


「────────────────は?」


──────ハーゲンティの反応が消えた!?


嘘、死んだ!?


まさか、アーク様が!?


いや、有り得ない!!


今のアーク様がハーゲンティに勝てる可能性なんて万が一………


「まさか………」


嫌な想像が頭を過ぎった。


想像通りだとしたら、アイツならやりかねません。


「あ゛あ゛、クソが!!上手くいってたのに!!これまで頑張ってきたのに!!どうして世界は私達の恋路を邪魔するのですか!!!???」


仕方がないですね、もう形振り構わず行きましょう。


ここら辺一帯のアーク様以外の生命体を全て消し飛ばして………


「あの………」

「─────はい、何でしょう?」


誰ですか、こんな時に私とアーク様の愛の巣を訪ねてきたゴミは………


「………アークは大丈夫ですか?」

「ああ、ミリスさんですね。アーク様は大丈夫ですよ。そもそも、お怪我は貴方が治して差し上げたじゃないですか………」

「でも、心配で、一目見たくて………」


はっ、バカげた話ですね。


アーク様がああなったのは、貴方が出した結論のせいじゃないですか。


本当に愚かな娘………


「………あれ、アークは?」

「先程目覚めて、散歩に行きましたよ?少し冷静になりたいそうです。」

「そう……なんです………ね……………」

「ええ。」


本当は少し逃げられただけなんですけどね。


まぁ、何れ私の元へ必ず帰って来るんですけどね。


「うぅ、私、私………」

「ミリスさん、此処には私達二人しか居ないのです。どうか、我慢なさらず。この私に色々と吐き出しても良いのですよ?」

「あ、ありがとうございます!!私────」


────ああ、仲間ごっこは本当に大変ですね。


☆☆☆☆☆


ハーゲンティside


────ああ、行きましたか。


まさか、本当の魔王が復活した上に、私が破られて死ぬとは………


役目を果たせなかったのは残念ですが、アーク様を快く見送れた事は良かったと思いましょう。


「ねぇ、何があったの?」


────貴方ですか、フェネクス。


「うん、僕だよ♪ねぇ、何でそんなに死にそうになってるの?」


死にそうではなく、間もなく死ぬのですよ。


後、不真面目な貴方には教えてあげません。


「ちぇ、酷いなぁ………」


自業自得です………


「そうだ!君を送る鎮魂歌でも歌ってあげようか?」


滅びの歌は止めてください。


「本当に酷い!?何で3ターン後に死んじゃう技扱いなの!?」


貴方、音痴じゃないですか………


某ガキ大将と良いレベルですよ………


「そんな!!??」


相変わらず喧しい人────でも、お陰で寂しくなくなりました。


「そう、なら良かった!────もう、時間なの?」


はい、さようなら────────────


「うん、バイバイ。」


☆☆☆☆☆


???side


「この力、この気配は………」



何度も、何度も側で感じてきた物だ。


という事は、間違いなく………


「復活したか、魔王!!」


成る程、再びお前の物語が始まったんだな!!


なら、な俺も動き出すとしよう!


「待ってろよ、魔王………いやイリス!!」


続く

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