第15話 魔王の力
第15話
魔王、お前魔王なのか!?
『ああ、我は魔王だ。最初で最後のな。』
いや、そんな訳ないだろ!?
千歩譲ってお前が魔王としよう。
なら、今暴れてる魔王や魔王軍は何になるんだ!!??
『その話は後にするぞ、アーク。今は其処のコスプレ女を倒すのが先決じゃ。』
くっ、それもそうか………
────というか、コスプレって何だ?
『ああ、まだこの言葉は普及しとらんのか。変装という意味じゃ。』
成る程、そうなのか………
「話は済みましたか、魔王を騙った上にアーク様に取り憑いた愚か者?」
『愚者はお前さんじゃろ、コスプレ女。それとも何か、金メッキの様に知能も薄っぺらいのかのう………?』
「────成る程、貴方はどうやら死にたいみたいですね。」
『ブーメランじゃぞ、コスプレ女。』
そんなに煽って大丈夫なのか?
何か金に変わった地面からウネウネした蛇の様な金の塊が複数出てるんだけど………
『大丈夫じゃぞ、安心せいアーク。今の我は全盛期の1割未満の力じゃが………』
えっ、1割未満って………
「金に染まり、金に溺れて死になさい、愚か者!!」
そうハーゲンティが叫んだ瞬間、四方八方から金の塊が襲い来る。
だが、魔王は落ち着いた様に避けていく。
『ははエイムが酷いぞ、コスプレ女。創るのが上手くても、攻めるのが下手じゃ意味が無いと
コイツ、凄い………
俺は戦いの素人だが、それでもそう思う位に魔王の戦いは凄かった。
四方八方から襲い来る金の塊を、僅かな動きで躱し続けているのだ。
しかも、ノンビリ鼻歌まで歌ってやがる。
マジかよ………
『マジじゃぞ、これ位なら止まってるのも同然じゃわい。』
「くっ、これならどうだ!!!」
このままの攻撃だと意味が無いと悟ったのか、ハーゲンティは攻撃方法を切り替えてきた。
まず、魔王を金で創った円で囲み、覆い被さる様に狭めていく。
しかも、何か内側に金の棘まで付いてるじゃねぇか!!??
『範囲攻撃か、考えたのう………じゃが、苦し紛れの愚策じゃな。』
そうハーゲンティを魔王は嘲笑った。
そして、俺の腕に青色の炎を灯し始める。
全く熱くないな、どんな原理なんだ?
『さぁ、魔王の力をほんの少しだけ見せてやるぞ、コスプレ女。光栄に思うがよい!!』
【
そう叫んだ瞬間、金が吹き飛んだ。
いや、違う!!
これは吹き飛んだんじゃなくて────
「私の金が………燃やし尽くされた!?」
『これ位なら些末な事よ。じゃあ、さっさとその見苦しい化けの皮を剥がせて貰うぞ?』
魔王が俺の手を何かを薙ぎ払うかの様に振るう。
それと連動するかの様に炎の衝撃波が巻き起こり、目の前が全て吹き飛んでいく。
こ、これで1割未満とか酷い冗談だ………
『どうだ、化けの皮は上手く脱ぐ事が出来たかのう?』
「ぐっ、はぁはぁ、アーク様には見せたく無かったのですがね………」
吹き飛んでなかったのか、ハーゲンティの奴………
というか、あの姿は………
『相変わらず気味が悪い位に真っ白じゃな、天使族。』
「私達は純粋無垢が売りですからね………」
天使族!?
天使族って何だよ!?
あれ、突然変異で白くなった魔族って訳じゃないのか!?
『アルビノな魔族は居ないぞ。もし、居たとしても灰色がかった魔族しか生まれんと思うのう………』
アルビノはよく
『ああ、我等魔族とは真逆な存在であり、我等とはある意味同じ存在………それが天使族じゃ。』
「成る程、それを知っているという事は、貴方は本当に魔王なのですね………」
『最初からそう言ってるであろう?まぁ、冥途の土産で教えてやっただけじゃがのう。』
【
そう叫び、魔王は空を蹴り上げた。
そして────
「ああ、コレは駄目………ですね…………」
ハーゲンティの腹には空洞が生まれていた。
その穴は完全に焼け切れていて、見てるだけで吐きそうになる位に痛々しい。
俺でも
『勿論、我らの勝ちじゃ。』
続く
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