第13話 追っ手と何かの兆し

第13話


アリスside


「まぁ、今はゆっくりアーク様の家を堪能しましょうか。」


それ位の余裕はあるでしょう。


そう思いながら、辺を見回す。


やはり、最初は………


「ベッドにダ〜イブ♪うん、これこれ♪」


先程までアーク様が寝ていた場所に、私も寝転がる。


うん、凄く良い。


アーク様の匂いが充満してて、アーク様に包み込まれているみたいだ。


「はぁ………幸せ…………」

「何をしてるんですか、アリス様?」

「────何ですか、ハーゲンティ?」


アーク様を堪能している至福の時間を、私の部下ごときが邪魔をしに来ました。


万死に値するのではないでしょうか?


ああ、それしかありませんね。


では、早速………


「アリス様、あのお方を追わなくて宜しいのですか?」

「心配は無用ですよ、ハーゲンティ。ひさ、初めて会った時に色々仕込みましたから。手に取る様に………」


────あれ?


「と゛う゛し゛て゛!?何でアーク様の場所が分からないの!!??」

「いや、先程あのお方に貴方が全力で聖眼を使ったからでしょう?そういう系統へと割振る魔力が尽きかけてますよ?」

「はっ!」


しまった!


後先考えずにやり過ぎてしまいました!!


でも、どうした物か………


場所が分るのなら直ぐに迎えに行くのだけど、分からないなら私は無闇に動けないですし………


「仕方ないですね………」

「アリス様?」


持つ力は使うべき時に使わなければいけませんからね………


として命じます。アーク様を私の元へと連れて帰りなさい。」

「────了解しました、アリス様。」


はぁ、本当に疲れます………


此方でもあちらでも堅苦しい役割ばかりとは酷い話です。


二足の草鞋を履く私を癒やしてくれるアーク様は居ませんか?


☆☆☆☆☆


アークside


「はぁはぁ、何なんだアレは………」


未だに動悸が収まらない。


纏わり付いた違和感が、今も俺を苛んでいるかの様だ。


「しかし、後先考え無さ過ぎたな………」


気が付けば、森の中に居た。


近くの森だろうから、直ぐに村へと戻れるだろう。


だが………


「戻りたくねぇなぁ………」


戻れば否応無く面倒な事や嫌な事が待ち受けているだろう。


ミリスに会いたいが、今の俺が冷静になれるとは思えない。


それに、何となくアリスさんにも会いたくない。


「どうした物か………」

『■ーク………』

「────ん?」


今、何か………


『ア■ク、アー■………』

「なっ!?やっぱり、何か聞こえる!?何処だ、一体何処から!!??」


その問いに答える者は誰も居なかった。


しかも、無視するかの様に謎の声は次々と響いていく。


『アーク、■■ク■ゲ■。』

「さっきからマジで何なんだよ!!一体、お前は何を言って───────────は?」


そう叫ぼうとした瞬間、


そうとしか言い様が無かった。


何故なら………


「────金?」


辺り一面が金色に光り始めた。


恐る恐る触ってみると、金属みたいに堅くなっていた。


やっぱり、これはお偉いさんや金持ちが好きな金なのか?


でも、何でいきなり………


『ニ■ロ、ア■■!』

「げっ、コレもまだ続くのかよ!?」


もうこちとら手一杯だぞ、コラ!?


『ニゲロ、アーク!』

「はぁ、逃げろ!?一体、誰から────」


聞き返そうとした瞬間、俺の身体が宙に浮いた。


────いや、違う。


これは誰かに………


「迎えに来ましたよ、アーク様。」


────俺は誰かに抱きかかえられていた。


それだけならまだ良かった。


良くはないが、まだ許容範囲内だった。


でも、は無い。


だって、コイツは明らかに………


「ま、────!?」


続く


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