第7話 行ってきます

第7話


巫女様から定められた期限の3日は、直ぐに過ぎていった。


色んな事を話し合ったが、ミリスは聖女様になる事を決めた。


俺は村に残って彼女の無事を祈り、帰りを待つ事となった。


本来なら逆な様な気もするが、俺は何の力も無いので仕方のない事だろう。


まぁ、ちょびっとだけ辛いが、我慢して笑顔で送り出そう。


「決断していただきありがとうございます、ミリス様。アーク様。」


遂に巫女様の迎えが来た。


しかし、あの時の騎士様達は居なかった。


一体、何が………


「ああ、大丈夫ですよアーク様。彼らが居ると邪………話が拗れそうなので村の外で待機させてます。」

「「ああ、成る程………」」


まぁ、正直面倒そうだからな………


「────ふぅ、これから宜しくお願いします、巫女様。」

「はい、一緒に頑張って勇者様と共に魔王を倒しましょう!!」


と、ミリスの手を握ってブンブン振る巫女様。


何かあの人、位の割に天真爛漫というか、身近な感じだな………


「巫女様、どうかミリスを宜しくお願いします。」

「ええ、勿論です。私にお任せください、アーク様。命に代えても頑張りますわ。」

「巫女様────ありがとうございます!」


本当に良い人だな………


まぁ、この様な人じゃなきゃ、巫女様になんてなれないのだろうが………


「じゃあ、アーク………行ってきます!」

「ああ、行って来い!そして、ちゃんと戻って来るんだぞ!!」


お互いに別れを告げる。


────再び会えるという希望を胸に。


「アーク様!魔王を倒した後、私とも再び会いましょう!!」

「ええ、楽しみにしてますよ巫女様!!」


彼女は振り向かず、巫女様と真っ直ぐ進んでいった。


俺は此処に留まり、その姿を見続けた。


「必ず帰ってこいよ、ミリス………」


彼女の姿が見えなくなった数分経った後、ようやく俺はその場を離れる事が出来た。


明日から彼女が近くに居ない日々が始まると思うと、気が重くなる。


「───アーク様。」

「えっ────」


☆☆☆☆☆


???side


「よく出来ましたね、アーク様。」


貴方はちゃんと答えを間違える事なく、正しい答えを出せました。


これはこのご褒美です。


「次に会う時は起きている時にしてあげますね、膝枕。」


しかし、何度見ても、何時までも変わらない程の可愛らしい寝顔だこと………


「食べたい………おっと自制しなければ。私はそこら辺に転がっている発情猫ではないのですから。」


でも、これを見れば道を踏み外す気も理解わかる気がしますわ………


「────そろそろ時間ですね。では、失礼して………」


寝ているアーク様の唇に、そっと自分の唇を重ねる。


「必ず戻ってきます。必ず貴方に逢いに行きます。だから、待っててくださいね。それまではちゃんと、あの駄聖女は守りますから。」


アーク様の唇を味わった私は、彼にそう告げる。


ちょっと調子に乗って頬にもキスマークを付けちゃったけど、許してくださるでしょう。


「では、改めまして………行ってきますねアーク様♪」


貴方の巫女、私ことアリス・スカーレットは貴方との未来の為に頑張りますね♡


続く

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