第3話 突然と必然の別れ①

第3話


「そうか、お前が………いや貴方様が聖女様なのですね………」


村人達を掻き分け、騎士様達がミリスの元へと向かってくる。


そして、膝を着き、忠誠を誓うポーズまでしてくるではないか。


ああ、もうコレはどう足掻いても、どう誤魔化しても無理そうだな………


「えの、あの、な、何で、わ、私が聖女様なんですか!?そ、それに、私には────」


ミリスが不安そうに此方へ顔を向けてくる。


全く、普段から勇者様達の事を楽しそうに話してくる癖に………


────でも、少し嬉しい俺も居た。


こんな凄い状況でも俺を頼ってくれるなんてな………


何が出来るかは理解わからんが、やれるだけやってみるか………


「あの、騎士様?」

「何だ、貴様?我らは聖女様に用があって来た。お前の様な奴には用は無い。さっさと消え失せろ。」

「本当ならそれが正しいんだろうな。でも、コイツは俺の恋人だ。まず、俺にも話を通すのが筋なんじゃないか?」

「アーク………」


俺がそう言った瞬間、騎士様達から剣呑な気配が飛んできた。


おいおい、守るべき民にそんな殺意向けるんじゃねぇよ………


こんな辺鄙な村に住んでる俺ですら理解わかる事だぞ、コレ………


「邪魔をするという事で良いのか、貴様?」

「どうだろうな?今直ぐに無理矢理にでも連れて行くって言うなら考えなくもない。」

「そうか………」


さて、コレで納得してくれ────


「────なっ!?」


────何故か、俺の身体は一歩下がった。


そして、俺の身体が在った場所には、騎士様が振るう剣が在った。


こ、この野郎………!!!


「テメェ、殺す気かよ!!??」

「無論だ、邪魔をする奴は斬り殺す。」


何て無茶苦茶な野郎だ!!??


都会じゃ、こんなんでも騎士様になれるってのか!?


────はぁ、仕方ない。


なら、俺もコイツを─────


「止めなさい。」

「なっ!?」

「えっ、だ、誰だ、お嬢ちゃん!?」


覚悟を決めた瞬間、目の前に小さな女の子が現れた。


フワフワな服を着ていて、凄い高そうな杖を騎士様に向けている。


で、俺に向けては掌を。


まぁ、何か掌の中心に変な物が集まってるから凄い怖いんだが………


「やり過ぎですよ、騎士団長様。守るべき民に剣を向けるなど………」

「………申し訳ありません。」


そうだ、言ってやれ!!


「貴方もです!!何で数秒で覚悟決めて戦おうとしてるんです!?命を粗末にしない!!」

「す、すみません………」

「ちょっと、私にも何か言わせて!!」


詰められてた騎士様を嘲笑ってたら、俺の方にも来た件。


しかも、ミリスにまでも詰められたし………


いやぁ、美少女二人に詰められても怖いだけですね、はい。


人によっちゃご褒美になるかもしれんが、俺には無理だ………


「で、説教したり騎士様を止めてくれたのはありがたいが、お前さんは誰なんだ?」

「なっ、貴様!?この御方に何て態度を!?」

「黙りなさい、貴方が喋れば場が乱れて話が進みません。」

「くっ、申し訳ありません………」


もしかして、この女の子偉いの!?


「ふぅ、全く………申し訳ありませんね、騎士団長とあろう者が礼儀もなってなくて。」

「い、いや、何かコッチこそすみません。」


思わず謝ってしまった。


ちょっと可哀想になってきたしな、あの騎士様………


「………では、改めまして名乗らせていただきます。私の名はルイン・アークライト。女神様の声を聞き、女神様の意思を伝える巫女様です♪」


と、物凄いキメ顔で彼女はそう言った。


────ちょっと怖い、俺はそう思った。


続く

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