第2話 始まりの村
第2話
此処はハシノ村
エクリプス王国に位置するのだが、物凄い田舎な村である。
そんな村で………
『お〜い、皆!王都から騎士様達が来たぞ!!早く出てこい!!!』
という声が響き渡った。
少なくとも、そんな事は一度もなかった。
「今の聞いた、アーク?」
「あんだけ叫んでりゃな、ミリス。」
この二人の男女はアークとミリス。
幼馴染であり、恋人兼婚約者の二人だ。
「何があったんだろう?」
「俺は凄い嫌な予感がするし、行きたくねぇんだよなぁ………」
しかも、そういう時に限って当たるんだよ、俺の勘………
「でも騎士様が来たんだよ?ちゃんと行かなきゃ村長達に怒られるよ。」
「────だろうな。」
嫌な予感がビンビンだけど、行くしかないのツラいなぁ………
☆☆☆☆☆
「これで全員か?」
「は、はい………」
外に出ていくと、俺達以外の皆が既に集まっていた。
まぁ、小さい村の中で堂々の一位らしいからなぁ、ウチの村………
ていうか、普段偉そうにしてる村長がペコペコしてる姿なんざ見たくなかったわ………
はてさて、何をしに来たのやら………
「そうか………おい、アレを用意しろ。」
「はっ。」
アレ?
一体、何を………
「よし、では………」
────何、あれ?
何あの丸い奴!?
何か昔見せて貰った宝石みたいに光った丸だな!?
重そうだけど、大丈夫なのか?
「アーク、あれ水晶玉だよ。昔、占い師っていう仕事の人が使うって聞いた事あるわ。」
「え、あ、ああ、それか。しかし、何で騎士様がそんな物を────」
俺の言葉は続かなかった。
いや、続ける事が出来なかったが正しい。
騎士様が取り出した水晶玉が赤く光り始めたのだ。
この光は────
「嘘、この光って────」
「────ああ、女神様の加護が付いてる証拠だ。何て物を持ってきてるんだよ、コイツ等………」
こんな辺鄙な村に住んでる俺達ですら知っている光だ。
俺達を見守り続けてくださっている女神様の光。
全てを浄化し、闇を切り拓く物だと耳がタコになる位には聞かされた。
皆がそう教えられ、そういう物だと育ってきた。
まさか、生きてる内に見られるなんて………
「────やはり、か。」
やはり?
────ああ、凄い嫌な予感がする。
この先の言葉を聞いてはいけない気がしてならないのだ。
「さぁ、水晶玉よ。示せ、我らが探している聖女が誰なのかを!!」
騎士様がそう叫んだ瞬間、赤き光が一点に集中した。
────ああ、嘘だろ?
「えっ、私!?何で!!??」
水晶玉の赤き光は、ミリスしか照らしていなかった。
そして、騎士様は聖女と言った。
つまり、その答えは────
「ミリスが………聖女様………………?」
ああ、やっぱり、俺の嫌な予感が当たってしまった。
────何故か俺は冷静にそう思った。
続く
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