000-02 暗躍する黒幕と灰となる計略

アースの言葉で、「Steal The Earth」と呼ぶ計画。我々はアースの大国の長を操る事で、戦争を引き起こさせた。そして、最終段階。我々がアースを侵略するためには、魔力を充満させる必要はある。故に、ダンジョンを開く。


「さぁ、同胞よ。アースへの道が拓かれた。我々の新たなる領土だ。行くぞ!」


我々がダンジョンの先へ進み、アースの地を踏む。満ちる魔力...体に力が漲る。魔力の使い方を知らず、魔法もお伽噺。我々に勝てる要素が存在しない。我々は近くにいた野生動物を狩る。そして、魔物に至る動物は存在せず、我らが天下だ。そして、私は各地に放っていた仲間へと連絡を取る。取ろうとした。しかし、誰も連絡に出ない。この世界の連絡用の道具の異常かと思った。だが、粘り強く連絡をかけ続ける。すると、ようやく一人が連絡が出来た。


「こちらへの侵入は出来た。そちらは...」


「撤退しろ!!」


同胞が慌てた声で警告する。しかし、悲願のためだ。ここで撤退する意味がないと私は思っている。その旨を伝えようとしたが、大きな爆発音と共に最期の声が聞こえた。


「こ...の...せか...いに...魔力を...与え...た...のは...失...敗だ...にげ...ろ...」


同胞の声に我らが軍の者たちが困惑する。


「ここまで準備して逃げるなんて出来るかっ!!」


私がそう叫んだ。


「ふっ...戦う者の叫びが聞いたぞ!」


そう言って、何者かが上空から我々の陣の中央に降り立つ。片膝を付き両腕は顔の前でクロスする。そして、立ち上がる姿に度肝を抜かれた。謎の全身タイツに謎のマスクを着けた男...男?だった。その異様な姿に思わず後退りをする。


「我らが愛しき地球を犯す悪の集団シ○ッカーよ!この私、マスク・ライダー壱号が成敗する!」


そう言って、何やら香ばしいポーズを取る。あまりにも異様な存在の作った隙に我々は思わず体が動いてしまった。


「ふーん...『それ』はいただけないね」


我々の体はその言葉と共に弾き飛ばされる。何者かと思い、その言葉の発信源を見ると、幼い子供がいた。戦場に幼い子供。このアースでは異常な光景だと受けた報告から思ってしまう。


「ヘイ、アキ!!彼らは何者だい?」


「あぁ、『鑑定』の結果は出た。『ヴァルギルア帝国』の『ブレイド・ヴァルギルア』。異世界人で確定だ。そこの穴はダンジョンと呼ばれるものみたいだよ」


我々の所属も私の名前もバレている。そして、子供は『鑑定』と言った。おおよそ1日しか経っていないのに、魔法も魔力を使いこなしている子供。仲間の最期の言葉に背筋が凍る。異様な姿の男は足に魔力を籠めて、何やら叫びながら飛び蹴りを放つ。私は咄嗟にシールドを張るが蹴り破られ、そのまま直撃を受ける。同胞に逃げるように言おうとするが、既に囲まれている。


ある者は最初の男のような格好をしている。

ある者はド派手なスカートの短いドレスを着てステッキを持つ少女である。

ある者達は五色で色違いのお揃いの全身タイツとマスク姿をしている。

ある者はメイド服に巨大な棍棒を持っている。

ある者はこの世界の通信道具を魔導書のように持っている。

ある者は学園の制服のような姿とカタナと呼ばれる剣を持っている。


他にも様々な姿をしているが、全員が全員、凶悪なまでの魔力を放っていた。我々は言葉が出ずに呆気に取られた。たった1日。それだけしか魔力を与えられていないのに、ここにいる連中は冒険者ギルドでも高ランクと言っても差し支えないような力を持っていた。私は同胞を逃がすため、一番倒しやすそうな老人を攻撃する。老人はまだまだ離れている私に構えを取り、まだまだ離れている私に拳を前へ突き出す。その姿を見て私は意識を失う。何をされたかも分からずに。



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