第19話 都会で頑張った日々が懐かしい
本来落ちぶれると言うのは、ある程度事を成した人が落ちて行く事を言うのかもしれない。それからすると、私は大したことを成してはいない。
とりあえず東京でやりたい仕事を運よくやれたことぐらいだ。
それでも、約二十年ほど働き小さいながらも会社を作った。始めた頃は時代の波を感じた。そして今度は新たな波に乗れなかった。
始まりがあれば必ず終わりは来るものだ。
また、新たな波に乗るほどの体力と気力が無い今は、やはり落ちぶれて行くしかないのだろう。
しかし、どうせ落ちぶれるなら、ちょっとでも楽しくなんて思うのは甘い考えなんだろうか?。
これから来る老いていく状況において、明るい話は何もない。
そんな現実が目の前に大きく広がっているのだ。
とてつもなく不安だ。
そんな状況の中、良く夢で東京の頃の様々な事を見るようになった。
まるで、過去の栄光を懐かしむように。(実はたいした栄光はないのだが)
眠らない町東京で朝まで飲んだ、そして結局朝から寝て昼ごろに起きた。
私にとって「笑っていいとも」と言う番組は、朝の番組だった。
そんな退廃的な生活も都会人ならではなんて思っていたのはい今考えると大馬鹿すぎて笑える。
やっと経験も増え、少しは世の中が見えるようになってきた、そんな時に時代は私を追い越して行った。
よく経験は何一つ無駄にならないという。しかし、たくさんの無駄を経験した気もする。
あの時こうしておけばなんてよく思うが、それこそが落ちぶれて行っている実感だと思う。
なんとか東京にいた頃のことを、楽しい思い出にするには、これからをしっかりと生きて自分自身を確立するしかなさそうだ。
ガサガサ!そんな音で夜中に目が覚めると自然の真っただ中にいることを実感する。
意識が東京からこの田舎に瞬間移動する。
寂しさが、大きな波のように押し寄せてくる。
大丈夫かこんな状況で。
落ちぶれると言う言葉が、傷口にしみるようだ、早く朝よ来い。
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