第18話 意外な理解者が見えてきた

しばらく落ち着いてきて、さてこれからの事を考えなければ行けないと思い始めたころ、友人から電話がかかってきた。

単発のイベントの仕事の話だ、その日に行けばそれで済む有りがたい仕事だ。

田舎に住んでいても出来る貴重な仕事なので喜んで引き受けた。

すると自宅でやれる台本や企画書の仕事も紹介してくれた。

自宅のマイ書斎にパソコンをセットし少しづつ仕事を始めた。


いったん机に向かうと都会も田舎も関係ない。疲れたら小川の横を散歩できる田舎のほうが有利かもと思えた。

いくつかの仕事を引き受けると、その話は飛び火する。そして数日間の出張の仕事も頼まれた。


その結果ちょくちょく東京へと出かける事となった。

これから迎える老後を考えると、まだ出来る仕事は引き受けてなんとか稼がないといけないと思う。


そんなある日電話工事らしき物があった、どうやらこんな田舎にも光ケーブルが来たらしい。

話を聞くと地域活性化の一環としてらしい。

私にはにはありがたい限りなのでさっそく光ケーブルを引いた。試してみると恐ろしく早い。

おそらくこの地域では私だけだと思う、思わず快適なネット環境になってしまった。仕事が随分しやすくなった。


それから地元の町にも数人知り合いが出来た。

都会や田舎にかかわらず、中心的に動いているいわゆる仕事の出来る人、リーダーシップを持っている人がいる。

そういう人は偏見で物を見ないので話しやすい。なので、知りあうとありがたい。

慣れない田舎暮らしを気にかけてサポートしてくれる、そんな人に巡り合うと素直にうれしい、そして少し地域になじんできた。


やがて商工会にも入った、するとポスターやチラシ・イベントなどの仕事が来るようになった。

どうやら、私は便利な存在だったようだ。CDを作るためのデザインや音楽を作るソフトから映像編集等のソフトまで持っていたのでホームページ用の素材や動画制作なども依頼を受けた。

ありがたい事である、なので出来るだけ良心的な価格で頑張った。

その結果、東京の仕事と合わせるとなんとか食べては行ける収入を得られる事となった。


人とのつながり、特に良い人とは出来るだけめぐり会いたいものだ。

それと反対に全て上から物を見て、批判してくる人がいる。

私はそんな人にはにこにこしながら出来るだけ関わらないようにしている。

上から目線で物を言えば、聞く方は嫌な印象しか持たないと思う、

そして、煙たがられる、そんな事も理解できてない人の知識は信用できない。

これは私の偏見かもしれないとは思う。


日々少しづつ落ちぶれては来たが、どうやら落ちぶれ果てるところまでは行かなくて済みそうだ。

果てるが付くのと付かないのでは大きく違う気がする。

なんとか果てないで済みそうかもしれない、少しだけ希望が見えたかも、そんな思えた。

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