第9話 田舎は車社会を思い知る
話は前後するが、田舎に落ちぶれるに当たりまず考えたのが、車が必要であるという事だ。
実際自宅から1キロ程歩くとバス停がある、しかし一日に数本しか便が無いので、夜になると帰ってこれなくなる。
車は必需品だと思い、色々と考えた。落ちぶれる私にとって値段の高い車は買えるはずもなく、ネットオークションで手に入れることにした。
これはかなりの冒険だ。
山の上で暮らすことを考えると、四輪駆動車が良いと思い探す。
そしてパジェロミニと言う軽自動車のオークションに参加した。
なんとか二十万円程で古い車を落札し、出品者に会いに東京まで行った。
ご夫婦で来られたのだが、ご主人はアメリカ人だった。
奥さんは日本人で通訳してくれるのだが、車の事を殆ど知らないらしく、何を言ってるのか解らない状況だ。
「あのー、車輪が四つ回るので楽しいみたいなことを言ってるようなんですけど、そりゃあ自動車だからタイヤは四つあるし回りますよね、何を言ってるのかしらこの人?」
どうやら、四輪駆動の話をしているようだが、殆ど解らなかった。
それでもなんとかお金を支払って書類をもらい、無事軽自動車を手に入れた。
その日はなぜかちょっとうれしくて、その車で東京タワーを見に行った。
これでこの眺めも見納めか、そう思って眺める。
田舎では四輪駆動車は活躍した、雪が降っても山の上まで帰る事が出来た。
しかし半年ほどで、白い煙が出るようになってきた。
整備工場に持っていくと、どうやらターボチャージャーが壊れているらしい。
車検と修理で相当な金額になるので、その車をあきらめ友人から車検の残った軽自動車を数万円で手に入れた。
するとある寒い夜、帰りの路上でバッテリーが上がりエンジンがかからなくなった。
夜自宅まで歩いて帰るのは怖い、イノシシやら鹿などの動物が出てくるし、全く街灯の無い真っ暗な夜道を電灯も待たずには帰れない。
仕方が無いので車の中で、凍えながら夜を明かし朝早く自宅へと帰った。
そのあとも安い車を買ったため、様々なトラブルを体験することになる。
今思えば、これまで使った費用を合わせるとそこそこ良い車が買えたのにと反省した。
田舎の暮らしに慣れてくると、軽トラックが欲しくなった。
草刈りの道具を積んだり、もらった材木を積んだりなど、やはり軽トラを買うのが良いと思った。。
ドライブする相手や家族もいないので、座席は二人乗れれば十分だ、そして移動時に何かと荷物が多い。
灯油など買いに行くのも軽トラックが使いやすい。
また懲りずにオークションを見て軽トラックを探していると、ある車に一目ぼれしてしまった。
前から見るとウーパールーパーのような顔をしていて実に可愛い。
サンバークラシックという車らしい。
四輪駆動車だしオートマで私には都合が良かった。
また懲りずにオークションで格安で手に入れた。
この車も古いので何かありそうだと思ったが、すぐにオーバーヒートして水が噴き出した。
しかし沢山の車のトラブルを体験したため、最近は良い整備工場の方と知り合いになっている。
「おお、また来たね今度は軽トラかい」「はい、今度は長く乗りたいんですけど」そうお願いすると、しっかりと整備していただいた。
おかげで大変調子が良い状態となった、私はこの軽トラを大事に長く乗り続けようと思っている。
見た目で決めたのが私らしい気がする、私は美人よ可愛い子に弱い事を思い出した。
しかし、昔可愛い子で失敗した事実も残っている。
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