第8話 孤独のBBQ
自宅の庭にバーベキューの炉が置いてある、ホームセンターの安売りで買ってきた。
コーヒーの焙煎に使ったり、魚を焼くのに使っている。
これがあるおかげで近所から炭をもらったり薪をもらってりするので有りがたい。
元々、せっかく田舎に来たのだから星を見ながらバーベキューをしたら楽しいだろうと思い買った物だ。
しかし、やってみると随分イメージとは違う物だった。
格安でも美味しそうな肉や海産物、野菜などを買ってきてやってみた。
夕方準備しているときは、いそいそと楽しかった。
しかし実際に暗くなり始めてみると、山の上だし横は小川だし思ったより寒かった。
そして何よりも静かで寂しい。誰もいないので会話が無い。
仕方がないので、独り言を言ってみた「この肉が柔らかくて美味しいんだよな」当然返事はないし会話は成り立たない。
あれ、こんなことをしたかったのだろうか?、疑問が湧いてきた。
そうか都会の人混みで暮らしていると、たまには一人になって星でも眺めてキャンプしたい。
そんなイメージが残っていて、現実を見ることをすっかり忘れていたのだ。
今は山の中の古びた広いうちに一人でいて他に誰もいない、たまに動物がでてきたりする状況だ。
ご近所も離れているし、言葉もなかなか解らない。
「しまった、落ちぶれていたのを計算に入れてなかった」しかしもう遅い。
焼いたお肉は美味しいのだが、せつない。
おなかすいているにも関わらず、たいして食べられない。
しかも買ってきた缶チューハイも進まない。
星だけがやたら奇麗で、寂しさの追い打ちをかけてくる。
そうだ、落ちぶれたのだ、今頃気が付いた。
バーベキューも仲間がいて、ワイワイガヤガヤとやってれば楽しいのだろうが、
この状況を改めて確認すると寂しすぎる状況なのだ、そしてますます寒くなり孤独感が高まる。
仕方がないのでひたすら焼いて皿に盛り付け、家に入りコタツでパソコンをのぞきながら焼いたものをつまみにチューハイを飲む。
温かくなってきた、落語の動画を見ながら一人パーティに切り替えた。
じわっと楽しくなってきた。
それ以来一人でバーベキューをすることは一度もない。
一人バーベキューは落ちぶれた感が強烈に演出される。
もう二度とする気はない、絶対に。
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