第8話 挑戦

監督に出会ってからずっと勉強を頑張った。

とにかく受かることを目標に頑張った。

家庭教師とも仲がよくなり勉強が楽しくなってきた。

母親も不安がなく嬉しそうな表情だ。


僕はまだ携帯を持っていなかった。

敦君からは番号を聞いていて電話を掛けることがしばしばあった。

そしてたまに会った。

会った時にタックルの付き添いをしてもらった。

そして僕らしくない運動を始めた。


体の鍛え方を教えて貰った。

今まで以上に体に気を使いストレッチのやり方を教えて貰った。

そしてランニングを一緒に走りたまには遊びに出かけた。

初めての友達に嬉しかった。

敦君は嬉しそうじゃないけど...


敦「お前勉強頑張ってるか」

一輝「もちろん!敦君は?」

敦「まあまあかな、金もねーし独学で頑張ってるよ」

一輝「え、僕は家庭教師だよ!敦君独学すごいね!!おうちは貧乏なの?」

敦「あ?お前デリカシーねーな。俺は...孤児だよ」

敦は辛そうに答えた。

一輝「そうなんだ、ごめん。なんか僕が自慢したみたいに」

敦「気にすんな、まあ孤児ってのもあって監督や兄貴達から気に入られてる」

一輝「そっか!良かった!でも敦君は強いから目が魅かれるものがあると思う!」

敦「そうか?ありがとな。先輩も数人孤児院から何人か通ってるよ。だからそれ繋がりで巡りあわせだな」

二人は笑いあった。


一輝「でも僕とは奇跡の出会いだよ!」

敦「いや、偶然にしてくれ」

一輝「冗談よしてくれ!!」

二人はまた笑い合った。

そして受験日当日。

羽瀬和高校入学に向けて受験が開始された。

二人の背中が大きく見えた。

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