第6話 盃

次の日の朝、日差しが顔に差し掛かる。

昨日、笑顔になりすぎて顔がひきつったのだ。

一輝「いてて、しかも体中も...」

人生で一番疲れた日だ。


着替えて階段を降り母親が用意した朝ご飯を頬張る。

ごはんと卵焼きにベーコン、あら汁の味噌汁に納豆だ。

食べ終わり、母親に家庭教師がいつ来るか確認し上の部屋に戻った。

一輝「とりあえず、教科書用意してっと」

ラグビーがどういうスポーツかいまいち分からなかった。

テレビでたまたま見かけたけど興味も湧かなかった。


今日は敦から言われた場所に集合してと言われたんだ。

しばらくして家庭教師が部屋に来て勉強を始めた。

勉強が終わると急いで支度し自転車に乗り昨日の公園に向かった。

そこに時間通り敦が公園にいた。

敦「来たな、いくぞ」

一輝「うん、ところでどこにいくの?」

敦「着いたらのお楽しみ」

一輝はワクワクしていた。


しばらくして着いたところはとある高校だった。

校内に入りグランドに向かった。

するとそこに大勢の大柄な男たちと小柄な男達がいてなんだか訳が分からなかった。

大柄な男「おい、1年!この時期に入って気が緩んでんじゃねーだろーな!!」

敦の説明で高校3年の先輩たちは大会が終わり惜しくもベスト8に届かず敗退、それで先輩は引退するからこの時期に緩みやすく練習がより厳しくなるものだ。


敦「村雨キャプテン!ちょっといいですか!」

敦は大きな声で呼んだ。

村雨「なんだ、呼び出して。今追い込み始まるんだよ」

敦「すいません、実は一人新入生を捕まえまして。鍛えてやってくれませんか」

村雨「新入生?こいつが?ずいぶん弱そうだけど」

敦「見た目は弱そうですが根性はあります!!」

敦は得意げに答えた。


村雨「そうか、まあ見てやる。今日OBきてっから根性試ししてもらえ」

敦「ありがとうございます!一輝こちら2年のキャプテン、村雨先輩だ。挨拶して」

一輝「よろしくお願いします!!!」

とびっきりの笑顔で挨拶をした。

村雨と敦の心の声「笑顔気持ち悪...」

敦がOBの先輩を呼んだ。


OBの先輩1「お前あの時の!なんだ敦に憧れたか?」

OBの先輩2「え、こいつ知ってんすか?」

OBの先輩1「ああ、情けなく男たちにやられてたんだよ、そこで敦が助けてな」

OBの先輩2「へええ、でこいつを鍛えると?骨折れんじゃねーか」

すると一輝は勢いよく大声をだした。

一輝「お願いします!僕を鍛えてください!!!」

OBの先輩1「礼儀だけはいいな、さて根性とやらはあるのかな」


敦からひたすらOBの先輩にタックルし続けるという科目を課せられた。

一輝「無理だ...相手は敦君より一回り大きいんだよ....勝てっこない....」

敦「ぐずぐず言ってねーで、さっさとタックルしろ。強くなりてーんだろ。」

一輝は決心しOBの先輩にタックルをした。


ペチッ ぎゅっ。

情けなく腰を曲げ、まるで相撲取りのように抱きついていた。

OBの先輩1「抱きつくんじゃねーよ、きめーな」

一輝は軽々飛ばされた。

それでも一輝はまた立ち上がり再びタックルに向かった。

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