第5話 昔話

二人は大笑いした。

通行人に冷たい視線を浴びせられたが気にしなかった。

敦「お前根性あるな、素質あるよ」

一輝「ありがとう、僕もこれから強くなれるかな」

敦「しっかり鍛えれば十分な。あとお前笑顔気持ち悪かったぞ」

一輝「よしてくれよ、笑顔久しぶりなんだ。でも久々にこんなに笑った」

敦「俺もだ、認めるよ。これからOBに会わせてやる」


一輝「OBって?なに?」

敦「ラグビーの元先輩達だよ。今は仕事に就いてたり大学ラグビーに通ってる人もいる」

一輝「えええ、すごい!じゃああの時の大柄の人達も?」

敦「まあ、そうだね。現役生もいたけど、これから紹介するよ」

一輝「ありがとう!!ところで敦君は学校行ってる?」

一番に疑問に思っていたことだ。そもそも敦君が通う中学にラグビー部はなかった。


敦「通ってたよ、ただ問題起こして謹慎中だよ。」

一輝「えええ、どんな?」

敦「お前と同じだよ。1年の頃からいじめが凄くてな、そこで兄貴が高校のラグビー選手で一昨年卒業したけど強くなるために鍛えられてな」

敦は続けて会話をした。

敦「今まで不登校とか繰り返してたけど強くなった自分に自信がついて学校に行ったんだ。それでもいじめっ子達は過激でな、ある時複数人に喧嘩売られたけどボコボコにしたんだよ」

一輝「それでどうなったの?」


敦「一人のやつにおもいっきりタックルしたんだ。そしたら当たり所が悪くて下半身不随にさせてしまった。それで学校で問題になり移校を薦められたが受験も近く、いじめの問題もあったから謹慎になった」

一輝「そうなんだ、僕と同じ...」

ぼそっと答えた。

敦「なんか言ったか?」

一輝「いや!でもこの後どうするの?」

敦「まあ、一応怪我させた奴には見舞いに行くけど因果応報だと思ってる。でも兄貴にこっぴどく怒られたよ。」


敦は続けて会話をした。

敦「力を持つ者は責任が生じるって怒られたよ。でも確かに言われてみればなんの訓練もしてない奴に危険行為をしたのは反省してる」

一輝「そっか、でも敦君なら大丈夫だよ!!きっといじめした人も反省してる!」

敦「だから、お前にいうけど復讐するのは暴力以外で済ませることだよ」

一輝「復讐なんて考えてないよ!一時の過ちだと思ってるよ!!いつか反省してくれればいいさ」

敦「お前は強いな」

一輝「そんなことないよ...」

辺りはすっかり暗くなっていた。

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