第002食 さくらさんちの汎用性オムカレー:食堂さくら(茨城・大洗02)

 バンセンストアを起点とし、平戸橋を渡ってから「ようこそ通り」を進むと、十字路に出くわす。その右下の角に「セブンイレブン」が在る道は、大洗駅に続いている通りなのだが、十字路を右折しその道をしばし進むと、駅の少し手前、左側の曲がり角に一軒の食堂が見止められる。そこが「食堂さくら」である。


 旧・常澄村の縁に在るバンセンストアまで徒歩で十五分という事実からも察する事ができるように、一九八五年に開通した大洗駅は、大洗町の外縁部に位置している。つまり、元々、町の中心部ではない故にか、駅前の通りは賑わっている分けではない。

 だから、大洗駅に着いたら駅の近くで食事をしよう、と望む観光客の中には、適当な店が見付からず途方に暮れてしまう方もいるであろう。


 そんな駅前事情の中、駅前通りを横断してから左折し、一、二分歩いた所に在る「食堂さくら」は、鹿島線で大洗を訪れた、腹ペコ観光客にとっては、〈オアシス〉のような存在であるに違いない。

 とはいえども、さくらさんは、感染症流行直前の二〇二〇年二月開店らしいので、それ以前は、大洗を訪れた観光客の多くは、さぞ困っていたにちがいない。


 扉を開けて店内に足を踏み入れるや、大洗の代名詞とも言えるアニメ作品『ガルパン』関連の品々が視界に飛び込んで来る。しかし、よく目を凝らしてみると、『ガルパン』だけではなく、『ゆるキャン△』のグッズも置かれていた。

 疑問に思った書き手が、この事について店のオカミサンに訊ねてみたところ、『ゆるキャン△』が物凄く好きだから、というシンプルな答えが返ってきたのであった。


 さて、メニューをパッと見た限りなのだが、さくらさんはオムレツを使った料理が割と多いようだ。

 そして、カレーに関しては、ノーマルなカレーライスに加え、チキンカツカレーがメニューに載っており、さらに、プレーンなカレーに、唐揚げ、コロッケ、白身魚フライといった様々なトッピングをプラスし、自分好みのカレーライスを注文する事もできるようだ。


 カレーに揚げ物を足す、というオプションが可能な料理店は、他にも割とあるよな、と思っていた、そんな書き手の目を引いたのは、「オムカレー」という料理であった。


 これは、その名称からも明らかなように、〈カレー×オムレツ〉というコンセプトの品である。


 このオムレツとカレーという発想は、その実、ありそでなさそうな組み合わせで、だからこそ、書き手も、メニューの中にオムカレーを見付けて、つい注文してみたくなってしまったのである。


 これまで書き手が食べた事のあるオムカレーは、オムライスの上にカレーが掛かっている、といったタイプの品が多かったのだが、さくらさんのオムカレーは、皿の半分をカレーが占め、もう半分にライスが盛られ、そのライスの上に、半熟トロトロのオムレツが掛けられている、というタイプの品であった。

 だから、さくらさんのオムカレーは、オムライスとカレーが渾然一体となった一つの料理というよりも、一皿に、ライスとカレーとオムレツを入れておくので、お客さん、どうぞお好きに召し上がれ、と語りかけているようにさえ思えてくる。


 書き手が訪れたのは祝日の昼だったのだが、店内は、観光客やガルパンおじさんだけではなく、小さい子やご老体と一緒の家族連れもいて、この店が、そういったファミリー食堂的な一面も合わせ持っているように、書き手には感じられた。

 子供は、カレーやオムレツが大好きであるにちがいなく、お子様がオムカレーを注文する可能性が高い事は容易に想像できる。

 だからであろう。この店のオムカレーは全く辛くはなく、子供でも安心して食べられる味付けになっていたのであった。


〈訪問データ〉

 食堂さくら:茨城県大洗町、最寄り大洗駅(徒歩数分)

 二〇二四年三月二十日水曜正午

 オムカレー:一〇〇〇(クレカ)


〈参考資料〉

〈WEB〉

 「食堂さくら」、『食べログ』、二〇二四年四月五日閲覧。

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