EX002食 エビ・えび・海老:えびそば一幻・新千歳空港店

 小樽にて、エビ出汁にエビスープ、さらに具もエビの、まさにエビ尽くしのエビのスープカレーを食した書き手は、小樽市内で、運河沿いを散策したり、神社を参詣し、小樽を堪能したその後で、南小樽駅から空港行きの〈エアポート〉を利用し、新千歳空港に向かったのであった。


 空港に到着後、羽田行きの飛行機の離陸時刻まで、かなり時間的余裕があったので、書き手は、北海道を去る前に、空港内のレストランで、何かお腹に入れておく事にした。


 実は、空港でもスープカレーにしようか、とも考えたのだが、しかし今現在、札幌市内に現存する歴史があるカレー店を、なるべく古い順から回ってゆく、という企画を進行中だったので、ここで、計画を変えて、予定外のスープカレー店に入ってしまったら、時代を跳躍した事になり、書き手の企画が中折れしてしまうように思え、そこで、北海道滞在の最後は、昨日のお寿司と同様に、カレーはいったん括弧に入れて、何か北海道ならではの物を食す事に決めたのである。


 何を食べるかは、空港内に在る料理店の中から選択する事になるのだが、移動中に、空港三階の飲食街をざっと検索した結果、書き手は、空港の『北海道ラーメン道場』内の「えびそば一幻」に赴く事に決めたのであった。

 おそらく、昼に、エビ尽くしのスープカレーを食べた事によって、書き手の脳は〈エビ〉でいっぱいになってしまっていたのであろう。


 ちなみに、えびそば一幻の総本店は、札幌の南七条西九丁目に位置し、すすきの駅から徒歩十五分と、繁華街からは少しだけ外れている。

 つまり、〈アシ〉が無い観光客には、ちょっとだけ行きにくい場所にあるのだ。それにもかかわらず、常に順番待ちの人で一杯、という印象を書き手は抱いている。

 この総本店に対し、新千歳空港店は、空港内にあるので、総本店に比べて、圧倒的に行きやすい。だから、空港店の方も、常に〈行列〉というイメージなのだ。


 さて、空港に到着した書き手が、ラーメン道場に到着した時も、一幻は順番待ちの十人以上の行列が為されていたのだが、実は、一幻は、客の回転率がかなりよいので、十五分程待てば入店できるのだ。

 おそらく、回転率を高めているのは、並んでいる間に客に注文を尋ね、着席後すぐに注文品が提供できるようにしているからであろう。


 順番待ちの際に、注文を取りに来たスタッフに、この日の書き手が告げたのは、「そのまま えびみそ」と「えびおにぎり」であった。


 一幻のえびそばは三種類あって、それは、えびしお、えびしょうゆ、えびみそ、すなわち、塩、醤油、味噌の三つで、各自、好きな味を選べばよい。

 だが、北海道といえば、やはり〈味噌〉、なんだかんだで、書き手は、北の大地に来る際には、ラーメンは、ほとんど必ず味噌を注文してしまう。そして、一幻でも、御多分に漏れず、えびみそを選んだのであった。

 その後の選択は、スープだ。

 一幻のスープは、「そのまま」「ほどほど」「あじわい」の三種があって、「そのまま」とは、えびの風味がそのまま活かされた、その名の通りのスープで、「ほどほど」は、えびスープにとんこつスープが加わったもの、「あじわい」は、とんこつスープの度合いが増したものである。

 この日は〈海老〉に拘りたい、と考えていたので、書き手は、可能な限り、えびを感じる為に、スープは「そのまま」、要するに、「そのまま えびみそ」を注文したのである。

 だが、これで終わりではない。

 麺料理は、麺を食べ終えた後に、残った汁にご飯を入れ、おじや風にして〈完結〉するものだと、書き手は信じており、さらに、えび風味の品で畳みかける為に、書き手は、白米ではなく「えびおにぎり」を頼んだのであった。


 はたして、自分の順番が回ってきて、入店して着席するや、ほどなくして、書き手が注文した「そのまま えびみそ」と「えびおにぎり」が紅色、というか、えび色の器にて提供された。


 一幻のえびそばは、もちろん、スープがえびスープな分けなのだが、えびの要素はこれだけではない。

 上部には、紅色の天かすが載せられているのだが、これは、紅生姜にえびの風味を練りこんだものであるらしく、書き手は、これを、半分はそのままカリカリっと、残り半分をスープに入れてに食べた。

 さらに、一幻では、スープの上に〈えび粉〉が載せられており、サイトによると、「スープの出汁を取るためにつかった甘えびの頭を焼いて粉末状にしたもの」であるそうだ。


 つまり、一幻のえびそばは、これでもか、というほど、えび・えび・えびなのである。

 

 かくの如く、二〇二四年、書き手の最初の北海道訪問の最終日は、スープカレーと麺によって、海老尽くしの一日となったのである。 


〈訪問データ〉

 えびそば一幻 新千歳空港店:北海道・新千歳空港(北海道ラーメン道場内)

 二〇二四年四月七日・日曜、十八時半

 そのまま えびみそ(九五〇)えびおにぎり(二〇〇):一一五〇円(クレカ)


〈参考資料〉

〈WEB〉

 「一幻のこだわり」「お品書き」、『えびそば一幻』、二〇二四年六月六日閲覧。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る