第55話 ストーカー現る
「皆様本日は異世界勉強にご参加いただきありがとうございました。それでは陸海空さんから順番に挨拶お願いします」
私はそういうと陸海空さんの方を向いた。
陸海空さんは元気に立ち上がる。
「うん! なかなか良かった! いろんな勉強にもなったし、何より、やっぱり君たちは異世界人だったんだなって言うことにも気づいたからね! 今度まぁ、いつでもいいんだけど、この世界に来た経緯も教えてほしいかな! 私からは以上だよ!」
さすがだ、何も見ずに答えられるのはすごい。
私でも見ずに話すのは至難の業である。
「確かにここに来た経緯を動画で話してもいいですね。ありがとうございました。それでは隣の猫鎌ヒカリさん。よろしくお願いいたします」
「にゃにゃーん! とりあえず3人とも本当にお疲れ様にゃー! 私からの感想としたら、ものすごく楽しかったにゃ! 魔力の説明もわかりやすかったし、何より3人の関係がとてもよかったにゃよ! 以上にゃ!」
なるほど、関係というのは恐らく私がディア王女を助けたあのエピソードから来ているのだろう。
「こちらこそありがとうございました。それでは次は夜亜きらりさん。お願いします」
「うん! 今回全然話せなかったけど、ものすごく楽しかったよ! 説明がすごくわかりやすくて、私でも理解できたもん! 本当に楽しかった!」
確かに説明はディア王女もスメラ嬢も良かったと思う。
私は自身がそこまでなかったのだが、使用人として、他国のお偉い様と話した経験があったので大丈夫だったらしい。
「ありがとうございました、それでは次ですね、次は、ノア・エリナ―さん。よろしくお願いします」
「はい。 私からはまずディア王女、スメラ嬢、フィナリアさん。本当にお疲れさまでした。今回はとても貴重な体験ができたと思っています。これからも何か異世界の裏話かなんかあれば、個人でお話を聞かせてください。以上です」
異世界の裏話か……個人ならば話しても良いかもしれない。
結構あるのだが、それは次の機会に話そうと思う。
「それでは次は初めてのコラボ参加者ミレーさん。一言よろしくお願いします」
「はい。まずは皆さま本当にお疲れ様です。そうねぇ……まず皆さんはとても明るく元気な方たちで楽しかったです。今回の説明もわかりやすくて、とても勉強になりました。また機会があれば、個人コラボお願いしますね! 私からは以上です」
明るくて元気、確かにそうかもしれない。
「ありがとうございます。そうですね、また個人で3人とコラボしましょう。それでは最後ですね、同じくコラボ初参加者の音光コノミさん。一言お願いします」
「は、はい! えっと……楽しかったです! その……質問もたくさんしましたが……丁寧に答えてくださって……う……嬉しかったです! また、よ……よろしくお願いします!」
ものすごく緊張していたようだが、しっかり最後まで言ってくれた。
「ありがとうございます。それではこれでこの配信は終わりたいと思います。ちなみに次が最後のコラボ動画となりますので、よろしくお願いします。次回はカラミア学園アカウントでの生配信となりますので、注意してください。それでは皆様ありがとうございました」
「「「バイバーイ!!」」」
:お疲れ!!
:楽しかった!
:次でラスト!!
:もっとしてほしかった!!
:そっかもう1ヶ月経つのか……
:おつかれーーー!!
そうして、前のスタッフが手を挙げた。
スマホを見ると画面は真っ暗になり、終了時の文字が見えていた。
「お疲れさまでした皆さん」
「うん! お疲れ! 3人は先に帰っていいよ!! 外でみさきさんが待ってる!」
陸海空さんが笑顔で私たちの方に頭を下げる。
私たちも頭を下げると、そのままみさきさんが待機していく場所まで歩いていくのだった。
「あ、おかえり! どうだった?」
私たちが駐車場に着いた時、みさきさんが手を振りながら歩いてくる。
「とっても楽しかったわ!」
「私も楽しかった」
「楽しかったです。ディア王女、スメラ嬢、とても優秀でしたよ」
私の呼びかけに2人は照れたように後ろを向いてしまう。
「フィナリア! そ、そういうのは……ふ、ふふん! 私は王女なのよ! 当り前よ!」
「……帰りましょう」
ディア王女もスメラ嬢も照れすぎて顔が真っ赤になっている。
「それでは2人先に帰っていてください」
「え? フィナリアさんは帰らないのですか?」
みさきさんが首をかしげる。
「はい、少し寄り道したいところがあるので、大丈夫です。距離は離れてませんし歩いて帰れます」
「わかった。じゃあ帰ろうか!」
私はディア王女とスメラ嬢が車に乗り込み帰っていった。
「さてと私も帰りますか」
私はそのままとりあえず家に向かって歩き出した。
なぜ、先に帰したのか。
それは、前からとある違和感に気づいていたのだ。
大体、耐久生活あたりである。
気のせいかもしれないが……
「やはり……誰か付いてきてますね……しかもこの気配……まさか……だとするとまずいですね……」
私は、そのまま誰もいない路地裏に入る。
後ろから小さな足音が聞こえてきた。
「!!?」
私が反射的に避けると、私の脇腹のあたりを拳が通り抜けた。
そして、そのまま私は、通り抜けた腕を掴み背中に相手を乗せ、そのまま背中から地面に叩き付けた。
「かはっ!!」
そのまま相手の首に自分の腕を押し付ける。
やはり、見たことある顔だ。
しかもよく知っている。
「ここで何をしているの。魔王アミフォリア」
「ちょ……息が……」
「答えなさい」
さらに腕を押し付ける。
魔王アミフォリア、それは私が昔戦って滅ぼした前魔王の後に生まれた魔王だ。
私達の国を100万の軍勢で魔族軍を襲わせた張本人。
「こ……答えるから……! は……早く……はなして……」
アミフォリアは、私の手を軽く叩いてくるので、ゆっくりと手を緩める。
「はぁ! はぁ! いやーやっぱり勝てないかぁ! ぐえ! お腹……殴られた……」
「私たちの国を襲っておいて今更こんなので済むとでも? というかなぜここにいる?」
特に意味はないがもう一発殴っておく。
「かは! わ、私は創造神様に……言われて……」
「創造神様に?」
どういうこと? 創造神様が魔王の味方になったというの?
「あと、魔族軍を襲わせたのは私じゃない」
「そんなの今更信じるとでも?」
「とりあえず座らせて」
「何かしようとしたら容赦しない」
「勝てないのにするわけないじゃん」
とりあえず抵抗はしなさそうだ。
私は上から離れる。
「ふぁ~自由だ~」
「で? 魔王……いや、アミフォリアがここに来た理由は?」
「えーっとぉーそれはねー」
私は、アミフォリアの説明に絶句するしかなかった。
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