第52話 【月間カラミア学園コラボ、5本目】異世界について教えます④


 私が教卓から下り、代わりにディア王女が教卓に上る。

 まぁ、ディア王女は結構前に出て発表とかは経験しているので、そこは問題ない。

 後は任せることにする。 


「私はスラム国王女のディア! 私がこの世界情勢と世界地図を説明してあげるわ!」


 私含む全員が拍手をする。

 横から見るに、深呼吸をしているらしい。

 

 「では早速次を開きなさい」


 私はディア王女に言われた通り、資料の次を開く。

 そこには何やら手書きの地図が書いている。


「これは私が、分かりやすいように書いた世界というか国の地図よ」



:地図か


:全部手書き?


:ディア王女、こういうの誰かにやらせてそうだけど自分でするんだな


:↑わかるディア王女ってなんというか、なんだろう……しっかりしてるところはしっかりしてるよな


:↑優しいけど、わがままな王女的な?


:スメラ嬢も似たような感じよな、毒舌だけどなんか優しいというか……


:フィナリアは普通に優しくて強いって感じか


:それがこの3人の魅力なんだろうな……



「まずは、この地図について説明するわよ! まず、この真ん中に書いているのが私たちの国スラム国ですわ!」

「にゃにゃーん!全部で5か国にゃ?」


 ヒカリさんが首をかしげながら質問している。

 

「本来はもっとあるわ! でも書ききれないので今回はスラム国周辺だけにしておいたわよ! そしてスラム国の上が魔族領ね! スラム国の右横には精霊の国よ! 左側と下側には人間の国があるわ!」


 ディア王女が詳しく説明してくれる。

 しかし、きらりさんは何かわからないのか首をかしげている。


「この巨大な青い丸みたいなものは何ですか?」


 どうやら、スラム国と精霊の国の右下間にある水色の円系のものが気になったらしい。

 

「これはラース湖よ! 昔とある戦いのときたった1人の魔法で国ごと滅ぼした後、その時できた大穴に海水が入り込んでできた湖ですわ! ちなみにラース湖の奥は大きな海となってますわね」



:たった1人の魔法にしては威力えぐくねぇか?


:それな、地図で見てこの大きさだと少なくとも半径3300KMは超えてるだろ


:スラム国の100倍以上の大きさだもんな……


:フィナリアだろうなぁ……


:そもそも異世界人の中でもこの3人特にやばいと思う


:↑わかるわ


:フィナリアたった1人が半径300KM超えの大穴開けたと?


:もはや転生者でも出せないレベルの威力で草


:それをしれっと報告するディア王女


:普通に国1つ滅んでるんだよなぁ……


:半径ってことはどのくらいだ?


:多分淡路島消えるぞ


:下手したら島ごと消えるぞ


:これを1人の魔法?? 嘘やろ


:どのくらいの大きさか分からんが、とにかくでかいんだろうな?


:今半径300KMで調べた。東京を中心として、三重県と福島県がギリギリ円に入るかどうからしい


:でかすぎ


:どんな魔法だよ。隕石級じゃねえか




「ひとまず、地図はこのくらいですわね! 次は王室についてですわ! まず呼び方ですわね! 基本王室の最高地位が女性では年齢問わず王女・男性が男王だんおうと呼ぶわよ!」


 ディア王女の説明にゆっくりと手を挙げる1人の女の子がいた。

 音光コノミである。


「音光コノミさん何かしら?」

「あ、えっと……その……私たちの国では、女王様と王様というのですが……そちらの国では違うのかなと……思いまして……ふええ! す、すみません……」

「女王も王様もいますわ! ただし、2種族のみ呼ばれている言葉ですわね」



:そうなん!?


:向こうでは女王と王様は言わないんだ


:え~じゃあどの種族だろ



「まず女王と呼ばれているのは、精霊女王様ですわ。そして王様と呼ばれているのは魔王様。この2種族だけですわね」



:精霊女王!! 忘れてたわ


:なるほど!


:確かに魔王様だもんな……


:ほええ……確かにそう考えればそうだなぁ……


:つまりあれか精霊族と魔族以外は全て王女と男王って言うんか


:結構わかりやすいな



「そんな感じよ! 勉強になったかしら!?」

「1つ質問良いかな? よく本だと婚約破棄ってあると思いますけど、そちらの世界にもあるのですか?」


 ミレーが首を曲げる。

 確かにこの世界の本だと婚約破棄という小説? もなかなか有名らしい。

 婚約破棄……一度王女と婚約を決めた男王が別の令嬢と付き合いその婚約を破棄するといったシナリオが多い。

 この部分に関しては、直接政治に関わっていない私にはわからない。


「一度男王と王女が婚約してその後、婚約破棄というのはあるわよ。基本男王から王女が多いのだけど、王女から男王に婚約破棄することもあるわね」



:へぇ、あるんだ!


:まぁ……この世界でも浮気があるしな……


:確かに離婚があるならあるか


:にしても陸海空さん静かだな


:↑黙って必死にメモしてる



「なになに~!? チャット欄見てるよ~? すごく勉強になったからつい黙っちゃった! てへぺろ!」



:しっかり見られてた!


;だろうなwww



「とりあえず私からの世界勉強はこれで終わりですわ! 次は、スメラ嬢から魔力についての勉強ですわよ! 皆さん覚悟なさい!!」



:きたー! 本命魔力勉強だああ!!


:めっちゃ気になる!!


:楽しみすぎるんだが!!



 そんなチャットが流れている。

 ちなみに私は、横に座ってカメラには映らないため、チャットを携帯で見ているのだ。

 するとディア王女が戻ってくる。

 かなり息が上がっていた、相当緊張していたのだろう。

 

「お疲れ様です。ディア王女」

「ええ、ありがとうフィナリア」


 私は水の入ったペットボトルをディア王女に渡すと、ディア王女はおいしそうにゴクゴク飲んだ。


「次は私の番ね」

「スメラ! しっかりやるのよ!」


 ディア王女がスメラ嬢に話しかけている。

 スメラ嬢は至極当然と言った顔をした。


「当たり前でしょ、バカ王女」


とそのまま教卓に上っていったのだった。

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