第23話 ゲーム生配信(ディア王女・スメラ嬢 編)②


 『スメラは何を選びますの?』

『別に何でも、このキャラにしようかしら』

『なんですの?そのキャラ』


:おーサーチェントじゃん、なかなか良いキャラを選んだね


:敵の位置をマークしてくれるよ!ものすごく使いやすい


:とりあえず能力使いまくってたらいいよ


『ふーん……とりあえず私が索敵するからあまり突っ込まないで』

『いやよ!私は戦いたいわ!』

『そう言って何回負けたのよ。そろそろ頭を使ったらどうなの?』

『何よその言い方!』


:相変わらず、喧嘩しとるなぁwww


:けどバカ王女って言わなくなったな


:確かに


:まぁ、実際キャラ的にはディア王女後衛だからな……



『どこ降りようかしら』

『別にどこでもいいでしょ』

『じゃあここにしますわ!』


ディアは奥に見える山の谷間にピンを指す。

特に何も支援物資は無さそうだが……


『なにもなさそうですが?』

『知らないわよ!あんたがどこでもいいって言うから降りたのよ!』

『はぁ……少し先に家が2件ありますからそこに着地すれば?』

『何でよ!』

『武器ないと戦いにならないでしょう!』


ということで、ディアは奥に見える家の前に降りる。

どうやら敵は降りてきてないようだった。


『武器があるけど覚えてられないわね……』

『センチュリガンあったわよ!』

『なにそれ』

『センチュリガンとしか読めないわ』

『とりあえずもらっとく。代わりにこれあげるわ』

『何よこれ、マスティ?』


:マスティショットガンか、強いよ。


:強いね。ショットガンシリーズは


:このゲームには、狙撃銃(遠距離1発強ダメージ)とアサルトライフル(中~長距離低ダメージ連射)サブマシンガン(近距離低ダメージ連射)とショットガン(超近距離低ダメージ弾噴射)に分かれてるよ。ちなみに見分け方は、銃を持った時黄色枠ならアサルトライフル、水色がサブマシンガン。緑色が狙撃銃、赤色枠がショットガン。ちなみに弾も落ちてるけど、同じ色じゃないと無理


『なるほどですわ!ではこのマスティは赤色枠だからショットガンというわけですわね!』

『私が遠距離でディアが近距離か……まぁ脳筋王女にはちょうどいい武器ね』

『何か言ったわね!?スメラ!』


:ちなみにディア王女の使ってるぺラムって言うキャラは、一定時間無敵状態に入るスキルで、必殺技に、ワープポイント生成するキャラだから、使い慣れればめっちゃ強いよ。


『そうなの!このキャラ強いのね!かっこいいから思わず選んでしまったわ』

『ディア敵いるわよ。足音聞こえたわ』

『よし!行きますわよ!』


スメラがスキルを使う。

どうやら下に5人いるらしい。

敵に赤色のマークがついた。


『ディア必殺で下に行って、ここにおびき出せないかしら?』

『何で私なんですのよ!』

『仕方ないでしょう!私では厳しいのよ!あんたが下でワープ設置してくれれば、敵も一緒に来てくれるでしょう?そこを2人で撃つの』

『でも死んだらどうしますのよ!』

『コメント曰く必殺技とスキル同時に使えるみたいなこと書いてるけど?』

『ええい!行ってきますわよ!!』


ディアはべラムの必殺を打つ。

画面が途端に青色になる。

そしてそのままスキルを打ち、1階に走っていった。

1階に着いた瞬間必殺とスキルが切れ、5人から一斉に狙われる。


『ぎゃああ!』

『はやく戻って!』


ディアはスメラに言われるがままワープに入って元の場所に戻った。

どうやら敵も入ってきてるらしい……

そして敵の姿が見えた瞬間……


『行くわよ!』


ディアとスメラで一斉に出てきた敵へ発砲する。

ここまで至近距離だと、長距離武器でもさすがに当たる。

近距離特化のスメラもいるので、かなりの高ダメージになるのだ。


『逃げるわ!追いかけるわよ!』

『ちょ!ばか!罠に決まっているじゃない!』


敵が、再び中に入っていくのを確認して私達も突っ込む。

私たちのように、待ち伏せしている可能性はあるが。


『出たら狙われるわ。出た瞬間避けなさい』

『言われなくてもわかってるわよ!』


案の定出た瞬間狙われるが、ぎりぎり左にスライディングしたため、球が横を通り過ぎる。


『やああ!!』


ディアの放った、センチュリガンが敵の頭に命中し、そのまま倒れる。

まだ倒したわけじゃないが、これでひとまずは残り3人である。


『終わり、後2人は逃げたみたいね』

『はぁ……疲れたわ!』


ディアは、這いつくばっている敵3人を撃ち、ボックスにする。

そしてそこから、弾薬・シールド・武器を取った。


『アレステリアってアサルトライフルなのね。やっと武器2つになったわ』

『スライスライン……サブマシンガンって書いてるわね……』

『近距離は任せるわよ!』

『てか普通逆でしょ。何で索敵役が至近距離武器なのよ』


:うますぎ


:スメラ頭良すぎん?


:相手のキャラ的にクラフトで、蘇生用バナー作れないと思うから、取りに来るだろうな


不意にスメラがスキルを使う。

すると上に2つの動いている敵が見えた。


『上かぁ!先に行くわよ!』

『ちょっと待ちなさい!』


ディアはスメラの静止を聞かず、スキルを使って上に向かった。

どうやらさっき逃げた相手に間違いないようだ。


スキルを解除しそのまま一発センチュリガンで、シールドを破壊する。

後は、アレステリアで追撃……する予定が、隣から撃たれ、慌てて身をかがみ、近くにある障害物に隠れる。

しかし、後から来たスメラが、隣から撃ってきた敵を倒してくれたので、私はそのまま正面の敵に向かって飛び出した。


:CHAMPION行けるぞ!!


:おおお!!


:いけーーー!!


しばらくの撃ち合いの後。

ディア王女とスメラ嬢の画面にはCHAMPION!の文字が現れた。


:きちゃあああ!!


:1位チャンピオンないすう!!


:やばああ!


:残り2チームだったのか……


:2対5で勝ちやがった……


:スメラ嬢の即座な判断とディア王女のキャラコンがすごかった


:これはスメラ嬢のあの無茶な提案に、ディア王女がそれを完璧に実行して3人ノックしたのデカすぎる。


:結論2人の信頼は凄い


猫鎌ヒカリ:やばばば


フィナリア:おめでとうございます!


:ヒカリ語彙力無くなってて草


:↑ヒカリはやばいけど5人の時しかCHAMPION取れてなかった気がス……


そんなチャットの会話の中、ディアは相手の選手の詳細を見る。

名前にはITIGOと書いてあった。

最高100000ダメの2000キルの文字が見える。


:まじかよ!イチゴやんけ!


咲花さきはなイチゴは草


:現役ダイヤモンドマスターVライバーやんけ!


:ん?そんな相手に2人で勝ったの?


咲花イチゴ:負けたー上手すぎた。ナイスバトル!


:!!?本人!?


:スナイプした?


咲花イチゴ:いや、ランキングマッチ5連敗くらいして、そのままのパテで、フリー潜ったらここに来た!


猫鎌ヒカリ:先輩!!にゃ!


:草、そういう仕様だったな


:そしてここで初心者に負ける……


:この2人初心者はバグっとるてwww


:実際初心者なんよなあ……


:プロパーティー5人に初心者2人が勝ったの?チーターでは?


:時々外してもいたからチーターではない。


:人力チーター


:ディア王女のキャラコンと、スメラ嬢の未来読んだんじゃないか説の判断、が異常なんだよな、エイムだけなら、ワンマガキルをしまくるフィナリアが異常。


:この3人組むんだろ?


:地獄絵図じゃねえか


『とりあえず初めてチャンピオン取れたわ!!』

『はぁ……疲れた』

『とりあえずこの配信はこれで終わるわよ!頑張ったから登録しなさい!分かったわね!?』

『じゃあみんなもお疲れ。また生配信するからよろしく』


:おつかれー!!


:面白かったよ!


咲花イチゴ:おつかれさまー!!


猫鎌ヒカリ:お疲れにゃー


フィナリア:おつかれさまです


ディアとスメラは配信を終えるのだった。

ディアはそのままスメラの部屋に行く。


「なに?」

「そ……そのありがとうですわ!」

「別に……ちょっと抱き着かないでよ!」

「ずっと私スメラが嫌な奴だと思ってましたわ……だからついつい叫び返して」

「……はぁ、今更何を言ってるの?私がいつあなたの口調が嫌いって言ったのよ。むしろわざとよ、わざとあなたを怒らせて反応を見るのが好きなの。分かった?」

「な!心配して損しましたわ!」


ディアはそう言うと、スメラから離れ、後ろを向き歩きだした。


「ディア」

「なによ」

「これからもしっかり怒りなさい。期待してるわ」

「言われなくてもやりますわよ!だからちゃんと怒らせに来なさいよ!周りのコメントなんかにビビッてたら許さないわ!」


ディアはスメラの方を振り向き、軽く笑うと、そのままスメラの部屋を出ていった。


「……」

「おつかれさまです」


フィナリアが入ってくる。

やはりそういうことね……


「やっぱりフィナリアのせいなのね」

「すみません。スメラ嬢」

「いや、良いのよ。なんか落ち着いたわ、悩んでるのがバカらしくなっちゃって」

「しっかりディア王女を頼みますね、あんな風に見えて、元気ないこと話したら。スメラ嬢の事とても心配していましたから」

「まさか、ディア王女から慰めの言葉をもらうとは思わなかったわ。嬉しかった」

「では、ドッキリ大成功!ってことで」

「え?」


手に持っているのはスマホだった。

そこに写っていたのは……


:いい話だあああ!!!


:感動したぁぁ!!


:スメラ嬢最初はきついキャラだと思ってたのに……


:俺は信じてるからなぁ!


:スメラ嬢は今のままでいいんだよ


:これで大人しくなったら見るのやめてた。今のままでいてほしい


「これで誤解は解けましたね」

「本当……人が悪い」

「スメラ!」

「ちょっと!?ディア!?」

「皆様ここから先は内緒です。それではまた次の配信で会いましょうね」


とフィナリアは配信停止のボタンを押し、扉を閉め廊下を歩いて行った。


「良かったねフィナリア」

「はい、みさきさんがドッキリを提案してくれたおかげです」

「いやいや、ここしかないからね〜私の出番は」


しばらくディアとスメラ嬢は、部屋でずっと泣きながら抱き合っていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る