第10話 次の動画について


 私は、先日の動画に引き続き、新しい動画のネタを考えている。

まぁ、考えているというよりも、みさきの携帯を使って、調べているだけなのだが。


「どう?次の動画決まりそう?」

「いえ……なかなか素材を見つけるのって大変なんですね、みさきさん」

「そうだねぇ……そこは見つけていくしかないかなぁ。自分のチャンネルだからね」

「分かりました。探します」


私は引き続き、調べることにするのだった。

この世界に来てまだ間もないため、何をしても新鮮なので、悩んでしまう。


「……これは!これです!」


私が見つけたのは、個人経営の飲食店だった。

この世界の飲食店を回るのも全然いいと思うのだ。

私は早速、みさきに見せに行く。


「良いんじゃない?なんかテレビ番組みたいだけどね」

「テレビ番組って何ですか?」

「まぁ、動画投稿者と似たような感じ?だけど、主に事件とか天気予報とかを教えてくれる場所?と言えばいいのかな。あとは子供とかも見るから規制が多いくらい」

「なるほど……」

「一応、前に連絡しといた方が良いかも、私が撮影OKかどうか聞いとくね」

「はい、よろしくお願いします」


さて、これで行き先は決まった。

後は、みさきの撮影許可待ちとなる。

一応2人にも伝えておこうと思う。


ガチャ……


「ディア王女様、スメラ嬢様」

「「きゃあああ!!」」


私が無言でドアを開けると、裸になっていた2人が顔を赤らめて服で前を隠す。

いったいこれはどういう状況なのか。


「何々!?大丈夫!?」


後ろからみさきも走ってきた。

まぁ、2人の事なので、恐らくは何か張り合ってはいたのだろう。


「何があったのですか……?」

「そうよ!聞きなさい!フィナリア!このスメラ嬢が私よりも胸が大きいって言いだしたのですのよ!?見なさい!」

「それはあんたが胸大きくなったかなーとか言ったからじゃない!現実を言っただけだし!裸にされる筋合いなんてないし!ちょ!?脱がそうとしないでよ!」


とディア王女がスメラの手を引っ張る。

しかしスメラ嬢は断固として離さない。


2人共に隠しながらというのが逆にすごいと思う。


「ディア王女様、そこまでしなくても分かりますから大丈夫ですよ。それよりも新しい動画の場所決まりましたよ」

「それを早く言いなさい!フィナリア!」

「すみませんディア王女様」


とりあえず2人には服を着てもらい、下の食堂に集まるように言った。

しばらくして2人が降りてくる。


「来ましたね、2人共前の椅子に座ってください」

「良い物が出来たんでしょうね!フィナリア!」

「分かりました」

「とりあえず次の動画のタイトルは【はじめての飲食店】に決めようと思います」

「いんしょ?なんですの?」

「いんしょくてん?の意味を教えて」

「はい、飲食店とは、この世界で言うところの食べたり飲んだりする場所の事です」

「なるほど良いわね!食べてみたいわ!」

「それなら私も一応賛成」


どうやら、ディア王女とスメラ嬢もこの世界の食事には興味あるようだった。

私も興味がある。


「だから今回の主役は私達3人ってことになります」

「誰が動画撮るの?」

「はい、この三脚?というものを動画用にみさきが買ってくれました。ここにカメラを取り付けて私たちを取ろうかな。という風に考えています」

「この世界にはいろいろなものが売っているのね!私の国にも欲しいわ!」

「ぜったいろくな使い方しないでしょ」

「なんですって!?スメラ!王女の使い方をバカにする気!?」

「だから正直に言っただけだってば」

「正直に言わなくていいわよ!」


普段通りの2人が戻ってきたのはいいものの、まだ肝心のアレを聞いていない。


「みさきさんところで許可は出たのですか?」

「それが……」


私の隣に座っているみさきに声をかける。

みさきは一瞬暗い顔をする。

これは……大体ダメだったときにする表情だ。


「ぜんぜんOK だそうでーーす!」


急に笑顔になって言ったので一瞬焦る。

しかし、これは成功のようだ。


「やったわね!フィナリア!」

「ところでさいつなの?」

「うん、さすがに明日は無理みたいだから、明後日の開店前7時半くらいからならばいいよって!」

「開店は……9時ですね」

「じゃあ7時くらいに家出たらいいんじゃない?」

「そうですねそうしましょう」

「楽しみだわ!!」


ということで、今日と明日はゆっくり休むことに決めたのだった。

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