第9話 動画の反響と感想


私はひたすら編集作業を行っている。

編集作業の中で特に大変なのは、周りの風景をモザイクで消す作業だろう。

みさきにやり方は教えてもらったが、本当に大変でかなりの時間がかかってしまっている。


「おつかれ〜はいコーヒー!」

「ありがとうございます。みさきさん」

「本当に頑張るねぇ」

「そうですね、ここで頑張らないと行けませんから……」

「まぁ無理したらだめよー」

「はい」


そんなこんなで時間が経ち……


「これで……終わりです!」


私は、最後保存のボタンをマウスでクリックする。

これでようやく作業編集が終わり、自由な時間が出来たのだ。

時間を見るともう午前5時になっている。

作業時間的には、約6時間だ。

私ながらよく頑張ったと思う。


「フィナリア!終わった!?見せなさい!」


ドアを開け、ディア王女が私の膝の上に乗ってくる。

余程楽しみだったのか、早起きしたらしい。

ディア王女にしては、かなり珍しいことである。


「はい、少し待ってくださいね。今動画を載せますから」


私は【投稿】ボタンを押す。

すると動画の真ん中に、グルグル回るもの、そして下には白色の線ががでてきた。

みさきによると、これは今動画を、このアプリに読み込んでいる途中だそう。

下の白い線が全て青色になれば、動画投稿完了らしい。


「そうですね……この調子だと……今日の昼過ぎには見られると思います」

「えー!今見たいわ!って痛い!何するのよ!」

「やっぱりここにいた。あんたフィナリアが困ってるわ。さっさとどきなさい!」


スメラ嬢が、ディア王女の頬をつまみ引っ張って行った。

仲の改善は、どうやらまだまだかかりそうだと思う。


(さて私も寝ましょうかね……)


本来の使用人立場である私ならば、朝で寝ることは断じて無い。

しかしここにはみさきがいるので、ゆっくり休もうと思う。


「フィナリアさん、フィナリアさん!起きてください。ご飯が出来ましたよ」

「はい……?」


どれだけ寝たのだろうか。

私はゆっくり目を開けると、目の前にはみさきの顔があった。

外を見るとすっかり夜になっている。


「すみません……今何時でしょうか?」

「えっとね、19時だよ〜」

「18時……寝たのが6時頃だから……!?」


私は慌てて飛び起きる。

まさか12時間も寝るとは思わなかった。


「フィナリアさん、気持ちよさそうに寝てるから、起こすか迷ったんだよね〜」

「全然、起こしてくれて構いませんよ」


私はゆっくり体を起こし、1階に歩いていく。

既にディア王女とスメラ嬢は、席についてご飯が来るのを待っていた。


「あっ!フィナリア!遅いわ!」

「おはようございます、フィナリア」

「ディア王女、スメラ嬢おはようございます。すみません、思ってた以上に寝てしまいました」


私は2人に軽く謝ると、対面するように座る。

早速、投稿した動画を見る時間である。


「楽しみだわ!早く始めなさい!フィナリア!」

「私は別にだけど」

「それでは行きます」


私はゆっくりと再生ボタンを押した。


『それではまた次回の動画でお会いしましょう』

『良いわね!?私の活躍をこれからもどんどんと見なさい!』

『王女が出てると誰も見たくないと思うけど、一応よろしく』


これで約20分ほどの動画が終わる。

2人は本当真剣に動画を見ているので、私はただ黙って横で見ていることしかできなかった。

ここからコメント読みの時間である。


ーーコメントーー


名無しのA:めっちゃおもろいやんけ!スラム国俺好きだわwww


名無しのB:あれ?前と服違うけど変えた?

名無しのC:前の服装だとスーパーで目立つだろwww


名無しのD:とりあえず無事帰宅おめでとう!1つ思ったのは、スメラ嬢?はもっとディア王女?に優しくしてもいいと思う?

名無しのC:あんなわがままの王女がいてたまるか、もっと厳しくしてもいいくらいだぞ。


「ちょっと!何よこの人!わがまま王女ですって!!」


ディア王女が慌てて返信しようとするため、私は慌てて止める。

ここで返信してしまうと、恐らく負けてしまう気がするから。


「無視で大丈夫だと思いますよ、ディア王女様」

「ふん!」

「わがまま王女は間違ってないでしょ」

「なんですって!?」

「2人共まだまだ返信来てますから見ますよ」


ーーコメントーー


名無しのE:この動画見て、自己紹介動画見たけど、2人の癖強いなwww 王女と嬢様ってなんだよwww

名無しのB:国として言ってるならば合ってるんじゃない?なお撮影者が一番まともって言うね……

名無しのF:俺も自己紹介動画の時から見てるが、フィナリアの頭良すぎだよな。

1日で日本語完璧に話せるようになってるってことだろ?

名無しのG:マジ?と思って自己紹介動画と比較したら、別人で草www

名無しのH:ほんまやん。


名無しのI:@名無しのG:草に草をはやアスナ

名無しのC:@名無しのI:はやアスナってなんやねん。てか誰やねん。


名無しのJ:なんか上のコメントの返信コントになってるけど、というか普通に生配信とかしてくれないのかな?割と広がると思うけど。

名無しのA:生配信めっちゃわかるわ!3人でゲーム配信とか絶対おもろいやろwwwあとコラボ配信とかもなwww

名無しのK:@名無しのA:ゲーム生配信だと、2人が足の引っ張り合いして揉める未来しか見えんwww」

名無しのC:@名無しのK:それがええんやろ。てかゲーム生配信とかコラボとかのそういう系は、フィナリアが主に司会しそうだな。

名無しのK:@名無しのC:あれ?フィナリアいないと終わってたくね?

名無しのA:@名無しのK:間違いない



これでコメントが終わっていた。

割とコメントが多いような気がしたのだが、どうやら返信が多かったらしい。

それにしても生配信……。

みさき曰く、視聴者とコメントで直接会話する配信方式らしい。

やってみてもいいかもしれない。

隣を見ると2人は気持ちよさそうに眠ってしまっていた。

私は2人を起こさないよう、2人の上から毛布を掛けてあげるのだった。

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