第5話 動画投稿開始

次の日。

私は慌てて目を覚ました。

しかし、そこはいつもの城ではない……


「うーん……むにゃむにゃ」

「すぅ……すぅ……」


ディア王女とスメラ嬢はまだ寝ている。

私は昨日の事を、すぐさま振り返り冷静になる。

私達は昨日、魔族軍に追われて、崖から飛び降り、死んだかと思ったけど何故か見知らぬ場所にいた。

そして今助けられた、みさきって人の家にいる。


(大丈夫覚えてる……)


私はゆっくりとカーテンを開ける。

気持ちいい明るい日差しが、部屋の中を包んだ。


「ディア王女様、スメラ嬢様起きてください。朝ですよ」

「私は眠たいの!もう少し……」

「うるっさいわね!ディア!」


急に叫ばれて驚いたのか、スメラが飛び起きた。

スメラに関しては、まだ何とかなりそうだけど、ディア王女は、なかなか起きてくれない。

しかし私には必勝法がある。


「そういえば、この国のお菓子というものを食べた事ありませんね。スメラ嬢。一緒に食べに行きますか?」

「私も食べに行く!!フィナリア!」


やはり思った通り、ディアが飛び起きた。

ディアはお菓子が大好きということを、私は知っている。


コンコン……


扉から音がなり、みさきが顔を覗かせる。


「皆起きたー?ご飯出来たから食べに来てね」

「かしこまりました。みさき様……みさきさん、ありがとうございます」


私達は、起きて早々だが、朝ごはんを食べに、食堂へ向かった。

無言で、朝ご飯を食べ終えた私たちは、とりあえず、配信するために、戸籍やらいろいろと、登録しに行く事になった。

私たちには、良く分からなかったので、みさきにほとんどやってもらいながら、無事、手続きを済ませることに成功する。


「とりあえず、自己紹介動画だけ取りましょ!」

「なんですの?それは」

「自分の紹介をするだけだよー自分は何者なのかというのを言えばいいだけ、あと、本名は控えた方が良いよ」

「私はディアでいいわ」

「そうですね、私も本名じゃないならフィナリアでお願いします」

「めんどくさいしスメラでいいわよ」

「分かった。じゃあグループ名は??」

「スラム国とかでどうでしょう?」

「良いわね!フィナリア!昔の国名ね!」

「こんなバカ王女の国名をまた……」

「なんですってスメラ!!」

「じゃあスラム国で登録するからー」


慣れた手つきで、文字を打ち込んでいく。

昨日、2時間のうちにかなり、日本語を勉強したので、なんとなく、何を書いているのか分かった。


「それじゃあ動画を撮るので集まってくださーい!」


みさきの言葉に、私たちはとりあえず、一か所に集まる。

どうやらこのまま自己紹介動画を撮るらしい。

なかなか新鮮な感じがする。


「それでは行きますよー!3、2、1!」


そうして自己紹介動画の撮影が始まった。

私たち全員が、撮影という物を初めてなので、なかなかいい感じにできない。


「ふぁぁ!終わったわ!」

「バカ王女、なに間違えてるのよ。ダサいわね」

「何よ!?王女にダサいとかあんた……」

「2人共、落ち着いてください!」

「いやー良かったんじゃない?3人素のままで、私はめっちゃいいと思う。これだと……撮り直しは必要ないかな。このまま投稿しようか!」


どうやらこの動画を、コトリ―ムの配信アプリで投稿すれば、全世界の人に見られるらしい。

そして私は昨日のうちに、利用規約?という物を軽く読んだ。

フォロワー1000人以上で、かつ動画が累計100万再生行くと、商業化として、お金が貰えるようになるらしい。

一応口座も、みさきと一緒に作ってもらった。

みさき曰く、お金を盗まれる恐れがあるので、登録した内容は、他人に話してはいけないのだとか。

ということで、早速私たちは動画を投稿した。

正直。どうなるのかは全く分からない。

しかし、やるならば全力でやりたい。

それはわたしも、ディア王女も、スメラ嬢も同じなようで、ほっとした。

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