第6話 自己紹介動画


私達は投稿した、自己紹介動画を見る事にする。

本来1日経たずに動画あげるのは、なかなか難しいらしい。


「皆様ごきげんよう!この私、スメラですわ!好きなことは遊ぶことですわ!ちょっとフィナリア!これちゃんと撮れてますの!?」

「はい、ちゃんと撮れていますよ」

「早くしなさいよバカ王女」

「うるさいわね!待ってなさいよ!」


相変わらずすごい喧嘩……

そんなことより、私達が、この小さな画面の中にいることが、不思議である。


「そして!私の嫌いな事はめんどくさい事ですわ!はい!終わり!以上!」


そうして画面が真っ暗になったタイミングで、私は画面を押す。

昨日教えてもらったのだが、これで動画は止まるらしい。


「なんというか……ディア王女でしたね」

「はぁ……こんなのと一緒にしないといけませんの?」

「スメラ嬢はどうなのよ!フィナリア!」

「かしこまりました」


私は再び再生ボタンを押した。

そうして現れたのはスメラ嬢で、見たところ、結構緊張しているようだ。


「皆様ごきげんよう。私第1級伯爵スメラと申します。

好きな事は静かに生活すること、嫌いなことは騒がしいことです。よろしくお願いします」


そこでまた真っ暗になった。

ちなみにこの撮ってる場所には、私とみさきしかいない。

だからディア王女とスメラ嬢は、お互い知らない。


「なんかつまらないわ!」

「バカ王女と違って、私は目立ちたくないの。目立ちたいなら勝手にどうぞ」

「何回も何回もバカ王女って……あなたね!」

「はいはい、ギャーギャー言う前に、まだ1人残ってるわ。黙りなさい」

「誰のせいよ!スメラ!」

「とりあえず行きますよ」


いよいよ私の番が回ってきた。

正直、私もつまらないと言えばつまらないと思う。

というか私は、王女の使用人なので、そんなのとは無縁の世界である。


「えー皆様ごきげんよう。私は、前でも紹介のあった、ディア王女とスメラ嬢の使用人をしています。フィナリアと申します。基本的には2人の仲介役やお世話係をしています。

私の好きな物は……基本ありません。

強いて言えば、ディア王女とスメラ嬢です。

嫌いと言いますか……大変なことは、2人の喧嘩の仲裁です。

よろしくお願いいたします」


そこで動画自体終わった。


「はっきりいったわねフィナリア!」

「大変なのは妥当でしょ、こんな王女がいるのだから」

「何を!?あんたも私に突っかかって来るじゃない!」

「私は単純に弄ってるだけだし」

「スメラ嬢、弄りにも限度があることをどうか、覚えてくださいませ」


とりあえず、これで私たちの自己紹介動画が終わった。


思ったよりも早く終わったのが、意外だった。

まぁ、自己紹介をしただけなので、そういうものなのだろう。


「なにか来てますわよ!」

「本当。でも読めないし」

「これはコメントだと思いますよディア王女。スメラ嬢。みさきさんいわく、ここで動画の感想を言ってくれるみたいです。私が読みますね」


と私はゆっくり上から読み上げていく。



コメント欄


名無しのA

・めっちゃおもろくて草。特にディア王女とスメラ嬢のキャラが濃すぎてwww


名無しのB

・流石にキャラ作りすぎ。おもんない


名無しのC

・ディア王女とスメラ嬢の使用人……フィナリアって強いの?


名無しのD

・使用人以外の2人料理出来なそうwww

名無しのE

・そもそも買い物すらできないwww


名無しのF

・3人が着てる服ってどこのやつ?見た事ないんだけど。

あとディア王女の冠?もしかして本物?

名無しのG

・そんなわけ無いだろ。

業者に頼んで作ってもらったんでねーの?


名無しのI

・期待の新人!どんなグループ名になるのか楽しみ!

すごくおもしろそうなのでこのまま見続けます!


というコメントが寄せられていた。

まだ公開して間も無いのだが……


「ちょっと!料理出来なそうってなによ!した事ないけどできますわよ!私は王女ですのよ!」

「王女だからこそ出来ないんでしょ。馬鹿じゃないの?」

「でも面白いとも言われているので、良かったのでは無いですか?」

「その通り!」


と急にドアを開けてみさきが現れた。

毎回急でびっくりする。


「始めで、こんなにコメントついてるなら充分!これから頑張って!批判的なコメントは基本無視でいいから!」

「分かりました。ありがとうございました」


私は頭を下げディア王女とスメラ嬢を見る。

2人は動画をひたすら確認していて……止まる気配がない。

2人も動画配信という物に、ハマってしまったようだった。

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