第5話 銀色鳥と英雄3


 

 お互い簡単に挨拶をして、警戒心を解いた。

 改めて、よく見ると身長もそれなりにあり、がっちり体型のメガネをした中年男性だった。

 名前はキリバラ・ライクと言うらしく商人だと教えてくれた。  

 そして、赤い髪の双子の姉弟きょうだいはライクの子供で、少女の方が姉でミリーと元気よく名乗っていた。

 少年の方は弟でケリーと名乗って、焚き火の周りを走り回っていた……「まるで犬だな」とジェイクは呟いた。


 どうやら、三人は隣町まで商売に出ていた帰りで、今回は子供たちも行きたいと駄々を捏ねて仕方なく仕事に同行させた……その帰りに野生の魔獣に遭遇してしまったらしい。

 ジェイクはその話しを聞き、あの魔獣ことケラトプスに遭遇したことが腑に落ちない……何か災害が起きてるんじゃないだろうか、もしくは誰かが意図的に仕掛けて来たのではないかと考えている。


「そもそも、なんでケラトプスがこんな場所にいるんだろうな? あいつらは昼間に活発的に活動する魔獣だったはずだし」

「そのことだが、元々この山で魔獣に遭遇した例が少ないんだ」

「そうそう! わたしたちよくこの山で遊んでるけど、魔獣なんて始めて見たもの! 動物はよく見るけどね」


 それに同意するようにケリーも頷いた。


「それにね! この辺りには伝説の守り鳥様がいるから、安全に暮らせるお話があるんだよ!」

「伝説って?」

「ああ……山々に伝わる昔話がありましてね。その物語に出てくるのが銀色に輝く守り鳥様が魔獣を鎮めて、人々に平穏を与える土地に変えたと言う言い伝えがありまして」

「あぁ……前回立ち寄った集落で聞いた奴か! その話しが本当で、魔獣と遭遇した例が少ないってことか?」

「一応、そういう風に感じますけど……あくまで伝説なので、偶然魔獣が湧きづらい土地柄なだけだと思いますけどね。それと、この河川に沿って下に下りてくと橋がありまして、そこを渡れば私たちが住む村に出ますよ」


 どうやら、現在いる場所から村までは近いようだ。川沿いに歩いて行けば迷わないらしい。


「ふむ。偶々たまたま……何か起きてるのかもな……だとしても、俺には関係ないからいいけど」


 特に興味を惹かれないので、どうでもいいと思った。


 それよりジェイクは、穏やかな野宿ライフを台無しにされたことが腹立たしく、それに一度『』が発動してしまったので無駄に惰眠だみんを貪りたくない。


「よければ、お礼もしたいので明るくなったら、一緒に村に行きませんか?」


 他のことを考えていたら、誘われてしまった。


「兄ちゃんともっといたいから、そうしようぜ!」

「そうよ! 一緒に行きましょうお兄さん!」


 双子までも、足止めに来てしまったと思ったジェイクだが、お礼も貰えるならいいかと一緒に村に向かうことに頷き了承した。


「やった! そしたら、さっきのすげー剣裁き見せて! それか風がグルグル回るやつ!」

「わたしも見たい! お父さんが邪魔で見えなかったし」

「しかたない、二人が眠くなるまで見せてやるよ」


 そして、時間は過ぎていき……


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