【20】雨と花と猫と思い出と、(猫部部員 茶都 うなべ) 総評

【20】雨と花と猫と思い出と、(猫部部員 茶都 うなべ)

https://kakuyomu.jp/works/16818093078557116925


⬜️全体の感想


▷タイトルについて

>雨と花と猫と思い出と、


タイトルだけの評価なら、内容に合っていていいかと。

ただ、最後の「、」は余計です。


▷キャッチコピーについて

>雨降る中私はあなたに訪ねる。「雨が好き?」


「訊ねる」または「尋ねる」ですね。キャッチコピーの誤字は恥ずかしい。

雰囲気はそれなりにありますが、作中にこんなシーンはないので、詐欺コピーです。


▷あらすじについて


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静岡県の端っこにある図書館でのお話。


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何かこう静岡らしい部分や田舎の雰囲気のある作品なら、こういうあらすじもアリなんですが、まるでそんな話ではないので不適格です。



▷文章について


中学生なので仕方ないとはいえ、作文以下ですね。

ろくすっぽ描写がない上にこのストーリーなので、一行ごとに突っ込む始末でした。短編には文章のダイエットを、とこれまで私は繰り返してきましたが、この文章は栄養失調の部類です。必要な要素、読者が求めている情報すら足りていない。


例えば森の性別。フルネームが出てさえ最後までわかりません。一人称とはいえ外見的な描写は可能(自身の体や菊矢の反応など)ですが、それらは一切なし。小柄な男性としても読めるので、最後までイメージが固まりません。


この舌足らずな文章は、物語を謎めかせるために意図されたものとも思えますが、壮絶な爆死を迎えています。

確かに言葉少ない文章から、読者に裏を読ませる作品は存在しますが、それはある程度書き慣れた人のみ許されるもの。まともに書くのも覚束ない段階で手を出せば大やけどします。今作がまさにそれ。これぞ中二病です。


花言葉が好例ですが、こういった意味深な使い方、「調べて初めてわかる」という要素は、物語に魅力があってこそ成立するものです。「調べなくても面白い」からこそ、読者は調べてくれるわけで。謎解き要素はしっかりした物語作りの前提があればこそ。小学生が適当に考えたなぞなぞを、まともに相手する大人はいません。同じことです。

これは内容の問題ですが、文章形式を選ぶ時点でのミスでもあります。


アドバイスとしては、まず誰でもわかる簡単な話を書いてください。

それに慣れたら、「一箇所だけ」伏線や謎めいた部分を入れましょう。

それが読者に疑問を持たれず、ちゃんと読み取れるようなら、そこから一つずつ少しずつ、伏線を増やして、凝った作品に挑戦していくんです。

今作は、その段階をすっとばし、いきなりハイランクに挑戦していると言えば、その無謀ぶりが伝わるのではないでしょうか。


現時点での実力では、おそらく「誰でもわかる話」を書くことさえままならないはず。

別にそれはそれでいいんです。まだ中学生ですから。

段階を踏んで書き続け、レベルを上げていくのが大切だという話です。もちろん、色んな読書や経験を積極的に積み重ねながら。



▷ストーリーについて


現時点では、日記やメモと大差ないレベルですね。

具体的には、他人のために書かれていません。

自分の世界を文章にしただけの、ただの自己満足。

文章も内容もそんな感じ。作品未満です。

別にそれはそれで構いませんが、だとしたら日記同様、表で公表するようなものではありません。


「ながら感想」で何度書いたかわかりませんが、とにかく話が意味不明です。

菊矢の過去の失恋(多分)を匂わせ、読者に想像させたいという意図は感じますが、その手掛かりが花の名前しかないですし、二人の表情や反応が無茶苦茶なのでそこから一切情報が読めません。むしろ「この二人、頭大丈夫?」と心配になります。


短い間の話でありながら話題は意味不明にぴょんぴょん飛ぶし、二人の関係性はおろか性別すら説明されないし、名前しか出て来ないレベルのキャラが最後に森の語りでデカい顔してるし。雨はともかく猫の要素は全く不要だし。


この話は、何かもっと別の物語の外伝とかスピンオフとかですかね?

もしそうなら多少なり納得できます。まあそれにしたって「誰?」という印象を覆しませんが。とにかくひたすら説明不足で、読者が首を傾げているのに、ニヤニヤ悦に入っている作者の顔が文章から見え隠れするのが最高に不快です。企画でなければ最初の三行で読むのを止めています。仮にスピンオフならネガキャンレベルです。


アドバイスといっても、こうまで全体が意味不明だと何を書くべきか迷いますが。

まず、短編を書くなら、要素は一つに絞りましょう。

今作のプロットが「菊矢が引き摺る失恋を、花を通じて慰める」なら、そのために必要な情報をまず考えて、それを並べながら、より効果的な会話やアイテムを配置すべきかと。


例えば前提である菊矢の恋人の情報。別れ方。何年前のことなのか。

菊矢と森のキャラクター。二人の関係性。菊矢と森の心情。

舞台設定。元恋人と森の関係。花を植えた経緯。花に思い入れる理由。


ここら辺は最低限の情報で、話を自然に進めたり盛り上げるために、何かしらの要素やシチュエーションを追加する形ですね。


少なくとも「猫を拾う」は選択肢に出てきません。「元恋人が猫嫌いだった」とか、そういう意味を持たせられるなら別ですが、それにしたって「花」というテーマから離れてしまうので。同様に、舞台が図書館である理由もないので、再考していいくらいです。鉢植えが許される職場なら何でもいいかと。テーマの邪魔になっているまであります。



▷キャラについて


森と菊矢、どちらもキャラがブレブレで、人物像が見えてきません。


菊矢の「過去を引きずりながらも明るく振舞う」という部分は、ままあることなので矛盾を感じませんが、それ以上の感情表現に踏み込めていません。話題がぽんぽん飛んだり、無意味に森への気持ちが漏れているのに、過去話の説明が一切ないので、実際のところどう思っているのか、読者にはさっぱりです。


森はもっとひどく、語り手なのに性別すら最後までわかりません。

謎めいた菊矢の台詞に謎めいた言葉を返す、典型的な中二トークを繰り広げるので、途中から理解する気が失せました。「おまえ、どういう立場からそれ言ってんの?」が最後の感想でしたね。脈絡もなく反応が変わるので、躁鬱を疑います。


▷アドバイス回答について

>・中盤辺りにお願いします


最後まで意味不明か!!!


⬜️総評

・とにかく意味不明。情報を伏せすぎの中二小説。

・日記レベルの自己満足文章。読者を意識すべき。

・難しい挑戦は、普通の小説を書けるようになってから。


「オブラート不要」とのことでしたが、最初は使っていたんですよ。

やっぱり相手は中学生ですし。

でも無理でした。だって徹頭徹尾、意味がわかりませんもん。

中学二年生に言っても仕方ないですが、「ザ・中二病」です。


まずは「言いたいことを相手に伝える」ことから始めてください。

これは小説に限った話でなく、トークやメールでもいいですから。

小説は物語を通じて、読者に思いを届けるものです。

上手いとか面白いとかクールとかは、その後です。

中二病とは、そこをすっ飛ばしちゃう現象ですからね。


せめて高校生まで書き続けて、過去の自分を「抹消したい」と思えるところまでがんばってみてください。そこからが本番です。私もそうでしたから。


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