[雑話]スポチャンと小説
じっくり感想企画を終えて、久々に通常進行の小説雑話です。
とはいえ今回はただのエッセイ。創作論は掠める程度の雑談になります。最初は[駄文]でしたが、流石に止めときました。
私の別の趣味、スポーツチャンバラの話です。
御存じですかね、スポーツチャンバラ。通称スポチャン。
武器は自転車のゴムチューブが入ったエアー剣。防具は面だけつけて打ち合うニュースポーツです。
ルールは簡単。どこでも先に当てた方の勝ち。
お手軽で自由度が高く、戦い方の幅が広い点が気お気に入りです。
武道と呼べるかは微妙ですが、バトルを書く参考にもしています。
梶野はもう二十年くらい、このスポチャンをやってまして。
たいして上手くも強くもないんですが、一応先生の肩書です。
私は陰キャのインドア派で、体育会系のサークルはこれが初めてでした。
それが何故に三十路も過ぎてチャレンジしたかというと、答えは明快。
小説のためです。
当時からバトルを書いてましたから、自分も何かした方がリアリティが出ると思いまして。個人的には
まさかこれほど長く続くとは自分でも驚きです。私は飽きっぽい反面、ハマると長く続くタイプみたいです。
あと、独身の梶野にとっては、現代の子供や親御さんに触れられる貴重な場所でもあります。これはなかなか得がたい体験で、三十代の自分にグッジョブと言いたいです。
さて。スポチャンで語れることは多々ありますが、それは次の機会に。
今回は道場として、地域のお祭りに参加した話をします。この三連休のことですし、一応小説にも絡む話なので。
我が地元では、毎年大きなお祭りが催されます。
うちのスポチャン道場は近所の兄弟道場(同じ師匠から派生した)と合同で毎年参加し、子供を集めて体験会を行うのが恒例でした。
コロナ大流行のせいで、今年は実に五年ぶり。
年単位で活動を止められ、うちの道場もめっきり子供が減りました。
その分を取り返すべく臨んだお祭りです。兄弟道場も気合入ってます。チラシも用意し、才能ある子供を隙あらば?勧誘します。まあ経験則では、イベントで入門する子はまずいないんですが、やらなけりゃ確実にゼロですから。
私の役目は勧誘と基本指導。道行く親子に声をかけ、「やりたい」という子に剣を貸して、ミットを打たせたり、椅子に座った私と対戦したり。なんせルールが簡単なので、勧誘はお手軽です。特に男の子は剣を振ってるだけで目を輝かせて近寄ってきます。
慣れてきたら兄弟道場が担当する試合コートに誘導して、子ども同士で対戦。連勝したら賞状と勧誘チラシがもらえます。体のいいスカウトですね。
このチラシには二つの道場の案内が併記されてますが、どちらに来るかはお客さん次第で、どちらに勧誘とかは決めていません。ただ二つの道場は明確にカラーが違っていて、うちは気楽に楽しむ方針、もう一つは試合志向なんです。そうですね、草野球と高校野球みたいなものだと思っていただければ。
実はこの祭りの前まで、私は少し迷っていました。
うちの道場の方針が間違っているのかも、と。
というのも、同じコロナ後でもあっちの道場は人が減らなかったんですよね。もちろん各家庭の事情はあると思いますが、うちは十人単位で辞めたので、少なからず自信をなくしてたわけです。
やはりわかりやすい成果や目標があった方が、子供のやる気は続くんじゃないか、とか。チラシを見ても成果に繋がる方を親御さんが選ぶのも当然かな、とか。
うちもちゃんと教えてはいますが、積極的に試合を推奨する方針ではないんです。私自身も土日が休みづらい仕事で、試合参加に消極的ですし。
ちなみにスポチャン業界では試合が全て的な道場が圧倒的多数で、うちみたいにのんびりしたとこはほぼありません。私というか館長の方針ですけどね。
まあそんなこんなで、「もし入門希望が来てもあっちに行くんだろうなー」とか、若干ネガティブな気分で子供の相手をしていたんですが……
子供相手に声を張り上げてたら、そんなことすっかり忘れてましたw
ひたすら楽しかったんです。
打ち返す剣を懸命に避けたり、時には転んだりする子供と、それをスマホで撮る親御さん。
「座ってるのになんか無敵なおっさん」から、何とか一本取ろうと列を作る小学生。 仲間内で調子に乗る中学生。自称空手黒帯の挑戦も受けましたっけ。
外国人らしく、片言の日本語で大はしゃぎしながら剣を振り回す青い目の子供たち。「試合よりこっちの方が面白い」と、延々挑んでくる女のコもいましたっけ。
結局、ろくに食事休憩も取らないまま、朝から夕方まで子供の相手をしてました。翌日の筋肉痛と焼けた顔はマジでヤバかったですが、不思議なくらい気分はスッキリしました。
ああ、これが私の一番やりたかったことだなと。
試合で勝ったり、全国を目指したり、道場の名を上げたりよりも、こっちの方が楽しい。
別にうちの道場に来ても来なくても、あの瞬間、子供が楽しんでくれたなら、スポチャン続けててよかったなと、心から思えたんです。
下手なおっさんの負け惜しみでなく、すとんと胸に落ちる結論でした。まあ、道場の人間としてはよろしくない考えかもですがw
同時に、気がついたことがあります。
梶野の執筆スタンスも、根っこは同じなんじゃないかと。
コンテストもランキングもガン無視。自分の好きなものを好きなように書いてる梶野ですが、「何のために書くのか」を改めて問われると言葉に詰まることがあります。小説を書かない人相手だと特に。
評価の場に立たないのは逃げてるだけでは、とか。身内評価に甘んじていては成長しないのでは、とか。たとえカクヨムが場違いにせよ、読まれる為に自分を変えるべきでは、とか。そもそもカクヨムで書く意味があるのか?とか。
何度、自問したかしれません。今、自分が書いているものに、果たして価値はあるのか?……と。
でも、祭りの後で気がついたんです。
私は世間や誰かに評価されるためでなく、読んだ人を楽しませたい一心で書いてきたことを。
最大の目的はそこで、それ以外は実はどうでもいい。少なくとも私はそういう人間なんだと、改めて認識しました。
モヤモヤした迷いが、すっきり晴れた気分です。
もちろん、上手くなる努力は続けますよ。
目指すゴールが違うというだけです。
全ては今いる読者を楽しませるため。そしてまだ見ぬ読者に読んでもらうため。
そこら辺も祭りと同じですよね。
眼の前の子供を楽しませながら、通り過ぎる子らをどうやって惹きつけるか。
まだまだ工夫の余地があります。楽しみです。
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