【19】怪物(六花ヒカネ) その後のやりとり
【19】怪物(六花ヒカネ)
https://kakuyomu.jp/works/16817330654639185690
□六花ヒカネさん:
梶野様
返答が遅くなり申し訳ありません。少々体調を崩しておりました。
まずは読んで頂いたことへの感謝を。ありがとうございます。
がっつり読んで頂いたようで、初見は感想を読み進める際緊張のあまり指先の血の気が引くという珍しい体験もありました。
体調が落ち着きましたので感想の感想やご指摘に対しての返答をしていきたいと思います。
すべてを拾うと長くなってしまうので、一部を拾います。
まずは読みながら感想の方から。
>>それからバイトの現場まで行くために、普段は通らない近道の路地裏に入って——それがいけなかった。
>悪夢を見て早起きしたのが、近道をする理由になっていないのが気になります。普通は「遅れそうなので近道する」ものでは。
>悪夢を見る必要性は(先の伏線かもなので)わかりませんが、もし外せないなら、「早く起きたあと二度寝してしまい、バイトに遅刻しかけた」などの説明のほうが理解しやすいはず。
こちらは「悪夢を見た日」と「初めて怪物に遭遇して黙士になった日」が偶然重なり、本来忘れてしまうだろう「悪夢を見たこと」も記憶に刻まれている、というシーンになります。
近道は気分転換程度だったのでしょう。ここは描写不足ですね。
>>あれは危なかった。もう少し深ければ首を斬られてた。
>「斬る」は武器や刃物に用いる表現なので、熊の爪だとやや違和感があります。かと言って「切る」も迫力不足なので、「首が飛んでいた」とかどうでしょう。
「斬る」と「切る」について、これは単純に私の知識不足ですね。勉強になります。
指摘を踏まえて赤島ナイズに書き換えるとしたら、
「あれは危なかった。もう少し深かったら……今思い出しても首がゾワゾワする。」
になるでしょうか。これはちょっと改訂するかもしれません。
>>そう、黄鷺先輩!
>黒一色なのに名前は黄色なんですね。謎。
>赤島は炎の剣なので、余計そう思います。
赤島はとっつきやすさを重視しているため、名前と能力が近くなっていますが、他はそうでもありません。
これに関しては黄鷺の名前には一応設定が存在します。いずれ黄鷺のCaseも上げる予定です。
>>久我さんは当時からやっぱり威圧感があってさ。学校の厳しい先生みたいだなって思った。
>一言で人物像が浮かんで、いい描写だと思います。
ありがとうございます。これは私も自信がある描写です。
>>とんでもない絶叫で満たされてた。
>ちょっと口語から離れすぎ。小説ぽくなっています。
>「とんでもない絶叫で耳が痛くなった」
ぐうの音も出ない指摘です。ちょっと赤島から書き手に寄ってしまってますね……。
>> 黄鷺先輩が呟いたのが、声の止んだ部屋にやけに大きく響いたのを覚えてる。
>場面の締めくくりとして、なかなかのセンスだと。
ありがとうございます。場面の締め括りには結構気を遣っています。
>>そいつはそのまま転びそうになりながらもこっちを向いて、
>文頭1マス下げを忘れています。
純然たるミスですね。修正しておきます。
>>「あのすいませんやばいんで! 刀を抜けるようにしてください! パパっと! このままだと死ぬんで! お願いしますほんっとに!」
>ちょっと面白い。初めてだとこうなりそう。
狙って書いたのでそういった感想頂けて嬉しいです。
>>間合が届かなかったんだ……!
>「間合いが遠かった」か「刀が届かなかった」かと。
確かに「間合いが届かなかった」は変ですね。修正します。
>>「そうそう、スマホ。忘れてったよ」
>>「あ、ありがとう……」
>> 当初の目的だったスマートフォンを彼女に渡した。
>ここの文意がよくわかりません。
>後から家を出た主人公が、彼女の忘れたスマホを発見し、手渡したとも読めますが、「当初の目的」が意味不明です。ジャケットを着せるにかかっているんですかね?
>ここまでしてスマホを話に出す目的も謎です。
>この後、スマホが話に絡みもしませんし。
>特段の意味合いがないなら、この部分は丸ごと削っていいくらいです。
ここは描写不足ですね。永山の家に忘れていったスマホを彼女に返すというのが当初の目的でした。
>>肩を押されたのだと理解し、何とか腕で体を支えて、肩を押した張本人である彼女を見上げた。
>肩を押されて「倒れた」と書かれていないので、「肩を押されただけ」に読めます。「見上げた」でそれとわかりますが、読者の理解が遅れ引っ掛かります。
>男性が女性に肩を押された程度ではまず倒れないので、ここは「突き飛ばされた」とした方がわかりやすいです。「倒れた」ことも体を支える部分で明言すべきです。
彼女の膂力は人間のそれではないための描写でしたが、それならそうと分かるように描写するべきでしたね。
>>足音に混じって何かが擦れ合う音が聞こえる。
>これは意味が分かりません。何が擦れる音?
機動部隊の装備の音でした。
>>ダン、と音が鳴る。それが銃声だと気づいたのは彼女の額に穴が空いた時だ。
>>ぐらついた体はしかし倒れず、和樹越しに撃った相手である機動部隊の隊員を睨みつけた。
>男の背中越しに、寄りそう女を撃つとか、普通は誤射を恐れてやりません。まして専門職の人間が。非現実的です。
>せめて位置関係を「機動隊>男>女」ではなく、「機動隊>女>男」にすべきです。
これは位置関係や体勢の描写不足ですね……。少し練り直してみます。
>>男が鍵を回すかのように手首を捻り、刃の向きが水平から垂直へと変わる。
>描写はかっこいいですが、回す意味は不明ですね。
>刃の向きは上なのか下なのかが気になります。
>剣筋の描写がないので、バトル好きとしては想像のヒントとして欲しいところ。
>>彼女の体が、三つに分割されて落ちた。
>ここも、どう分割されたかの説明が欲しいところ。
>理由は上に同じです。
>「どう斬ったか」を書かないのは正解ですが、「どう斬ったか」を想像させるヒントは大事ってことです。
なるほど。確かに「どう斬ったか」を想像させるヒントは必要ですね。「どう斬ったか」については決まっているので、そこからヒントを置いてみようと思います。
>>和樹は赤に手をつく。はじいた赤が頬に付着した。
>この表現はいいですね!
ありがとうございます!
>>コーヒーを一口飲む。舌に触れたその味は、いつもと変わらず苦かった。
>忘却に対する不安とかすかな気付きの暗喩なら、「変わらず苦い」よりも「いつもと同じはずなのに、やけに苦い」方が適切という気がします。
ここに関しては「忘れている記憶を思い出すこともなく、日常に戻っていく」シーンですので、「変わらず苦い」のままの方がいいかな、と。
ただ、それに至るまでの永山の背景描写が足りていなかったので、こう指摘を受けるのは最もだと思います。
ここから総評についてです。
>・タイトルについて
>イマイチですね。あまりに平凡すぎます。
>とくに怪物に焦点を当てた内容にも感じられません。設定もよくあるやつですし。
>叫刀や黙士の方がオリジナリティがあるので、そっちに寄せたタイトルの方が内容的にも合っているという気がします。
タイトルについては自分でも平凡すぎるな、と思います。
>映像的な文章表現の試みも、あちこちに見て取れます。すべて成功してるわけではないですが、何も考えず書いている人に比べれば、一歩前に出ている印象です。
ありがとうございます。
>とくにシーンを締めくくる最後の一文にこだわりが感じられ、高く評価します。私も同じタイプなので、そのセンスは伸ばして欲しいところです。
こちらは読みながら感想の方でもありましたが、シーンの締め括りにはこだわっているので、センスを伸ばしていきたいです。
>黄鷺の名前について
>戦隊もの然り、キャラものでは名前と特徴は連想しやすい方が基本的にはいいです。赤島が炎の剣というのがわかりやすい例ですよね。
>ですが黄鷺は全身黒ずくめで、今のところ黄色との関連性は感じられません。
>まあ絶対リンクさせるべきというルールもないのですが、では彼女のキャラに名前が合ってるかと言えば、正直、あまり馴染んでる気もしません。
>もしか未使用だった叫刀の特性に合わせてるかもですが、むしろ一話目でこそ、その片鱗を見せてもいい気がします。
これは読みながら感想の方で答えた通りですね。ちなみに名前の由来等は決まっています。
>例えば、そうですねえ。
>叫刀は叫びのような黙士の「思い」を具現化するとか。そのために使用者の感情を食いつぶしていくとか。
>黙士の方は、抜刀中は声を奪われ、言葉を話すことが出来なくなる。まるで刀の奴隷のようになってしまうので、厳重にロックがかけられ、時間制限で強制納刀される仕組みになってる、とか。
この設定はちょっと私も読者として読んでみたいですね……。
>ここら辺、しっかり設定があるならそうとわかるよう開示した方がいいです。全部でなくてもそれとわかる程度は。
設定はありますが、このシーンでは「仕組みを知っている者がいない」ため、明かしませんでした。
>例えば個性付けの基本として、攻撃方法を変える手法が考えられます。対する主役のアクションも変化し、読者を飽きさせない工夫です。或いは二匹登場させず、一匹目が叫刀との共鳴で檻から逃げ出し、赤島と再戦闘させるという展開もありでしょう。これなら毛むくじゃらを造り込むだけで済みますし、一度目は逃げるしかなかった相手へのリベンジということで、燃える展開と言えます。
再戦闘、なるほどその手がありましたか……。
>内容的には謎めいた少女をかくまい、心を通わせた男の逃避行とその末路、という感じですが、とにかく主人公たち気持ちが舌足らずで伝わってきません。せめて二人が出逢った経緯と過ごした時間について、ダイジェストでいいので回想が欲しいところ。疑問の大部分は氷解するはずです。回想に抵抗があるなら、疑問に応じるヒントを随所に散りばめる必要があるでしょう。
>とくに「なぜ少女はいままで主人公を襲わなかったのか」「少女が人を殺したのはこれが初めてか」「人食いと知っての上で暮らしていたのか」などは、明言はされずともそれとわかるヒントを読者に与えなければ、読後にすっきりできないと思います。
こちらに関しては背景の練り込み不足及びそれに付随する描写不足ですね。
>あと、一話と二話で、怪物としての共通点がまるで見当たらない点も気になります。
>怪物がタイトルでテーマとするなら、何かしらデザインや特性に同一性、方向性を与えていくものです。でなければテーマを表現できないので。
>もちろんまだ話は序盤で、これから出てくるのかも知れませんが、三体のデザインや特徴に共通点を設けることで、伏線とすることは可能だし、重要かなと。少女は倒す前後に本性を現すとかにすればいいですし。
二話の目的のひとつが「怪物に外見は関係ない/人間の姿の怪物もいる」という点を伝えることでした。
以上となります。
指摘を受けた点や伸ばすポイントなど、非常にためになりました。
今回はありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。
■梶野:
>六花ヒカネさん
>梶野様
>返答が遅くなり申し訳ありません。少々体調を崩しておりました。
そういう事情ならお気になさらず。
気持ちの整理に時間のかかる方もおられますしね。
>まずは読んで頂いたことへの感謝を。ありがとうございます。
>がっつり読んで頂いたようで、初見は感想を読み進める際緊張のあまり指先の血の気が引くという珍しい体験もありました。
それは凄い!
本気で書いておられるのが伝わります。
>>悪夢を見て早起きしたのが、近道をする理由になっていないのが気になります。普通は「遅れそうなので近道する」ものでは。
>>悪夢を見る必要性は(先の伏線かもなので)わかりませんが、もし外せないなら、「早く起きたあと二度寝してしまい、バイトに遅刻しかけた」などの説明のほうが理解しやすいはず。
>こちらは「悪夢を見た日」と「初めて怪物に遭遇して黙士になった日」が偶然重なり、本来忘れてしまうだろう「悪夢を見たこと」も記憶に刻まれている、というシーンになります。
>近道は気分転換程度だったのでしょう。ここは描写不足ですね。
行動を関連付けると、シーンとシーンの繋ぎがわかりやすく、流れがよくなるんです。ストレスなく読んでもらうためには、繋ぎをスムーズにすることを意識されるとよいかと。
>「斬る」と「切る」について、これは単純に私の知識不足ですね。勉強になります。
>指摘を踏まえて赤島ナイズに書き換えるとしたら、
>「あれは危なかった。もう少し深かったら……今思い出しても首がゾワゾワする。」
>になるでしょうか。これはちょっと改訂するかもしれません。
いい感じだと思います。
>>黒一色なのに名前は黄色なんですね。謎。
>赤島はとっつきやすさを重視しているため、名前と能力が近くなっていますが、他はそうでもありません。
これに関しては黄鷺の名前には一応設定が存在します。いずれ黄鷺のCaseも上げる予定です。
なるほど。
設定があるなら、そこまで突っ込むものでもないですね。
>>場面の締めくくりとして、なかなかのセンスだと。
>ありがとうございます。場面の締め括りには結構気を遣っています。
物語のエンディングと同じで、締めくくりが読後感を左右しますからね。
>>ちょっと面白い。初めてだとこうなりそう。
>狙って書いたのでそういった感想頂けて嬉しいです。
赤島のキャラはよく書けていると思いました。
簡単なようで、結構出来てない例をよく見たので。
>>ここの文意がよくわかりません。
>>後から家を出た主人公が、彼女の忘れたスマホを発見し、手渡したとも読めますが、「当初の目的」が意味不明です。ジャケットを着せるにかかっているんですかね?
>ここは描写不足ですね。永山の家に忘れていったスマホを彼女に返すというのが当初の目的でした。
なるほど。ここの読みは一応合ってたんですね。
わかりづらかったですが。
>彼女の膂力は人間のそれではないための描写でしたが、それならそうと分かるように描写するべきでしたね。
それはそうですね。
永山が怪力のことを知ってるかどうかではんのうは変わりそうですが。
>>これは意味が分かりません。何が擦れる音?
>機動部隊の装備の音でした。
「ガシャガシャ」とか擬音をつけるとよかったかも。
>>男の背中越しに、寄りそう女を撃つとか、普通は誤射を恐れてやりません。まして専門職の人間が。非現実的です。
>これは位置関係や体勢の描写不足ですね……。少し練り直してみます。
バトルは描写が命なので、細心の注意が必要です。
>ここに関しては「忘れている記憶を思い出すこともなく、日常に戻っていく」シーンですので、「変わらず苦い」のままの方がいいかな、と。
>ただ、それに至るまでの永山の背景描写が足りていなかったので、こう指摘を受けるのは最もだと思います。
そこは作者のご判断にお任せしましょう。
>ここから総評についてです。
>タイトルについては自分でも平凡すぎるな、と思います。
方向はどうあれ、もう一工夫あってもいいでしょうね。
>こちらは読みながら感想の方でもありましたが、シーンの締め括りにはこだわっているので、センスを伸ばしていきたいです。
今のままでも十分ではあるので、むしろ見失わないように、と言うべきかもしれません。
>この設定はちょっと私も読者として読んでみたいですね……。
使えそうなところがあれば、遠慮なく持ってってください。
私も読んでみたいw
>>ここら辺、しっかり設定があるならそうとわかるよう開示した方がいいです。全部でなくてもそれとわかる程度は。
>設定はありますが、このシーンでは「仕組みを知っている者がいない」ため、明かしませんでした。
ここは展開をいじってでも、設定をチラ見せするような場面を設けた方がいいとは思います。
一話目で飽きられてしまわないためにも。
>再戦闘、なるほどその手がありましたか……。
怪物を考える手間は省けるし、舞台設定も悩まず済む。
一石二鳥でしょ?w
>こちらに関しては背景の練り込み不足及びそれに付随する描写不足ですね。
人間関係を読ませたいなら、やはり過去の経緯や設定は必須ですね。本編に描かれない部分まで考えてこそ、物語に深みが出るというものです。
>二話の目的のひとつが「怪物に外見は関係ない/人間の姿の怪物もいる」という点を伝えることでした。
この目的なら、二話目は早すぎますね。
もう数話、怪物らしい怪物を出してパターンを作った上で、変化球としてこういう話を持ってくるのがベストだと思います。
>以上となります。
>指摘を受けた点や伸ばすポイントなど、非常にためになりました。
>今回はありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。
お役に立てたなら幸いです。
私もこの手のバトルもの、大好物なので。
連載の続きを応援しています。
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