【18】カワリモノマニアック(さにぃ) 読みながら感想
【18】カワリモノマニアック(さにぃ)
https://kakuyomu.jp/works/16817330662568942558
じっくり感想企画も、ぼちぼち終わりそうな八月末。
なんだかんだで今年も疲労困憊でして、感想に二日かかってしまいすみません。待ってる方の気持ちを考えると、なるたけ早くせねばと思うんですが。
ということで、お待たせしました。
十八回目は、さにぃさんの作品、「カワリモノマニアック」。
ジャンルはえーと、「異世界転生もの」でいいんですかね。
じつは今作、長編連載物の第一話で、その時点ではまだ転生してなかったりします。ざっくり読んだところ、転生するところで終わってるというか。
まあ今回は人も少ないですし、一万字以下なら長編の序盤も読むことにしたのでお引き受けしましたが、この作品の真価という意味では、続きを読まないとわからないのかもしれません。前半だけだと現代ドラマみたいですからね。
まあ、序盤には序盤の価値が求められますから、そこをチェックしつつ感想を書いていきましょう。
さにぃさんのアンケート回答はこちらです。
初めまして。さにぃと申します。
申し訳ありませんが、参加方法を隅々まで読み切れていなかったようで短編ではない作品で参加しようとしてしまいました。
失礼とは思いますが、導入部分だけでも感想を頂けないでしょうか?
もし読んでいただけるのであれば、回答は下記のものにさせていただきます。
・特に意見が欲しい部分
→特にありません。
・「梶野だったらこう書く」アドバイスが必要か
→頂けると助かります。
次回からはこのような失礼な事が無いように気をつけます。
──はい。特にチェックポイントはない感じですね。
それでは、梶野が感じたところを忌憚なく書いていきましょうか。
じっくり感想、開始します。
⬜️読みながら感想
二読後の感想を、読みながら書きます。
>第1話:無力
内容を読んだ限り、「軽薄」の方が相応しいかと。
>やぁ、初めまして。俺はユキムラ リキ。
高校生と言うことで一度だけ言いますが、小説の文法では基本的に文頭は1マス下げます。「ウェブ小説だから好きにする」という方針なら強くは言いませんが。
>なので、脚色をかなり加えて俺を紹介しよう。
変わった自己紹介という狙いは悪くないですが、内容的に失敗しています。
この場合読者が期待するのは「大げさで面白い話」で、そこから「少なくとも話は面白いやつ」という印象を引き出せば合格です。が、自己紹介の内容はごく平凡で、むしろ「盛ってこれか」という印象になっています。ここは大ボラをふくべき場面です。
>両親はいるし、学校にも通っている。特に虐められることもなく親からの虐待も受けていない。勉強は苦手だが、興味のある事には熱中出来るのが俺の長所だ。それもすぐに飽きるんだけどな。
>あとはそうだな…趣味は読書とYorTubeだ。
>最近はラノベにハマっていて、投稿サイトを漁っては名作を拾う毎日だ。YorTubeでは宇宙やらパラドックスやらの難しい話を聞くのが好きで、あれを見ている間は自分も天才になったかのような気分になれて凄くいい。
別に問題は感じない内容ですが、先述したように「不合格」。
というか、一読した限り、本当のことしか話していないように見えます。脚色という話はどこにいったんでしょう。
もしかして、脚色したのは「俺の人生は至って幸福に満ち溢れている。」だけ、とかですかね? だとしたら拍子抜けです。
本当は不幸のどん底にあるキャラがこう言っているなら、なかなか面白い出だしだと思うところですが、そうも見えませんし。
>あとはそうだな…趣味は読書とYorTubeだ。
「…」は「……」にすべきです。
>やっとつまらない話が終わってほっとしている君
「この作者、大丈夫かな」とはちょっと思いました。
>本来会話出来ないはずの相手と会話がしたくてな。
会話は「言葉のやり取り」なので、読者とするのは無理です。
「話をする」なら一方的な意味も含むのでわかります。
>問. 次のうち、人間のあるべき姿はどちらか答えよ。
>1. 不変
>2. 無常
「不変」はともかく「無常」は運命的な意味合いが強いので、「生き方」の説明には不向きです。人生を翻弄する運命が「無常」と呼ばれるので。
私なら、と考えましたが、いまいち質問の意味が掴めないので代案が浮かびません。とくに漢字二文字で縛る必要がないので、わかりやすく書いていいんでは。こんな意味合いでしょうかね?
・変わらないでいること
・変わり続けること
>好きな方を選んで欲しい。正解は無い。何故ならそれは、今俺が痛感し、後悔し、何より迷っているからだ。
「正解がない」とわかってるなら、迷う必要はないのでは?
それでも正解を求めるから迷うわけで。
あと、他はわかりますが「後悔」は意味が分かりません。
後悔は選択の後に生じるものです。
>「──なんてな。誰に見られてるってんだ。」
「脳内で誰かに語るタイプのキャラ」ということですかね。
まあ二人称はだいたいそんな感じですが、それならその設定を否定する必要もないと思うんですが。
「二人称を装った出だし」を、あえてする必要がないというか。
駄文を読まされた気分になって、読む気が一気に減じます。
>彼と俺は、人類にとって最も重要なとある議題について議論していたのだ。その内容は──
>性癖についてだ。
ギャグとしてなら、この引きはアリ。
>「リキ、お前僕を裏切るのか!?またしても親友の僕を!?」
別に友人が裏切られたように見えないので、意味不明です。
主人公の性癖がどう変わろうと、他人の勝手では?
意気投合してたならいざ知らず。
>翔は俺の胸ぐらを掴み、鬼の形相で俺の顔を睨んできた。
ギャグなら許されるテンションですが、どうも本気なのかギャグなのか話が掴めなくて、戸惑いますね。
>「そうだよ!!お前は、お前はなんなんだ!自分の意思というのが無いのか!?僕は悔しいよ……お前に言われる度、僕は悩みに悩んでいたんだぞ!僕の考えが間違っていたのではないか?僕の性癖は異常性癖で、これから矯正しなければ周囲に迷惑がかかるんじゃないか?ってね!!!」
自分の意思がないのは友人の方にしか見えません。
主人公はまあ、執着がなくて飽きっぽいか、統合失調症なんでしょう。
>「あぁそうだ。お前はその後にこうも言ってたよなぁ!"俺はただ、成長してるだけだ"と!!」
気が変わるのを成長とは言いませんが、まあギャグなら……でも正直、ここまで全然笑えません。
>「僕はそれが許せないんだ!お前はあまりに軽薄すぎる!いつもそうだよな!何かに熱中する事はあっても、すぐに飽きて次だ!これまでは我慢してきたけどもう限界だ!殺してやる!」
なんでこの人、友人やってるんですかね?
まともなツッコミがいないので、ギャグが成立してない感じ。
せめて主人公に突っ込ませてみては。
>「次は絶対に決めるからな?この争いの結論。」
>「あ、うん。頑張ってくれ。」
うーん。
盛り上がりはなく、ギャグとしても面白くない感じ。
普段ならここで、読むのを止めるところ。
>ここまでで2時間も待たされたので少し頭が限界になっていたようで、
状況がよくわかりません。
相手が二時間遅刻しているということ?
>今日はシブいな。
これも何がシブいのか、意味がわかりません。
>「嘘だ。某位置情報共有アプリ見たけど、リキは2時間前からここにいたじゃん。それに昔から、リキは待ち合わせをすると決まって時間ぴったりに来るしね。」
私が友人で相手が二時間前から待ってると知ったら、その時点で何かしら連絡しますけどね。時間間違えてるのかと。
そもそも二時間前から待つ意味がよくわかりません。「いま来たところ」というギャグの為だとしても、長すぎです。せめて愛莉に突っ込んで欲しいところです。
>どれぐらい某位置情報共有アプリを使っていなかったかと言うと、スマホの機能で勝手に雲マークが付いていたレベルだ。某位置情報共有アプリを入れた当初は使っていて楽しかったのだが、ある日から心底つまらなくなって某位置情報共有アプリを開くことすらなくなってしまった。
「飽きやすい」という設定の補強はいいですが、説明が長すぎます。
>フランス人とのクウォーターという事もあり非常に整った顔立ちで、肌が異様に白く、服なんか明るいブラウンのフリルがついたワンピースを着てるからかまるで人形みたいだ。そこには美しさだけでは無く儚さがあるとすら思う。
この説明から儚さは感じ取れません。
特徴に何かしら要素が欲しいところです。
私なら、「色素が薄く、日差しの中に消えてしまいそうだ」とか書くと思います。
>いや、これは決して恋愛感情では無い。尊敬の念だ。
何を尊敬してるのかよくわかりません。
服装や可愛さを普通「尊敬」はしないですから。
というか、愛梨と主人公の関係がわかりません。単なる親友の彼女なのか、それ抜きで友人なのか。
愛梨が「昔から」と言ってるので幼馴染みかなとも思えますが、それにしては外見の評価が普通ですし。
ここは最初に明記したほうが話を読みやすいです。
>俺といる時もこのレベルという事は、この子の魅力は天然の物なのだろう。
ここも意味不明です。
「俺といる時も」ということは服装の話のはずですが、服装は天然ではありません。
>「中は思ったより綺麗だな。」
>「でも、なんだか寒いわ。」
>これを返してくるとは思わなかったな。
意味がわからないので調べたところ、「青鬼」というノベルのパロディですかね?
私が知らないだけならともかく、さしてメジャーなネタでもなさそうなので、パロディネタには不向きだと思います。知らないと全然面白くないので。
>「あっそ、じゃあ白い方にする。」
>「なんだお前は。」
初ツッコミですが、甘い。
私なら「俺の存在意義とは……」とかにしますかね。
>何故なら、俺が買うのはコ○ドームだ。
ネタなのかマジなのかわかりません。
まあネタならアリかなあ。
>流石に外で待ってもらう事にした。流石に2人で選ぶのは危険である。
「流石」が被っています。
>たまたま翔に会ったりしてしまったら、もうあいつとは親友でなくなってしまうだろう。
絡みの時点で親友感が皆無だったので、今一つ深刻さを感じません。
>店内は多種多様な商品が並んでいてカラフルだ。人によっては気持ち悪くなる程だ。
ドンキですかね。
>俺は彼女がいたことすらない童貞なので、ゴムの善し悪しが分からない。
あれっ、マジで選んでる?
>最近では"あの形"の物だけでは無いんだな。いや、それが最近であるかすら俺は知らないけど。
何が言いたいのかよくわかりません。
>こういう知識だって、俺は少しでも興味を持てば深い所まで知る事になるのだろう。俺はいわゆる、熱しやすく冷めやすい、ってやつだからだ。
主人公の性格紹介に使うなら、こう書くべきです。
「TONGAは以前に興味があって、種類も値段も調べ尽くしたが、今はまるで興味がない。俺は熱しやすく冷めやすいのだ。」
>愛莉は翔の彼女なのに、まるで今日は俺の彼女かのような感覚がした。
作中の描写を見る限り、全然そんな感じはしません。
>いや、こんなことを考えるのは良くないな。
至って当たり前の発想ですが、主人公にまるで共感できてないので少し安心しました。
>毎年プレゼントをくれていた愛莉が、何故か今年に限って渡してくれなかったのは今日の為だったようだ。
二人の関係の説明を先にしておくべきです。
>そもそも、俺にこの状況を拒否する必要はあるのか?
俺が購入したバ○フライをひとつだけちょろまかしてはいけない理由はあるのか?
「バ◯フライ」ではわかりにくいので、普通に「ゴム」でいいかと。
理由はさっき考えていたはずですが、まあここはこういうキャラということでもいいと思います。共感はしづらいですが。
>でも、俺は前から思ってたのだ。ヤりたいと。
性欲は否定しませんが、それなら親友の彼女になったことへの羨望とか複雑な思いとかありそうなものです。買い物時点ではそんな話ゼロでしたよね。
>高校生にしては十分に発達した胸部、腰のくびれ、猫のように大きな目や紅の薄い唇
最初の「儚げ」という印象と真逆の描写です。まるで別人。
>俺は今決して侵してはいけない領域を侵そうおしている。
侵そう「と」している
>昨日翔に言われた"軽薄"という言葉は、真に俺の事を形容していたといえるだろう。
そこよりまず考えるべきことがあると思うんですが。
>「あ、そうだ!私の部屋紹介するよ。せっかくだしね。」
部屋は知らないんですか。
この二人の関係が一気にわからなくなりました。
>明らかに遮られたな。食い気味だった。あと何がせっかくなのかは分からない。
ここで一服盛る理由も不明です。
ギャグにせよ、動機くらいはあるべきでしょう。
>もう犯しちまっていいんじゃないだろうか。
「犯る」は犯罪を意味するのでマイルドに言い換えるべきかと。
主人公の心証を少しでも回復したいなら。
>さっきから思考が乱れすぎだぞ。落ち着くんだ俺。
家に来た時点で覚悟完了してましたよね?
>俺は、また飛び立つのだ、新しい花に。まるで、花園でひらひらと飛ぶ蝶々のように。そしてその蝶々バ○フライは俺の息子にしっかり装備された。始まるのだ、これまでの関係を全て破壊する道が。
ここは、なかなか面白いです。
これならバタフライを残す意味がありますかね。ならゴムを買う場面で、「バタフライにした」と追記しておきましょう。それで知らない読者にも通じます。
このくらいのクオリティのギャグノリが、全編に欲しいところ。
>事を始めようとしたその時、その男はやってきた。翔だ。
いやいや。わけがわかりません。
ここ愛梨の部屋ですよね。家の鍵は?呼び鈴は?
>翔は手に包丁を持っていた。そして、俺が気づくよりも前にその刃は俺の背中に突き刺さっていた。
「どっから包丁が出てきたんだ!」とかツッコミが欲しい。
>まさかお前らかこんな事してるとはなぁ!
お前ら「が」
>翔は泣きながら笑っている。何度も、何度も、何度も何度も何度も俺の背中を突き刺して、泣きながら笑っていた。
背中を刺されながら相手の顔を見るのは無理でしょう。
>俺はその間、色々なことを考えていた。
えっ、これ真面目な話だったんです?
>脚色した所でボロが出るような、ゴミみたいな人生にはならない為に。
何か脚色してましたっけ?
>死んでも抱き続けなきゃならないんだ。
死んだ後前提の発想は流石に違和感あります。
>あー、蝶々って別にそういう意図があった訳じゃなかったんだけどな──
ここの意図はあまりよくわかりません。
死ぬ=羽化みたいな? ちょっと強引ですかねえ。
>ゆっくりと遠くへ歩いていく
「遠くにいる」のに遠くへ行くのは変です。
「ゆっくりと遠ざかっていく」
>その姿は光を帯びて眩しいと共に、今にも消えてしまいそうなほど儚い。
眩しいなら「真っ暗」ではないはずです。
眩しいに対して「儚い」も違和感があります。花火のような意味なら、そう思える説明を。
>その言葉も虚しく、がむしゃらに走る俺の体からは力が抜け、その場で膝から崩れ落ちた。
そして、俺の意識は再び遠くなっていった
さっぱり意味がわからないまま、一話が終わりました。
まあ転生したんでしょうけど。
なんというか、この先がどうなるか想像できないというか、面白くなりそうな気がしません。
全体的に何を書きたいのかわからない話という印象です。後述。
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