【12】高校生活3ヶ月目、気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。(無名の猫) 総評
【12】高校生活3ヶ月目、気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。(無名の猫)
https://kakuyomu.jp/works/16817330660998396866
⬜️全体の感想
・タイトルについて
なろう系の長文タイトルは好きじゃないですが、まあわかりやすくていいんじゃないでしょうか。
おパンツ関係も、内容がストレートに伝わるのでよし。
少なくともタイトルから想像できた方向性ではあります。
ただ、「高校生活三ヵ月」は不要かと。
この情報、何か意味があります? 語呂的にも必要と思えません。
私なら、
「気づいたらリュックの中に美少女のおパンツが入っていました。」
にタイトルを変えます。
シンプルだし、語呂もこっちのがいいと思います。
略称は「気づパン」くらいで。
・文章について
文章力は、作文レベルですね。
お世辞にもうまいとは言えませんが、読みやすいという一点だけは評価します。
……と言いたかったのですが、案外そうでもない。
話が単純なところは意味が通るのですが、ちょっと難しい状況を説明しようとすると、すぐに混乱し、意味が読めなくなってしまいます。わかりやすく伝える技術の不足です。
真面目に読むと意味が通じてない場面を、おそらく無名の猫さんの読者は頭で適当に解釈して読んでいるのだと思います。誤字脱字を適当に脳内補正して気にしないような感じですね。
簡単なお話ならそれも通りますが、もっと複雑な話を書こうとしたり凝った構成を組もうとすると、そんな甘い読者はすぐ着いてこなくなるので、ちゃんと読んで意味が理解できる文章を書けるよう、練習しましょう。まずは読者視点を意識しながら何度も読み返し、チェックする癖をつけるといいかと思います。
とくにこの先、ラブコメを書いていくつもりなら、会話文を強化することは最優先です。
読む限り、けっこうな確率で会話が成立していない場面があります。
受け答えを読んでも「なんでこんな返事してんだこいつ?」と首を捻るような感じです。読みながら感想で細かく指摘しておきましたが、本来であれば、あんな風に引っ掛かってる時点で読者は読むのをやめます。ラブコメの一番の面白さは、ラブを除けばコメディ、キャラ同士の掛け合いの面白さなんですから。それが楽しめないのでは話になりません。
キャラの個性やギャグ、ウィットに富んだ会話、知識ネタなど、会話で読ませる手法は多々ありますが、何よりもまず、会話の意図が読み取れ、違和感を覚えないというのが大前提です。
無銘の猫さんのキャラの台詞は、おそらく作者の脳内では繋がっているんでしょう。ですが、描写や言葉が足りておらず、読者には飛び飛びになってるように感じられます。いちいち「作者は何を考えてこんな台詞を言わせたのか」と推理していては、楽しめるものも楽しめません。頭空っぽでも楽しめるはずのラブコメなら、なおさらです。
・内容について
ラブコメを「レモンソーダ」に例えるなら、この作品は「レモンソーダを飲んだ後の氷が解けた水」みたいな味です。
かろうじて味は感じるものの、大部分は水なのでひたすら薄味。旨味も何もあったものではない……そんな感じ。
先に褒めておくとすれば、「パンツが入ってた」はいいと思います。
ほどよくエロで意外性があり、謎も含んでいます。
学生生活であり得そう、というラインなのも強みかと。
ただ、この小説は、このワンアイデア止まりです。
それを面白く広げることが出来ず、とりあえず話を続け、時間を稼いでいる、という印象です。
7話まで読ませてもらいましたが、約一万字を費やした中で、この物語はほとんど何も進んでいません。
まったく本筋に関係ない麻衣の話を一話強も使ったのに対し、容疑者二名との対話や会議の内容はごくわずかで、作者が何も考えていないことが感じ取れます。
猫田先輩の件は本筋に絡むのか微妙ですが、現時点では絡まないように読める導入で、こちらもだらだらと無駄な描写が続くので、最後まで薄味のままでした。
一万字も使えば、短編なら起承転結までも書けそうなもんですが、今作では起承転結の「承」にも至っていません。ひたすら寄り道ばかりで、その寄り道にも面白みがない。なので薄味に感じるのです。
物語以外でも、ラブシーンやエロシーンが乏しい点も薄く感じる原因ですね。
こちらがまだ濃ければ、話が進まなくても許せるんですが、ほとんどないというか、濃い場面が皆無に等しい。出てきてもメンヘラという求めてない感じの奴だったりします。
無駄なシーンを省けば、一話ごと一シーンくらいは挿めるはず。
ラブコメとして、もう少し味を濃くしていただきたいところです。
以下、「これはひどい」と思った部分について。
>「なんで私のパンツを昼顔君が持っているのよ」
この話の最初かつ一番の山場だと思うんですが、びっくりするほど盛り上がりません。
ラブコメにおける、この手の話の展開として思いつくのは、
1.主人公またはヒロインが犯人捜しゲームを始める展開。
2.主人公が一方的に犯人扱いされる。何なら平手打ち。
後からヒロインの誤解を解こうとする展開。
3.ヒロインまたは主人公がトンデモ反応に出るギャグ展開。
ざっくりとこの三つが思いつきますが、どれにも言えるのは、とにかく話を盛り上げようとしていることです。
今作の展開では、そこが中途半端で、勢いに欠けます。
追及も激しくないですし、色葉もさして怒っていない。
そんなあっさり終わらせていいの?と不安になるくらいです。
これなら、犯人を捜す必要すらないのでは、とさえ思います。
ラブコメとして、それは駄目でしょう。
テンプレならテンプレらしく。そうでなくとも斬新な展開を考えて、最大の熱量を、この場面にこそ注ぐべきだと思います。
>「人の話聞け馬鹿!!」
麻衣の場面ですね。
あまりの気持ち悪さに、私は軽く読み飛ばしましたが。
まあエロは嗜好の極みみたいなジャンルなので、それこそ「個人の好み」だと言われてしまえばそれまでではあります。
とはいえ、ものには適量と言うものがあります。
私も自分が書く際のラインを知りたいと、いろいろその関係の漫画を読み漁った末、出て来た結論がこれです。
「エロはぎりぎり、恥じらいはましまし」
エロ=露出だという考えは、はっきり言いますが間違いです。
どれだけ精巧に作られても、マネキンに欲情する人間は限られます。
それより大事なのは反応。恥じらう仕草や表情、乱れる様子なんです。
極端なことを言えば、露出ゼロでもエロくできますし、すでにそんな漫画、探せば山ほどありますよね? そういうことです。
ましてやこれは小説です。漫画のように絵に頼れません。
文章で「乳」とか「尻」とか書いても、エロさは知れています。それよりも、しっかり描かれた美少女が、どんな顔でどんな声を出すか。そういう方向に力を入れた方が、間違いなく男性には刺さるはず。
大事なのは痴女のように露出させることではなく、嗜みを乱すことで醸されるエロスなのです(握り拳)。
>猫田先輩
については、わりと評価高いです。
まあこれは、私が変キャラ好きというだけかもですが、個性をつけてキャラを立てようとしているのが伺えるので。
まあ先を読んでいないので現時点での話ではありますが、色物で終わらせずちゃんとキャラを考えて描いていけば、面白くなりそうだなと思いました。
>色葉
色葉の性格は序盤とその後でまったく違ってしまってるので、わけがわかりません。
もしかすると序盤のアレは、
「実は昼顔が好きなのだが、素直に言い出せない。
教科書はわざと忘れたし、なんならパンツも自分で入れた」
とかいうオチもあり得るかな、とも考えましたが。
もしそうなら、もっとしっかりとキャラを描き出さないと。ここまでの色葉の描写からそれを読み取るのは無理というか、推理を楽しめるレベルになっていません。
しっかり物語を作り、キャラが固まっていてこそ、そういうどんでん返しは成立するんです。これ自体は(もしそうなら)、悪くないオチだと思いますけどね。
・アドバイス回答について
>第1話の終盤です!
とのことで、あらためて見ましょう。
第一話は、
1.昼顔、色葉に教科書を貸す
2.洞爺、スマホをする
3.パンツがリュックから見つかる
の三本ですが、はっきり言って1と2は不要ですね。
というか、1はともかく2は明らかに無駄です。
もし私がこの話の一話を書くなら、いきなり3から始めます。
一番美味しい、読者が読みたいところから始めれば、食いつきは間違いなくよくなるはず。
その上で、二話目の部分をもっととんがった面白さにして、一話目に繰り上げます。
そうですねえ。あらすじにするならこんな感じ。
「リュックの中に未知のパンツを見つけた昼顔は、もじもじする様子から、それが色葉のものだと悟る。
どうすれば、このピンチを乗り越えられる?
危険物(パンツ)をバレないよう処理してしまえば問題ない。
なんなら持ち帰ってもいいのでは?(エロ)
いや、それでは色葉がノーパンで下校することになる。
それは男として流石に外道ではないか?
ならばどうする。方法は一つしかない。
色葉に気付かれぬよう、細心の注意を払って、危険物(パンツ)を色葉の元に返すのだ。
授業開始を告げる、予鈴が鳴り響く。
それは昼顔にとって、高難度ミッション開始の合図だった──」
※二話に続く。
五秒で考えたのでアレですが、これくらい頭悪い方がノリよく書けません?
あ、授業でノーパンの色葉が先生に当てられたりします(重要)。
⬜️総評
・「パンツが入ってた」という導入は悪くない
・でもそこだけ。他は溶けた氷水。
・エロ、ラブ、キャラ、全てのクオリティ向上が必要。
最初にアイデアだけ浮かんで、続きは後先考えずに書いている印象です。とりあえず思いつくまま書いてるというか。違います?
別にそういう作風も否定しませんが、初心者の間にそれやると大抵後悔するのでお勧めしません。なまじそれで受けたりしてしまうと、上達の機会が一生失われたりしますし。
まあ私はそれこそ作風もジャンルも違うので、アドバイスらしいアドバイスはできませんが、漫画的な「面白いかどうか」はわかりますし、感想も言えます。
もしいつか、自分の書いてるものが面白いかどうかわからなくなってしまったら、聞きに来てください。私から見た「何故、面白くないのか」くらいは教えられると思いますから。
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