【10】天をあおぐ(常夏真冬)総評
【10】天をあおぐ(常夏真冬)
https://kakuyomu.jp/works/16817330661373930250
⬜️全体の感想
・タイトルについて
タイトル自体はかっこいいんですが、内容が意味不明なので、タイトルも無意味になっています。
最後の場面で主人公は星空を仰ぎ、(多分)自殺するんですが、そもそも何故自殺したのかも、何を悩んでたのかも一切謎ですから。
天を仰ぎたいのは読者の方だと思いますよ。
・文章について
高校生ですし、そんな高度な文章は求めません。
おそらく常夏さんは、小説について根本的な誤解をしておられます。
小説は自分の考えや物語を、読者に伝えるためにあります。
ここがまず大前提。
「夏休みにどこに行ったか」とか小学校で書きますよね?
基本的にはあれと同じです。
どこに行ったか、誰と行ったか、どんな感じだったか。
読んだ人に伝わるように、読者の気持ちを考えて書くわけです。
では、この小説はどうかというと。
「夏休みは……■■■■。私だけのユートピア(天国)が目の前にあった。そこに何も無いことが分かっていても。」
みたいな感じです。ちょっと面白いけどw
宿題の発表で、こんな作文読めます?
クラスメイトがどう思うか、考えたらわかりますよね?
例えは極端ですが、常夏さんのやってることは同じです。
読者に伝えることより、かっこいい文章を書くことを優先してるんです。その結果、独りよがりのポエムもどきになっている。
これの対策は、わりと簡単です。
まず、一端、かっこいい文章を書くのをあきらめ、考えた物語を百パーセント伝えることだけ考えて書いてみましょう。
説明でも箇条書きでもなんでもいいです。
とにかく誤解されず伝わればOKなので。隠したりぼかしたりも今は禁止です。
仲のいい友達がいるなら、この時点で「わからないことはないか」聞いて、足りない部分はガンガン足していきましょう。
で、それが書けたら、次にそれを読みやすいように小説の形にまとめます。誤字脱字もチェック。夏休みの感想文を書く感じですね。
書き終えた後は、またお友達か知り合いに読んでもらって、「わからないところはない?」と聞いて回ってください。真面目な人が一番ですが、答えてくれるならまあ誰でもいいです。
書いた内容が、問題なく通じていれば「合格」です。
常夏さんはこの順番をすっ飛ばして小説を書いてるのだと思います。騙されたと思って、一度この手順を踏んで書いてみてください。
内容のよしあしとか、センスとか、雰囲気とか、かっこいいキャラクターとか、凝った文章とか、■■■■とかは、全て「合格」した後の話です。
なので、かっこつけを一旦やめて、「合格」を目指しましょう。
合格した後なら、ああいう文章や修飾を足していって構いません。
ただし一気に増やすと、また意味不明になるかもなので、誰かに聞きながら、少しずつ少しずつ増やすべきです。好きなプロの作者さんはどんなバランスで難しい言葉を使っているのか、意識して読みながら、真似てみるのもいいでしょう。
文章練習としては、こんなところではないでしょうか。
要は「基本に立ち戻るべき」ということです。
・内容について
文章に行数を割いたので簡潔に言いますが。
清々しいほどに「意味不明」です。
何なら、この小説のあらすじを、ぼかした部分含めて詳細に書いた上で、持ってきてください。
多分、書いてる途中で嫌になってくると思いますよ。
「こんなん、わかるわけねーっ!」ってね。
一応、意味不明な原因を書いておくと、ひたすらに説明不足だからです。
主人公は何を考え、何に悩み、何を求めたのか。
才能が欲しかった主人公が、彼女に何を求め、何に絶望したのか。
謎めいたかっこいい独白が並ぶばかりで、何も説明されていません。
そりゃあ、意味不明にもなります。
アンケート希望に、「主語の抜け」とか「文章の歪み」とかありましたが、それ以前の問題です。ひたすらに舌足らずで説明不足なんです。
そもそも物語が全然繋がって見えない。推察すら困難なレベルです。
才能を欲しがってた主人公の話と、彼女を射止めた話って、テーマ的に繋がりないですよね? 主人公が同じというだけで。
例えばこれが、
「主人公はピアノで挫折し、才能を渇望するようになる。
成長した彼は輝かしい才能をもつ彼女と出会い、恋焦がれる。
努力の末、彼女を手に入れた主人公だが、幸せは続かなかった。
彼女の眩い才能は、否応なく己の無能さをさらけだす。
彼女の光の前に、自分の影はただただ濃くなるばかりだ。
絶望が一線を超えた夜、彼は流星群を仰ぎ、その身を地に投げる」
とかなら、恋人と才能が繋がって、テーマが一つになるはず。
まあこれは梶野の一例というだけで、やり方はいくらでもあるはずですが。
⬜️総評
・文章はお手本のような中二病。
・内容は意味不明。深刻な説明不足。
・基本に立ち戻り、読者に寄りそうべき。
……わりと容赦ない辛口になってしまいましたが。
とにかく、上に私が書いたように、短くでいいんで全体像が把握できるあらすじを書いてみてください。それが破綻なく書けるなら、ここまで酷評はされないはず。
それが難しいなら、最初は難しい話を書こうとしないことです。
何にでも段階はあります。
マリカでコースをまともに走れない人が、ショートカットを狙っても上手くいくわけないじゃないですか。
常夏さんはまだ若いので、書くのを止めさえしなければ、この程度のコースミスはすぐ取り返せます。
それに安心してください。
私も高校時代は似たり寄ったりなものを書いてましたからw
大丈夫。誰でも一度は通る道ですよ。
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