【10】天をあおぐ(常夏真冬) 読みながら感想
【10】天をあおぐ(常夏真冬)
https://kakuyomu.jp/works/16817330661373930250
いよいよ十回目。全体の三分の一です。ふう。
まあ、現在の参加者は14名で止まってるので、半分くらいで終わるかもしれませんけど。
ともあれ区切りとなる作品は、常夏真冬さんの「天をあおぐ」。
常夏さんは高校生ということで、辛口でならす当企画でも、未青年とわかっていれば多少甘口にしてるんですが、今回はその必要はないそうです。というのも、
こんばんは。はじめまして常夏真冬と申します。
「天をあおぐ」という作品でこの企画の参加を希望いたします。
特に意見が欲しい部分。
私の文章はよく自己完結で終わってしまって読者に伝わらないことがよくあります。文章の歪みや主語の抜けについて言及していただけると嬉しいです。
「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
欲しいです。ですが時間等の都合で無理そうならば他作品を優先してください。
辛口のコメントが欲しくてたまらない人なのでビシバシ言ってくれると嬉しいです。
夜遅くにすいません。よろしくお願いします。
──とのことなので。
まあ、好きで辛口にしてるわけでもないので、いくら欲しくてたまらないといわれても、面白ければ辛くはならないんですが、遠慮無用なのは理解しました。若くしてそのお覚悟、見事です。泣かない程度には気をつけます。
ジャンルは現代ドラマ。文字数は1,259文字。
久しぶりに掌編ですね。
短い分、がっつり読み込んで感想書けそうです。
タグはえーと、音楽、狂人、シリアス。
ふうむ。音楽の知識は皆無に等しいので、多少不安を覚えますが、まあ掌編ならそこまで求められないかな。狂人というタグが気になります。短くて壊れてると批評しづらそう。
まあ、案ずるより読むが易し。
さっそく読んでいくとしましょうか。
じっくり感想、開始します。
⬜️読みながら感想
二読後の感想を、読みながら書きます。
>■■■■≠■■■■
サブタイトルがいきなり記号ですね。
■■■■は物語中で出て来たんですが、二読目でもこの意味はよくわからず。
>空から音の雨が降ってきた。
出だしとしても、名演奏の表現としても平凡。
別に間違ってはいないのですが、驚きは皆無です。
……とか書くと、「私ならこう書く」のハードルが爆上がりするので困りますが、私ならそうですねえ。
「ピアノって、歌うんだ。」
とかですかね。
この後に続く、旋律の感情表現に合わせた感じです。
私なら、さらにこの部分に喜びも追加して、「喜怒哀楽を歌のようにこめられる」ことを強調するかも。
あと、幼児の感想として、無邪気で単純な方が「らしい」ですから。
> 当時幼かった私の、ピアニストのコンサートを聞いた感想だ。
ちょっと固いです。ピアニストが余計。
「幼い私が、初めてピアノコンサートを聞いた感想だ。」
>私はピアノに魅せられた。
結論出すのが早すぎます。
下の涙を流す描写の後に回すべきところ。
そこには「ピアノを始めた」があるので、これで十分かと。
涙を流し、「ピアノを始めた」時点で、魅せられたことは書くまでもなく伝わります。
>美しく歌う旋律。憂いや悲しみが混じった和音。怒りの慟哭。幼い私にはこんな感情、と明確に表せなかったが本能的に解釈し涙を流した。
表現が固すぎ、多すぎ。
「美しい和音にこめられた憂いと慟哭。
幼い私にはよくわからなかったが、自然と涙が出た。」
> 五線譜に書かれた無数の音符を読み、表現する。最初はできなかった。でもできるようになる。
このリズムなら、こう改行した方がいいですね。
「五線譜に書かれた無数の音符を読み、表現する。
最初はできなかった。
でもできるようになる。そう信じていた。」
>賞も取れず、ただ壇上に上がっていく同じ学年の少年少女を見送るだけ。
「同じ学年の少年少女」が固いです。
同学年と言う情報も、さして必要ありません。
「賞も取れず、ただ壇上に上がっていく他の子の背中を見送るだけ。」
>反省をすると泉のように湧き出てくる私の駄目なところ。
ここは体言止めでない方が綺麗です。
反省しているのも、流れ的に書かずとも伝わるので不要です。
「自分の駄目なところが泉のように湧き出てくる。」
> そして大人になった今、一つも賞を取ったことがない。
文章がおかしいです。
伝えたいのは、「大人になるまで、賞が取れなかった」ことですよね? 「今」の話ではありません。
> ――あの日から私は何のために演奏しているのかわからなくなった。
ここも「あの日」が何を指すのか、意味が分かりません。
例えば惨敗したコンクールの直後にこの文があるなら、意味が通ります。気持ちもわかります。
でも大人になって今に至るまでピアノを続けてきた(と読めます)なら、「あの日っていつ?」と思いますよね。挫折の瞬間が書かれていないんですから。
> 私はいつしか才能に執着するようになった。
わからんでもないですが、これだけでは意味不明です。
「才能に執着して、主人公はどうしたか」を書かないと。
>『才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。』
ただの手抜きですね。
何のメッセージも伝わりません。意味不明です。
ここの変化こそ、この物語の核だと思うんですが。
読者が主人公に共感するも蔑視するも、ここの書き方次第。
才能に執着した主人公が次第に■■■■を求めるようになった理由は何か。なぜ■■■■と伏せているのか。
一番熱を込めて書くべきは、そこだと思います。
全て書かずとも、それとなく伝わるようにでもいいです。
なんせここが伝わらないと、話全体が意味不明になりますからね。
ちなみにこの■■■■、私は「シアワセ」かなと推理しました。
私がこの形式で伝えるなら、こう書きますね。
『才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才能が欲しい。才ノウが欲しい。才ノ■が欲しい。才■■が欲しい。サイ■■が欲しい。サ■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。■■■■が欲しい。』
まあ「シアワセ」が正解かは不明ですが、サブタイトルは「サイノウ≠シアワセ」で合致そうですし。
でも正解だとしても、物語のテーマとして読めないので、結局、問題解決にはなっていません。もしくは他に正解がある?
> 私は恋をした。
話がころっと変わりますね!
> 全力でアプローチをした。自分を磨き、勉学に励み、コミュニケーション教室に通った。
「そして大人になった今」とあったので、これも大人がやってるはずですが、全然大人に見えませんね。
というか、大人にする必要も特にないので、このエピソード自体を高校生くらいにした方が、書きやすいのではないでしょうか。
学生なら、こういう未熟さ必死さも全然アリに思えるなので。
> そしてついに私は彼女と付き合うことになった。
なんとなく主人公は女性だと思ってました。
「あれ?」と思う反面、「なんだ百合か」と考えてしまう自分に乾杯。まあどっちでもいいんですけど。
>脳が歓喜したよ。体中が打ち震えたよ。
感想の表現だとはわかりますが、違和感が先に立つ印象。
理由はここまで、主人公の性格や生き方、口調がなんら出ておらず、
これが初めてだからではないでしょうか。
これが本当の主人公なのか、なんだかバグってるのか、よくわからないんです。この後の独白も意味不明だから、余計に。
> 私だけのユートピア(天国)が目の前にあった。それと手を繋いで笑い合う。
> そこに何も無いことが分かっていても。際限のない私だけのユートピア(地獄)に堕ちていくんだ。
まず、何を言ってるか意味不明です。
かっこいい単語を弄してる中二の人にしか見えません。
解読する気すらなくすレベルですが、うーんと。
主人公は彼女と付き合い、天国にも昇る気持ちだが、そこには何もないことも、地獄に等しいことも理解している。
……性悪ホストに沼った女みたいな精神状態としか読めませんが、問題は、「何故そう思うのか」の説明が皆無なことです。後述。
ちなみに私なら両方、ルビを逆にします。
天国(ユートピア)ってことですね。見映え悪すぎるので。
> ――私は何のために生きているのかわからなくなった。
私は何のために読んでるのかわからなくなってきました。
>サラサラと指から水のようにこぼれ落ちる彼女の髪を梳く。
「サラサラ」がまず髪によく使われるオノマトペなので、その後で「水のように」と例えると打ち消し合う印象があります。
いや、「さらさら」だと水の流れる音ではあるんですよ。
「小川がさらさらと流れる」とか。でもこれは絶対、髪のイメージでサラサラ使ってるでしょ。カタカナだし。
私なら、うーん。
「水のように指からこぼれ落ちる彼女の髪を梳く。」
……サラサラ抜いただけで、大差なかったw
>静かに私の腕で眠る彼女は警戒感のないだらしない顔をしていた。
いや、何故ここだけ現実的?w
確かに間違ってないし、具体的に表情が伝わるんですが、こここそ眠る彼女を美しく形容すべき場面でしょう。多少盛っても許される場面なのに、「だらしない」てw
私なら、
「私の腕で眠る彼女は無邪気な顔をしていた。」かな。
>陶磁器の如く蒼白な肌は私の脈を感じるだけの停滞した世界。
形容を頑張るあまり、何が書きたいのか見失ってますね。
深呼吸して読み直してください。何が書きたいか説明できます?
>最近アカイロに染まった絨毯の上に立つ。
自殺未遂の示唆ぽいですが、そもそもこの場所がどこかわかりません。自分の部屋? 彼女の部屋? ホテル?
> ■■■■は未だに手に入らない。
> 何が足りない? 何が? 何が? 何が? 何が? 何が? 何が?
壊れたスピーカーみたいになってきた。
> ああ、もうわからないよ。
確かに、私もわかりません。
> 考えたくもないよ。ゴミ溜めみたいな私にわかるはずがない。
とりあえずわかるのは、主人公が自分をゴミ溜めだと思ってることくらいですね。
> 蛍光灯に群がる蛾は私のようだった。グズグズと蠱毒のように呪い、蝕む。
ここも意味不明ですね。そもそも情報が「オレはゴミ溜め」しかない時点で。
ちなみに「蟲毒」は中国由来の呪術で、虫(蛇とかもある)同士を共食いさせまくった末、最後に残った一匹を用いる呪いのことです。
つまり「デスゲームの生き残り」を意味するわけですが、この主人公に似てると思います?
> 綺麗な流星が無数に飛び交う空。
「飛び交う」という言葉には、「交」とあるように「互いに行き違って」という意味が含まれます。
流星は行き違うものではないので、この場合は不適切です。
あと、流星群といえど、無数に流星が飛んだりはしません。
「次々と星が流れていく」くらいが適切な表現かなと。
(一応、リアル動画も見た)
> 私が這って、追い縋って、嘲笑って作り上げた虚無に胡座をかく。
言葉を尽くすほどに意味不明になってますね。
普通は何か伝えるために言葉を重ねるものですが、手段が目的化してるというか、「とりあえず使ってみた」という感じ。
当然ですが、何が言いたいのかさっぱりです。
そもそも主語が何なのかすらわかりません。流星に恨みでも?
> 脳髄までに染み付いてしまった妄想は錆びついた鎖のように私を虚無と雁字搦めにする。
ううむ。中二ポエムですね。
とりあえず「脳髄まで染み付いて」の誤字だと指摘はしますが、それ以前の問題です。
> ――そして私は天を仰いだ。世界が暗闇に染まった。
なんかよくわかりませんが、飛び降りたっぽい?
でも星空を仰いでたら、世界は暗闇にならないはずですが。
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