【01】love letter.(白木犀) 総評


【01】love letter.(白木犀)

https://kakuyomu.jp/works/16817330660970151819



⬜️全体の感想


・タイトルについて

捻りも特徴もないタイトルです。

「制限時間10秒」と言われたら、こんなタイトルにするかもしれません。

何より、この手紙は物語の中心というほどでもありません。

家族や友人に向けたもので、百合恋愛とは絡んでないんですから。

ラブレターと呼ぶべきかどうかすら、怪しく思います。


少し考えれば、幾つかタイトルは思いつきそうですが、

どれにせよ、今のタイトルよりはマシな自信があります。


・文章について

前回以来、時々作品を読ませてもらっていたので、あえて言わせていただきますが、今作はぶっちぎりで文章が下手です。

何か悪いものでも食べたのか、心配になるレベルです。

百合物は他にも書いていましたし、題材故じゃないですよね?

一人称に不慣れ? その可能性はあるのかもしれません。


今回の文章の問題点は読みながら感想でさんざん指摘しましたが、大きくまとめると、


・一人称なのに地の文のような気取った表現が多い

おそらく天使というスタンスからこういう口調なんでしょうが、性格的にまるで天使的な超越感がないので、逆効果もいいところです。これがまだ「天使になって百年。人間時代を忘れかけてる」みたいな設定なら、わからんでもないですが。


でもこの主人公、まだ死んで一年の新入社員です。まさに学生気分抜けてないって感じですし。悪いこと言わないので、口調は年相応にした方がいいと思います。


・「少し」や「そっと」の多用

これは言うまでもなく。不要な表現がくっつきすぎです。

一度推敲して、なくてもよい言葉を除いてください。多分500文字くらい痩せられます。


・説明口調が多い

一人称が説明的になるのは、ある程度仕方ありません。そこの不自然さはまあ許容します。

問題は説明がびっくりするほど下手ということです。

前回の感想時は、こんなに下手という印象はなかったんですが。一体、何故?

徹夜で書き切って、そのまま企画に突っ込んだとかじゃないですよね?


ここについては、本当にじっくり理由をお聞かせ願いたいところ。

本当は文章が達者になった前提で、お話作りにおける気になってた部分を伝えたいと思ってたんですが……

今回の作品を見る限り、まだ伝える段階ではないと判断しました。


・内容について

一言で言うと、支離滅裂ですね。

詳細は読みながら感想時に書きましたが、とにかく穴が多いです。

伝えるべき情報が書かれておらず、テーマもとっちらかっています。


ざっくりこの話のあらすじを書くとですよ。

「同性愛を許されず自殺し天使になった主人公が、死期の近い船香と出会い、彼女の隣人愛と同性からの告白を優しく断ったことに心打たれ、愛を知り消滅する」


……なんでとっちらかってるかと言うと、恋愛と隣人愛を混ぜてるからです。

百合ものとして突き詰めるなら、そこは恋愛一本に絞るべきでした。


ちなみに隣人愛と恋愛の扱いもぐちゃぐちゃで、筋が通っているように見えません。


まず隣人愛。

確かに主人公はいじめられていましたが、同性愛のことを抜けば家族とはよい関係に思えます。

(この程度の無理解は、同性愛に限らず五万とあるでしょうし)

そもそも病気なだけで、他人を恨む必要のない船香は主人公と立場が異なるので、「船香はすごい」となる展開自体が変です。


恋愛は何度も言いましたが、主人公は告白も振られもしていない。

前段階でへし折れて、なんか死を選んでしまっただけです。

一番かわいそうなのは、友達に謎に死なれた友人だと思います。


船香にしても、いって同性の告白に対して丁寧に断った、というだけです。

まっとうな反応という意味では感心しますが、感動はしないです。

これも告白した友人にすれば「いいお友達でいましょうね」と言われた男のようなもので。

いくら真摯に対応されても、やり場のない感情が迸ってしまうのが恋だと思うのですが。

それこそ、こっちの友人が自殺してしまった方が、まだしも気持ちがわかる気がします。


ラストの夢の場面は、描き方自体はそう悪くないです。

ただ、ここまでのストーリーがこの有様なので、推察に困ります。

というか普通に考えて、主人公も船香も死んだ後とかですよねあれ。

なんとなくハッピーエンドにみえて、何も救われてない気がするんですが。


主人公の最後の台詞の辺りで、「天使が愛を知って死ぬ際には奇跡が起こる」みたいな設定をあらかじめ提示しておいて、その上で船香は助かり、あの夢を見た……という展開に、私ならすると思います。


ちなみに今作を私が書くなら、あらすじはこんな感じになります。

あくまで別作品として、読んでいただければ。


「主人公はゲイの兄の影響で同性愛を毛嫌いする家に生まれ育った。

 親の手前、言い寄る男性と交際を重ねるが、誰も好きになれない。

 それが原因でいじめの対象になり、学校で孤立する。

 そんな中、初めて好きになったのは、同じく孤立していた同性の友人だった。

 想いは嵩じ、彼女に告白する主人公だが「噂になるのが嫌」と断られ、自死する。


 死後、主人公は死者を天にいざなう天使になる。

 天使は人を愛すれば一つだけ奇跡を起こせるが、それは完全な死を意味する。

 それでも愛のため消え去る天使を何人もいて、理解不能だった。


 やがて天使は、船香という余命わずかな少女と出会う。

 船香の見舞いに来る者はごく少なく、天使は彼女も世界に嫌われているのだと感じる。

 船香は自身の寿命が残り少ないことを知っていた。

 けれど気落ちする様子もなく、毎日熱心に手紙を書いては、引き出しにしまう。

 天使は好奇心から、その手紙を覗く。それは一人に充てた大量の恋文だった。

 

 ある日、船香の友人が、初めて病室を訪れる。

 友人は船香の入院を知らされておらず、入院を報せなかった船香をなじり、嗚咽する。

 彼女は船香の一番の友人だった。それ故、入院も余命のことも言えなかったのだ。

 友人は船香に愛を告白するが、船香は傷つけぬよう、優しく振ってみせる。


 天使は驚く。

 船香が書いていた大量のラブレターは、その友人充てだったからだ。

 両想いにも関わらず、船香が友人に応えなかった理由は一つしかない。

 同時に、天使は思い出す。

 自分を振ったあの子も、同じだったのではないか?

 「噂になりたくない」という答えは、自分を護るためだったのではないか、と。

 友人を見送り、孤独になった船香を天使は愛し、奇跡を起こす。


 夢の場面。

 退院の決まった船香は、最後の夜、花園で天使と出会う夢を見る。

 彼女は自分のように、何枚も恋文を書いており、一枚の便箋を船香に手渡す。

 目覚めた船香は、友人と退院の準備中、書いた覚えのない便箋を見つける。

 見知らぬ宛先だが、友人は知っていた。近所に住む年上の女性らしい。

 得体のしれない手紙だったが、誰かに頼まれた気がする。

 しぶる友人を説得し、船香は手紙を女性──かつての天使の想い人に手渡すと決める」



……つい筆が乗ってしまいましたが、まあこんな感じなら筋が通るかなーと。



⬜️総評

・文章、内容ともに赤点。心配になるレベル。

・テーマが散漫で、感情移入が難しい。

・最後の場面の描写はよい。でも意味不明。


初回から辛口になって申し訳ないですが、うーーん。残念の一言。

題材そのものは悪くなさそうなので、まずは調子を取り戻してください。

普段はこんなことないということは、私がよく知っていますから。


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