[過去話]梶野カメムシって、誰? その5(完)



ぶっちゃけますと、戻って一年は遊び倒しました。

ずっと我慢してたゲームをやりまくり、旅行に出かけ。

ソロキャンプを始めたのもこの頃です。(もちろんアニメの影響です)

まずは、伸びきった創作のゴムを緩める必要がありました。


ただ、ちょっと遊び過ぎましたね。

あまりに楽しすぎて、止めどがつかなくて。

書きたい小説のアイデアは増えていきますが、机の前にさっぱり戻れません。

おりしもリアルで転職し、雑務で忙しくもありました。

遊びと仕事。

年配の書き手なら、誰でも覚えのある言い訳だと思いますw


文芸OBの先輩が亡くなったのは、そんな自由を謳歌していた頃でした。

先輩と言っても大差ない年齢です。

手術した喉頭がんの再発で、手の施しようがなかったとか。

先輩は文芸部を創られた方でした。

例によって変人でしたが、私は目をかけてもらいました。

卒業した後も、時々、作品を見せに行っていたんです。


先輩の死後、否応なく自分の最後を考えるようになりました。

私はおっさんです。人生の折り返しはとっくに過ぎています。

これで最後という時に、悔いなく死ねるのかと。


「書けばよかった」と後悔しながら、死にたくないなと思ったんです。

逆に書いてさえいれば、後悔なく死ねるんじゃないかと。

たいした人生じゃありませんが、書き切れさえすれば。


折しもその後、日本はコロナ流行で緊急事態宣言に入ります。

転職先の会社も、一月の業務停止を余儀なくされました。

運よくというと不謹慎ですが、そこでようやく、私は執筆に戻れたのです。


十年書いても飽きなかったので、新作はバトルもの。

能力バトルは当分いいので、珍しい緻密な武器バトルを。

少年漫画ぽい友情や恋愛、青年漫画ぽい血と現実を盛り込んで。

こうして生まれたのが、カクヨムでも連載中の「神風VS」です。


半年間書き溜めた後、私は久々に「なろう」に戻ります。

ホームはがらんとして、廃墟さながらでした。

数少ない相互フォローは、全員退会していました。

(後にカクヨムで一人と再会し、感動しましたが)

あの後輩ですら消えていたのは、少なからずショックでしたね。


「戻りました」の報告の返事は、読み専さんの一件だけ。

それでも、反応もらえただけありがたかったです。

十年以上書き続ける人は、ほとんどいない。

そんな現実を、まざまざと見せつけられました。

まあ私にしてからが、出戻りなわけですし。


「神風VS」の反応は、かんばしくありませんでした。

PVはちょこちょこつきますが、感想はゼロ。

以前は短編であれ、何かしら感想はもらえたのに。

ましてや「マインスイーパ」とは、天地の差です。

こちらの方がPV稼いでる始末です。十年前の短編なのに。


私は頭を悩ませました。

ウェブ小説の流行をガン無視している自覚はあります。

でも自分が面白くない小説を書く気は、絶対にない。

幸運もありましたが、「マインスイーパ」はそれでも読まれたわけで。

でも今の現状は、誰の反応もない底辺です。

この現実との折り合いを、どうつけるべきなのか?


「自分に嘘をつかない範囲で、読んでもらう努力をする」

結論はこれ一つでした。

作品の方向は曲げず。お追従でフォロワーを作らず。

可能な限りの宣伝の手は打つ。もちろん執筆最優先で。


こうして私は「カクヨム」に登録し、ツイッターも始めました。

それから二年ばかり。

「感想で嘘が書けない」ながら、許容してくれるフォロワーも現れました。

「神風」も、少しずつ感想をもらえるようになりました。

(ちなみに「なろう」ではいまだに感想1つ。それもカクヨム経由の方)


一年前、私はようやく先輩の墓参りに行きました。

「書き続けられる」と確信できてから、行こうと決めていたんです。

後悔なく死ねるかは怪しいもんですが、初心は忘れずにいたいものです。

目標は、死ぬまで書くことですから。


──以上、おっさんの昔語りでした。

梶野はこういう書き手です。

こだわりは強いですし、不利でもなんでも創作で嘘は言えません。

無駄に長い過去話におつきあいくださり、ありがとうございました。


ここからは、思いつくまま、本来の創作論を並べていく予定です。

感想はもちろん、質問やリクエストなど、もしあれば遠慮なくどうぞ。

創作関係の議論は、大好物です。


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