第18話 カスミ姫、本城毅一郎誠を応援するの巻

「キェェェェェェ!!」


本城が奇声を上げながら、斬りかかりも、十文字槍の横の突起部分に刀を絡まれ、地面に刀を打ち込んでしまい、その隙を見逃さず、十文字の切っ先が本城を突き斬りかかる。


それを寸での所で、間合いを取り、宝臧院の攻撃を躱した。


「どうした!! 本城とやら、俺の槍がそんなに怖いか? 」


「ふん、勝負は始まった、ばかりだろう、貴様の槍如きに俺が屈する訳ないだろ」


「ならば、これはどうだ! 」


――――――宝臧院流、神鳴り!


それは、雷光の如く、怒涛の突きの嵐が本城を襲う。


刀で上手く防いでおるが…あの者、あれ程の突きを息を乱さず、打ち込んでおる。


本城は…防戦の一方だ、あの十文字槍の一突きが必殺の一撃になるから、そうだが…あれで勝機はあるのか?


すると、本城は一息、つくや、いなや、正眼の構えから、宝臧院の十文字槍をいなし、そのまま接近すると…


――――北流一刀流、己勝刃みしょうじん


必殺の一撃の込めた、斬撃を宝臧院に斬り込んだ。


だが…


一瞬でそれを槍の柄で、防いだ。


「どうした、宝臧院、俺にこのまま柄ごと、斬るぜ」


「ふん、馬鹿にするな、たかが一介の侍如きが!」


宝臧院は本城の腹に蹴りを入れて、再び、間合いを取った。


「だが…褒めてやる、この槍の猛攻をいなして、懐にまで、入ったのはお前で三人目だ!」


「ほう…それは光栄な事だ」


「一人は天童、二人目は、あるだ、そして…三人目のお前、だが…お前は先の二人には、遠く及ばん! 」


「……貴様、仮にも自分の主人である天童に、敬意はないのか、お前は何の為に天童に仕えてる? 」


「無論、天童に再び挑む為よ! カスミ姫を攫いに来たのは、わば、手土産よ! 」


「成る程、貴様には、忠義も大義もないわけだな…ならば、貴様は俺には勝てん! 」


「ほう、それは、どうしてだ」


「俺には夢がある、それは仕えるべき主君に、俺自身の力を捧げ、切磋琢磨出来る、剣友を持ち、出世し、そして結婚する、俺は幸か、偶然にもそれを出来る環境にいる、だが貴様は、人の幸せを踏みにじって己の欲だけに生きてる、そんな奴に俺は負けん! 」


本城…わたくしを仕えるべき主君と言ってくれた、そなたの忠義、見届けようぞ。


それに…


「ハスミ、本城がお主の事を結婚相手として、見ておるぞ、そなたは、どう応える? 」


「ウチ///は、まこっちゃんと一緒に人生を歩みたいな」


ハスミは照れながら言った、何とも初々しい反応だ。


「本城ぉぉ! ハスミは、お主に惚れておるぞーーー、そんな馬の骨なんか、さっさと倒してしまえーーー」


「心得た、この本城毅一郎誠、姫様への忠義に惚れた女の為にも貴様を改めて斬る!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る