第14話 カスミ姫の決心の巻
土御門に呼ばれ、東堂と本城を連れて来ると、部屋の前で「入るぞ、土御門」と言うと、「どうぞ、姫様」と言われ部屋へ入ると、土御門が部屋で正座して待っていた。
「姫様…東堂の事なんですが…」
「うむ、なんなんじゃ? 」
「このままだと、東堂は死にます」
土御門が発した言葉に、部屋の中の空気が張り詰めた感覚がした。
東堂が…その身を張って、
現実感が無かった、傷も
私はふらっとなり、前のめりになった。
「姫様! 大丈夫でござるか!」
当事者である、東堂が
いや、いや、そなたの事なんだぞ、っとツッコミを入れたかったが、東堂はケロッとした様子で、土御門に「土御門様、拙者はあと、どのくらい、持ちますか? 」と聞いているではないか!?
そなたは恐くないのか! 死ぬのだぞ! まだ、
「正確には分からないが、君はその刀を…あと、三回行使したら、もうその身は持たないだろう…だけどね、使わなければ…あと一年は、生きていられるだろう」
「一年!? そんなにも東堂は寿命を消費しているのですか!」
本城が立ち上がり、東堂の方を見て…
「済まぬ、東堂…お主だけに負担をかけて…」
「なーに、あと一年も生きれば、良い方です、姫様、本城殿もそんなに気を落とすなでござる」
張り詰めた空気の中で、この男はあっけらかんと、語る。
この男は、いつもそうだ…
なのに…なのに…どうしてなの。
「姫様、顔色悪いですぞ、本城殿もそんなに深刻にならずとも…」
「深刻にならずにいられるか!!」
本城ががなり立てる。
「俺は…俺は…姫様のお主と共に護衛取締役になったと言うのに、お主は…あと一年でこの世を去るなんて…せっかく、出来た剣友を…このまま、死なせるなんて…」
「ははは、本城殿に剣友として認めて貰うなんて、最初は、あんなに連れない態度だったのが、嘘みたいでござるな」
「茶化すな! 天童の事だってある…もしも、お主が亡くなって、俺、一人で姫様の護衛取締役だって…」
本城…そなたも色々思う所があるのだな…。
「安心するでござる、あと一年で天童の首級を討ってみせるでござる、姫様も本城殿も心配するなでござる、十界仙もあと八人、拙者が討伐してみせる」
東堂は胸をドンと叩いて言ってのけた。
東堂、そなたは…そんなに気丈に振る舞えるのは、何故なのだ、
「土御門様、ありがとうございます、この東堂明、今後の方針が固まりました」
「………君はそれでいいのかい? ここでお役御免として、故郷に帰っても誰も咎めはしないよ、多額の報酬だって出るよ」
「いえ、それは結構でござる、あっ、でも拙者が亡くなったら、故郷の母上に拙者の報酬を送ってほしいでござる」
「そうか、分かった…
土御門の目線が、東堂が腰に差してある、二振りの刀の
「龍我毘沙丸をですか…仕方ないでござる、どうぞ」
「うん、それでは…ぐっ!?」
東堂から刀を預からろうとした、土御門は刀から拒否されるように、手から離した。
「とんでもない刀だね…主にとことん使われる気が満々だ、しょうがない、東堂、こっちにもうちょっと寄ってくれないか」
東堂が土御門に寄ると、土御門は刀の柄に何やら、紺色の帯を巻いておるようじゃ。
「それは、呪物の封印に使う帯でね、
そう言われ東堂が刀を抜こうとする、おいおい、いくら、言われたからって抜こうとするなよ、
「陰陽師の祖、
「土御門様、何やら何まで、気づかいありがとうございます」
「いいさ、上様も君をいたく気にいってるようだからね、あと、本城」
「何でしょう、土御門様」
「君には、これを」
「これは?」
土御門が本城に手渡したのは、丸薬が入った袋だ。
「それは、
「ありがとうございます、土御門様」
「さて…姫様には、これを」
土御門が
「これは…」
「対魔の懐剣です、護身用に…
「よい、ではな、土御門」
「はい、また用事があればお呼びします」
襖を開き部屋を出た。
頭の中は、自分が思ってたより、ずーっと重いものだった。
自室まで、東堂と本城を連れていきながら、廊下を歩いていると…
東堂、東堂、東堂明、
今生の中で、あれをするなら、この男しかいないだろうと思った。
廊下を歩く中、
「姫様?」
「東堂…お主は男女のアレをした事があるか?」
「はっ、アレとは?」
それを聞いていた、本城が何か察したのか、東堂の頭を小突いた。
割りと強めに。
「痛いでござる…本城殿、何をするでござるか」
抗議をする東堂に目をくれず、
「東堂、目を瞑っておれ」
「はあ、こうでござるか…」
これは、呪いだ! いくらあと一年の寿命だとしても…
――――そして
東堂の首に手をかけ抱き寄せると…唇と唇が重なった。
東堂は、その瞬間、目を開いた。
うつけめ…そんなに驚いたか!
なら、一度ならず、二度目じゃ。
再び、重なり合う唇と唇
東堂は木鶏の如く、固まり、何が起きたのか理解出来ずにいるようだった。
唇から離すと、東堂は相変わらず固まっていた。
そして、後ろを向いている本城に、もう良いぞと言う。
本城が東堂の肩に手を置いた所で、東堂は我に返り。
「姫様…今のは…」
「呪いじゃ、お主は生きて生涯、
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