第11話 東堂明、危機に瀕するの巻

修羅一丈の一撃を受け、オラは構えを八相の構えにした。

それを見た、修羅一丈は口角を上げ、笑顔を浮かべたんたべ。


「知っているぞ、先程、遠目ながら見たぞ、大鬼獏良を倒した技を!」


真当流、大月王烈衝を見られていただべか…


だが…


「知っているなら、なんだ! この技を破るとでも、言いたいのか? 」


「破る!! 言っただろう、大鬼獏良のようには、いかないと! 」


「破れるものなら、やってみるでござる!」


オラは刀身に気を込め、相手と呼吸を合わせ…斬り掛かった!


「破れたり! 小僧、貴様もここで終いだ! 」


八相の構えから、繰り出された振り下ろしの一撃は、難なく横に躱された。

そして、修羅一丈の一撃がオラに迫る。


―――――迫りくる死への刹那の一撃が修羅一丈の白刃に込められ、オラに迫る。


その必中の一撃をオラは受けた!!


相手は驚きを隠せず言う。


「小僧…貴様、何故、鞘如きで俺の渾身の一刀を受けれる…」


「真当流…耐久剛鞘たいきゅうごうしょう、鞘に気を纏わせ、真剣同様の硬さを得る、刀を思いきり振りかぶる事で、手持ちがないと油断したな」


「くうぅ!? 鞘如き、斬れんとは…んっ?」


オラは修羅一丈の腹を蹴り、距離を取った。

ここからが、本番、もとい、オラのの見せ所だべ。


「小僧、真当流と言ったな、貴様…」


「察しの通り、拙者の師は塚原卜斎でござる」


「あの…剣聖から、手ほどきを受けていたとは…大鬼獏良を倒せる訳だ」


「お主達は…師はおらぬでござるか? 」


「おらぬ、大鬼獏良も俺も我流でここまで、極めてきた! 」


「極めた? 自分の力量を今が最高だと、諦めてる軟弱者の戯言にしか、拙者には聞こえないでござる」


それを聞いた、修羅一丈は苦虫を噛み潰したような顔で、オラに、


「ならば、その軟弱者の刀で葬られるがいい」


修羅一丈は、その豪剣を振るってくるが、先程とは違い、太刀筋は荒く、脅威には変わりないが…躱せる!


そうだ、そうやって、その豪剣を振るっていけ! オラの読みが当たってるなら、一刻も過ぎれば…


修羅一丈は変わらず、振り下ろす、薙ぎ払う、斬り上げる、威力は凄まじいが、オラに当たらずにいるせいか、苛々いらいらしているのが、肌に感じてくる。

それでいい、もっとくるがいいべ。


「貴様、いい加減に…ぐう!? 何だ? 体から力が抜けてくる!」


読みどうりだ、あれだけの身体能力を上げる、劇薬、十界仙とはいえ、何の反動もなしに行使出来る訳がない。


さて…ここからが、本番だべ。


「小僧、この瞬間を待っていたのだな、小賢しい真似をする、だが、薬は一つだけではないわ!」


「何!?」


修羅一丈は懐から、小瓶を取り出し、それを飲み干した。


やられたべ、あんな劇薬を二本も持っているとは…。


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