第9話 東堂明、修羅一丈の押し問答の巻
荒木殿は壁に叩きつけられ、握っていた刀を落とし、そのまま意識を無くしている!!
これは、不味い!!
荒木殿がこのままだと、斬られると思い、荒木殿に刀を振り下ろした、修羅一丈の背中へオラは刀を振りかぶる。
「小僧、遅いぞ! それで俺を斬れると思っていたか!!」
何と…もう一振りの脇差しで、オラの全力の一撃を背中越しに受け止めたんだべ。
「一撃とはな…こうやって斬るのだ!」
修羅一丈は荒木殿に振り下ろした、刀の軌道を変え、オラには有り余る膂力のこもった一撃を横薙ぎに斬り掛かった。
それをギリギリで刀で受け止める。
受けた手が、身体がビリビリするほどの衝撃が来て、耐えるのも、凄くしんどいんだ、
そんな斬撃を放った、修羅一丈がオラに問う。
「小僧、何故、そこまでして、カスミ姫を守ろうとする? 愛か恋か忠義か、それともそれらに勝る大義がお前にはあるのか?」
「大義とか、オ、拙者には分からん、だが…天童みたいな悪漢にむざむざと、渡すなんて…そんな真似は出来ん!」
「ハハ、侍の鏡だね、でもな、小僧…天童様に渡さなければ…天変地異がこの国を襲うぞ、無辜の民も大勢、死んでゆくだろう…人一人の犠牲で、大勢の民は安寧を約束されるのに…お前は民を見殺しにする気か? 」
「そんな、状況を生んだのは…天童だろう、これまで、幾人の姫様を犠牲にして、民の安寧を図るなんて…そんな歪んだ世界は拙者が否定してやる!」
「分かってないな…天童様の寛大な心でこそ、姫一人でこの国の平和は約束されているのに、君は馬鹿なのかな」
「馬鹿で結構、お主を斬り、カスミ姫様を守る」
修羅一丈は、刀の力を緩めず、そのまま、オラを弾き飛ばし、間合いを取り、更に語る。
「無知なお前に、良いことを教えよう…この国の真に平和を守ってるのは、天童様だと言う事を!」
「それが、戯言だと…」
「戯言ではない、徳沢幕府に代々、生まれる姫には、特殊な力がある、それを応用してこの国の大地を安定させる天童様の術、
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