第8話 東堂明、脅威の剣士、修羅一丈と刀を交えるの巻

―――――互いの技が交差した、その刹那!


バキンっ!!


刀身の折れる鈍い音が鳴る。


「小僧……貴様、名は?」


大鬼獏良を刀諸共、斬り伏せて、そのまま、前に崩れるように倒れていく、その男は、オラの名前を聞いて来たんだべ。


「東堂明だ」


「東堂明か…いい名だ、もし、天童様に仕える事がなければ…別の出会いなら…友として会いたかった…」


「拙者もだ、大鬼獏良…だが、今生ではこれで…さらばだ」


「ああ…これが死か…さらばだ、東堂明」


人の道を外れた、剣豪はそこで、こと切れた。

強かった…だが、戦いは終わってない、残り二人を斬らねば。


修羅一丈と刀を交えてる、荒木殿の方を見る。

苦戦してるようだべ…


聖来暗転菩薩を相手してる、土御門殿の方も見る、こっちは術師同士の戦いで、互角の戦いをしてるように、見受けた。


ならば…苦戦している荒木殿の方へ、拙者は向かった。


「東堂!お主、相手は!? いや、愚問だったな、その様子だと勝ったのだな」


「ええ、荒木殿、加勢するでござる!」


その様子を見ている修羅一丈は、笑っている。


「そうか、大鬼獏良を倒したか…小僧、貴様、天童様に仕える気は?」


「ない!」


「そうか、そうか、俺は…悲しい…剣友の大鬼獏良を亡くし、そして倒した男は、せっかく空いた十界仙の席を断った…」


「だから、どうした! カスミ姫様を人身御供として求めている貴様ら、天童に十界仙はただ、斬り伏せるのみ! 覚悟致せ!!」


オラの発言に修羅一丈は、更に笑い…いや、泣いているのか!

剣友である大鬼獏良という男は、この男にとっては、それだけ、かけがえのない人だったか。


「決めた…小僧、そして、荒木又左衛門、お前達を全力で斬る、友の仇を取る!」


修羅一丈はそう言い、懐から小瓶を取り出し、栓を開け、飲み干していく。


すると…


禍々しい剣気が身体から放たれ、風で運ばれた枯れ葉が次々と、弾けていく。


これは!


「十界仙、人慨剣士じんがいけんし修羅一丈、これより、天童様から授かった秘薬をもって、貴様ら二人を斬る!!」


速い!? 修羅一丈がこちらに駆けてくる。


どちらにその刃を向けてくるか…


「東堂! そっちだ!!」


荒木殿が必死の形相で、こちらに言う。


「遅いよ、さらばだ、小僧!」


「くっ…」


激しい風圧を纏った突きをオラに、放って来たべよ、横に躱したが、突きは着物ごと胴体を掠めた。

大鬼獏良の時に受けた額の傷より、更に、鮮血が辺りに散る。


な、なんちゅー突きだっぺ…元々、凄まじい使い手が天童の秘薬とやらで、身体能力が格段に格上げされてるんだべ。


「東堂!?大丈夫か!!!」


「人の心配をしてる余裕はないよ、荒木又左衛門!」


次は荒木殿に斬り掛かった。

受けに回った荒木殿は、修羅一丈の刀を受けたまま、そのまま、後方へ吹っ飛ばされていき、壁に叩きつけられた。

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