児童文学によせて 3 捨てた指輪
あんらん。
捨てた指輪
『指輪物語』は指輪を捨てに行く物語です。
ちいさい人といわれた「ホビット」が悪の巣窟にある火山へ、艱難辛苦を乗り越えて指輪を捨てに行くのです。
これが児童文学なの?と思いましたが、このちいさい人がキーだということ。
かつて大手の出版社で、少年少女向けの海外作品を多数翻訳してきた、瀬田貞二氏が翻訳を手がけました。優しさの中にも格調高い語り口です。
映画も大ヒット。『指輪物語』の前段『ホビットの冒険』も大成功でした。
主人公のフロドは頑張りましたが、それ以上に従者サムが健気でしたね。
トールキンはこれらの物語を自分の子どもたちの寝物語として作り始めたとか。
壮大すぎてかえって眠れなくなってしまったのではないかしらん。
王道の「ファンタジー」世界を作り出したその原動力は、子どもたちのためにという思いから。
それにしても、世界観がまた途轍もなく壮大すぎますね。登場する種族の言葉から作り上げたといいます。言語学の教授ですから言葉に関しては専門だったようです。
出版されベストセラーとなり、米国では「ガンダルフを大統領に!」などという多くの声が読者から上がったそうな。指導者、統率者としての描写に強く憧れた者が多かったということでしょうか。
二度の結婚経験者のわたし、最初の指輪を捨て第二の人生を始めたわけですが、捨てるまでにはやはり山あり谷あり。火山めいたものも目の当たりにしました。
二度目の指輪はパートナーの亡き両親のものをリメイクしたのですが。
特に希望したわけでもないのに、製作者の好みで「指輪物語」仕様でした。
「どうですかこれ、あの映画に出てきた指輪と同じデザインですよ」
ドヤ顔、得意満面の製作者でした。
(また捨てることにならなきゃいいけど・・・ちらりと脳裏をかすめましたが)
こちらは「すべてを統べる」永遠の指輪にしますけどね。
ひとつ気になることは、フロドが運んでいた指輪、初めの所有者とは体格的に大きく違うのに、嵌めたとき、よくすっぽ抜けなかったなということ。
数えるくらいしか指にしなかったけれど、最後は取り合って指まで噛みちぎられることになったのに、しっかり指にくっついていたのはやはり魔力のせいなのね。
とはいえ、指輪は権威の象徴だったり、愛の証だったり、幸運を運んでくるものだったりします。捨てることなく、奪い合うことなく、大事にしたいものですね。
児童文学によせて 3 捨てた指輪 あんらん。 @my06090327
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