ジェシカの摘んだコスモス

「ん……」



自室で、目が覚めた。


まだ、外が仄暗い。



ニコニコ


ニコニコ


ニコニコ


ニコニコ


ニコニコ


ニコニコ……



壁に掛かったニコニコ時計が、六回笑う。


(早く、起き過ぎたな……)


俺は、目を擦り乍ら、隣で眠るモモを見た。


「ムニャムニャ……クーヤぁ~……♡」


寝言で、俺の名前を呼んでいる。


俺の夢でも見てるんだろうか。


その頬に軽く触れて、俺はふと、窓の外に視線を移した。


(……あれ?)


洗濯物が干しっ放しジャマイカ。


モモの奴、昨日、取り入れ忘れたのか。


これじゃ、朝露で湿気る。


俺は、残った洗濯物を部屋の中に取り入れようと、窓を開けた。




その時だ。


窓を開けると。



「(´_ゝ`)」



「?」


禿頭の不審な男と、目が合った。


あ、これはどうも……と挨拶しようとして、俺は、彼が高く上げた腕の先を、目で追ってみた。


その手は――――――。




 パンツ    Γ\ ))

  パンツ   |8 )

      _  ∩ノ

   __(_゜Д゜)彡

 〃(\ ∞ ⊂彡

   ヽ)_ノ|  |

     し⌒J



「ファッ!?」


な……何だこの男は!


それは……それはモモの!


「返せ!!ゴルァ」


「お断りします♪」


((゜∀゜メ)ブチブチッ)


と……兎に角、それを他の男に渡す訳には行かん!


俺は、枕元の数珠を掴むと、パジャマの儘、外へ飛び出した。




「全く……何だってこんな時間に、うちの庭に居る!?」


「俺の名は、ジュウベエ!


 早朝ジョギングの途中で、通り掛かったのだ!


 俺は、健康の為、毎朝10km、走る事にしている!」


ジュウベエと名乗る男は、腰に手を当てて、ムンッと胸を張った。


婦女子の下着を片手に威張られても、説得力が全く無い。


(どう取り返す……?)


俺は脱力し乍ら、奴の動きの隙を探った。




ジュウベエとのバトル!


(※20ターン経過)




(まずい……この儘では、逃がしてしまう)


「フッ……どうした!」


    ●

  ('A`)ノ ハッ !!

  (ヽ)

 <●>


 ●

 (('A`)  ハッ !!

  ( ノ)

 <●>


 ●   ●

 (('A`)ノ ハッ !!

  ( )

 <ω>


「!!!」


ヘ……ヘムタイだ!


早く何とかしないと――――!




「ムニャムニャ……クーヤぁ~♡」


『ゴンッ!』


その時、寝返りを打ったモモが、ベッドから転落した。


俺に抱き付こうとしたらしい。


「馬鹿だなぁ……」


「フニャッ!☆」


モモが目を覚ました。


「んん~?何の騒ぎ?」


「わ!モモ!見るんじゃない!」


「んん~?」




(~ω~)?



そこには、下半身を露出した、産まれた儘の姿のジュウベエが。



(~ω~川)……!?



「い……嫌ぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


(~ω~川)

  ⊂彡゜パーン




「(##)´_ゝ`)ゴハァッ!!」


ジュウベエは、モモのビンタをまともに喰らって、吹っ飛んだ。


「やれやれ……」


ジュウベエの持っていた、モモの下着は――――――∞





ふわりと―――∞





宙を―――――∞





舞って……∞





舞って……∞





ふぁさっと……∞





俺の……∞





顔に―――――∞




「ヘムタァァァーーーイ!!!」


(~ω~川)

  ⊂彡゜パーン






……俺の頬に、ヤツデの葉の様な、真っ赤な手形が付いた。



その後、事情を知ったモモに、MPが尽きる迄、ヒーリング魔法を掛け続けられたのは、言う迄も無い……。

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