第8話 反撃開始
「やめてください」
六回目の彼女の助けを求める声を僕は耳にした。
内心、ちゃんと生きていることが確認出来て少しホッとしつつもヤンキーとの戦いに向かう為に自分の頬を叩き、己を鼓舞した。
「お前ら、彼女のことを離してやれ!!!」
ヤンキーたちがいつも通り、「あん」だの「うん」だの言って僕にメンチを切ってくる。
「さっさとかかってこいよ。この馬鹿ども」
僕はあえてヤンキーたちを挑発した。
「お前、ぶっ殺す!」
ヤンキーAが殴りかかってくる。
僕はサッとかわし、さらにヤンキーAのポケットからナイフを奪う。
「なに!?」
ヤンキーAはあまりにも想定外の出来事に驚きを隠せないようだった。
次にナイフを取り出してくるのはわかっているので僕は先に手を打つことにしたのだ。
「おせぇよ」
僕はヤンキーAを睨みつけた。
ヤンキーAは僕から放たれるオーラにビビったのか、ヤンキーBと Cに声をかけ、一気に僕に攻撃を仕掛けることにした。
「いくぞ!お前ら!!」
三人が同時にやってくる。
だが……遅い。遅すぎる。
「だから、お前らは駄目なんだよ」
僕はそう呟くと、ヤンキーたちの攻撃を軽くかわしながら一人一人の腹に拳を叩き込む。
「くそっ!絶対殺す!!」
ヤンキーAが雄叫びをあげる。
もう一度、立ち向かってくるヤンキーAの拳を僕は手で払い退け、回し蹴りを決める。
「ぐわぁ!」
ヤンキーAは見事に倒れた。
「強え…」とヤンキーBが呟き、ヤンキーCもオタクにヤンキーがやられるという現実が信じられないのかフリーズしてしまっているようだった。
「さっさとかかって来いよ!この雑魚どもが!」
僕は二人を睨みつけて強く言った。
鬼塚って大男が来る前にこいつらを片付けて、絡まれていた由美さんを救わなければならい。
もう時間があまりないはずだ。
理想はさやかが来る前に倒してしまいたいところだが間に合うか……
「だから、さっさと来いよ!このクソども!」
僕はヤンキーBとCをさらに挑発した。
昔の僕ならあり得ないセリフが次々と出てくるので内心自分でも信じられない。
でも、僕はもう僕以外の誰も死んで欲しくない。
死に戻れば元に戻ることはわかってるが大切な人、好きな人が死ぬのを見るのは嫌だ。
絶対嫌だ。
仮にどんな理不尽が待ってようとも僕は戦う。
「この野郎!!」
ヤンキーBとCが僕の方に向かってくる。
僕は二人の攻撃をかわしては反撃し、じわじわと二人にダメージを負わせる。
「すごいじゃん!隆弘!」
僕の後方からさやかが猛ダッシュでやってきた。
「さやか!」
僕がさやかの存在に気づいた頃には、ヤンキーBのすぐそばまでさやかは接近し、腹を殴った。
「ぐはっ!!」
これなら勝てる。
あの鬼塚が来る前にこいつらを倒して、由美さんを助ければいい。
「さやか、早かったな」
「いやいや、来る約束してないから」
「あ、そうだった…」
僕は未来を知っているが故にボケたことを言ってしまった。
「じゃあ、さっさと片付けますか」
さやかは構えた。
「うん、そうだね」
僕もゆっくり構えた。
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