第3話 情報収集をしよう

ジリジリ〜!


目覚まし時計が僕の枕元で鳴っているようだ。


僕は眠い目を擦りながら、目覚まし時計を止めた。


あれ?僕、確か死んだような……


いつもと変わらない自分の部屋のベッドの上で僕は目を覚ました。


「あれは夢だったのか」


僕は一人で呟き、起き上がった。


部屋のカーテンを開けると、天気は良く、少し頭痛はするが、少しだけ爽やかな気持ちになれた。


それにしても、あの行動は僕らしくなかった。


でも、リアリティがあって嫌な夢だったな。


だって、自分がヤンキーに殺される夢とか本当に最悪だ。


「いや、ちょっと待てよ!あれは夢ではないぞ!」


僕は2回も死んだことを思い出した。


1回目は階段から落ちて死んだ。


2回目はナイフで刺されて死んだ。


やっぱり僕は死んだら過去に戻ってしまうらしい。


僕は慌てて、キッチンに行くと、母さんが買って来てくれたマスドの新作ドーナツがあるのを確認した。


「やっぱり、僕はタイムリープしている」


僕はどうやら何度死んでもこの時間に戻ってしまうようだ。



僕は前回と同様に学校に行った。


そして、午前の授業が終わると急いで昼ご飯を食べて図書室に向かった。


タイムリープについて調べてみようと思ったからだ。


ネットで調べても情報がまとまってないのでこういう時は本の方が効率がいい。


と、昔読んだラノベの主人公が言ってたのを間に受けてやってみているだけだが……


どこまで本当か怪しいが、超常現象をまとめた本を見つけたので手に取ってみた。


UFOやエイリアンの存在、ビッグフット、ネッシーのことなどの中に、タイムリープのページがあるのを見つけた。


読んでみると、どうやらなんらかの影響で魂だけ過去に戻ってしまう現象に僕は見舞われていることがわかった。


魂だけが戻っているので記憶しか引き継がれず、身体は過去の自分のままであるところがタイムトラベルと少し違うところだ。


やはり、僕はいくら身体を鍛えてもヤンキーの腕力には勝てないということだ。


死に戻りして引き継げるのは知識であったり、身体知の類だ。


そう考えると、何度も死に戻りをして実践を積み、戦うための知識をこの図書館で書物から学べば2度も僕を殺したヤンキーに勝てるかも知れない(これからさらに殺されるかも知れないが…)。


そして、彼女を救うことができるかも知れない。


いや、ある意味、今の僕は不死身なわけだから救えるまで何度も繰り返せばいい。


そして、彼女を必ず救う。


僕は次に格闘技や護身術の本を調べてに別の棚に向かった。


「まずはナイフをどうにかしないといけないな」


僕は一人で呟きながら手に取った護身術の本のページをパラパラとめくった。


そこにはちゃんと相手がナイフを持っていた時の対応が書かれていた。


僕は「なるほどなぁ」と思いながらスマホのメモ帳に要点をメモしていった。


僕はこんな感じで護身術などについて学んでいった。


「おい、今日なんで部室に来なかったんだよ!」


健太が図書室から帰る僕の背中に向かって言った。


「あ、健太」と僕が振り返ると、健太は「何が『あ、健太』だよ!」と僕の肩を軽く叩いた。


僕は健太に叩かれたところを撫でながら、「ちょっと調べ物があって図書室に行ってたんだよ」と応えた。


「なんだよ。調べ物って。せっかく、面白いラノベ見つけたからお前にも教えてやろうと思ってたのに」


「そっか、じゃあ明日は部室に行くわ」


「おう、じゃあ明日な!」


僕はあえてヤンキーに勝たないと来ない明日に健太と約束を交わした。


僕は午後の授業はずっとヤンキーとのイメトレの時間に費やした。


絶対、あいつらを倒してやる。


さもなくば未来は来ないんだ。


ヤンキーをボコボコにする想像をしていると、昔小学生の頃に同じクラスのやんちゃな奴らにボコボコにされた記憶を思い出した。


昔も僕は大人しいキャラでスクールカーストも最下位のイケてない小学生だった。


「お前、チクったろ?」


クラスで一番やんちゃな拓也君が僕の胸ぐらを掴んで言った。


「えっ、なんのこと?」


僕は本当に何のことかわからなかったので正直にそう言っただけだったのだがそれが良くなかった。


「お前、とぼけんなよ!」


拓也君は僕の顔面を思いっきり殴った。


どうやら拓也君は自分が花壇をめちゃくちゃにする悪戯をしたことを僕にチクられたと思ったみたいだった。


後々、わかったことではあるが実はチクったのは別の人間で、そいつが拓也君に僕が先生にチクったと吹き込んだのだ。


その後の僕の小学校生活は散々なものになった。


拓也君を中心とするスクールカースト上位の人間達が僕をイジメのターゲットにし、常に僕のことをイジメるようになったのだ。


はじめは教科書に落書きをされたりする程度のことから始まったのだが、いじめっ子達は弱い者いじめをする快楽を覚えたせいか、いつの間にか集団リンチにまで発展した。


さらに、クラスメイトはもちろんのこと、先生もこのイジメを見て見ぬふりをした。


先生は自分のクラスに問題があることを認めたくなかったようだった。


全くもって理不尽だ。


こんな理不尽なことがあってよいのだろうか?


いや、許されるはずがない。


でも、今の僕は理不尽に対抗する力を持っている。


「死に戻り」の力を使えば、この世界の理不尽にも勝てるかも知れない。


いや、勝たないといけない。


あのヤンキーに絡まれていた女の子も理不尽な目に遭っている。


そんな理不尽なことがまかり通る世の中は絶対間違っている。


僕はあのヤンキーを倒して、世界を少しでも正してやるんだ。


そう僕はこんな誓いを立て、もう一度ヤンキーとの戦いに向かった。

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