27‡
配信準備をしようとスマホを点けると『電話 純夜』の文字に指が止まる。”はて、なにかしたか“と一瞬疑問が過り、黙っていると裏口から「お邪魔」と佳佑と陽佑の姿。誰かと殴り合ったか怪我をしており、顔にある痣を見て言葉を探していると「悪いが高校生とコンカフェの奴らを使わせてもらった。クズ記者とクズ警察捕まえてよ。車のトランクにブチ込んでるが使うか?」と兄 佳佑が唇の血を拭いながら微かに嗤う。
「俺達が居ない所で楽しそうなことをしようってのは、どうも納得行かなくてな。強行突破だが高校生は意外と使える。いつもはアンタ一人だったが二人いると動きやすいもんだ。まぁ、アンタほどの実力はないが……」
“高校生”の言葉に「全くお前らは……」と和也は頭を抱えると背後から「ぐあっ」「ガッ」「だぁっ」と汚い声に体を向ける。
「あ、すみません。話の邪魔になるかと思い、気絶させただけなんでお構いなく」
Bがリング部分に指を引っ掛け、ナイフを弄ぶ姿に和也は怒りを堪えながら言う。
「どいつもこいつも少しは言うこと聞け。無計画に好きにやられたら困る。特に偽兄弟お前らと変態ストーカー。派手なことするな。心臓に悪い」と心配するが当の本人達は無関心。
「なんだよ。おまえが証拠消してくれるだろ? それに……どうせ責任問われるのはこっち。心配なんていらない」
強気な圭佑の言葉。そして――「あっそこの
それを止めるかのように「あの……」と恐る恐る裏口から入って来た純夜に和也は判断出来ず、がん飛ばすと「ひっすみません。帰ろうとした時に絡まれちゃって……ごめんなさい、ごめんなさい」と重視夜の平謝りに冷静さを少しだけ取り戻したか「子供を巻き込むな、このバカ共」とカウンターを思いっきり上から下に殴る。
「おいおい、Kさんよ。丁寧に扱ってくれ」
備品が壊されてはたまらん、とFが間に割り込むも「クソどもが!!」と暴言吐く和也に「誰か注射器持ってるか。安定剤切れてんだろ」とFが肩をすくめる。
「あ? これでも効いてる」
挑発的なFの言葉に和也はドス混じりの声で言うや「怒り狂うとヘマするぞ。少し頭冷やしてこい」と顎で何かを指すと「おい、和也」と恭一の声に振り向くと顔面に冷えピタが張り付く。
「……おい」
運良く咄嗟に目を閉じたため目に入ることはなかったが、ゲラゲラ笑う佳佑と陽佑の声に表に何かを掛かれていると察した和也は押し黙る。すると、Fが気になったのだろう。足音が近づき、覗く気配に「何が描いてある。顔が?」と問い正すと「いや『オレは糞です』って書いてある」。その一言に素早く外し床に叩きつけた。
「お前ら……全員罰としてゲームに参加しろ!! この糞ども!!」
白ける空間。
そこにカチッカチッと静かに秒針が時を刻む。
間が少し空き、何故か恭一、陽佑、佳祐、F、Bが「えー」と口を揃え。逃れそうと純夜とRが「ボク(ジブン)、何もしてないです!!」と全力で否定。
「あ? じゃあ、未成年はいい。おい、クソな大人」
未成年を省き、歳関係無く言いつけると「クソな大人ってアナタも該当ですよね?」と怖いもの知らずか。Bはナイフの切っ先で和也を指す。
「あぁ、確かに」
和也を除く皆、納得したように頷く。
「バカ、変態。このストーカー、お前……早めに首斬るからな」
和也はBを睨むも「そう言いながら手放さないのは優しさですか?」と煽る言葉に「もういい。さっさと準備しろ」と気絶している男達に目をやる。
「はいはい、では……準備しますので。しばしお待ちを。はい、クズさーん。やりますよ」
いきなり仕切るBに空気が怪しくなるも「わー。やるぞ」と棒読みで和也を拔くクズな大人動き出す。やる気のない声に「あの、いつもこんな感じなのですか?」と純夜はRにコソッと聞く姿に和也が「お前らの前だからふざけてんだろ」とさりげなく言う。
「へ?」
驚く純夜に対してRは苦笑。
「ジブン、いつも除外されてるからよく知らないけど……なんかさ。作ってると言うか……上手く言えないけど怖いわ」
Rの言葉に和也は「何が怖い。だいたい皆、そうだろ?」と何かを伝えるも分かりにくい言葉を返し、サバゲーのフィールドへ向かった。
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