第66話 魔女の家2


 くじらに食われた。

 そっから先は記憶がない。

 俺は、意識を失っていたのか……?


 次に目を覚ますと、知らない天井だった。


「知らない天井だ……」


 俺はわざわざ声に出していた。

 一度は人生で言ってみたいセリフTOP5に入るからな。

 ちょうど言えてよかった。

 まさかこのセリフを言うことになるなんてな……。


「おや、目が覚めたようだね」


 目覚めた俺たちの目の前に現れたのは――魔女だった。


 それはもう、魔女と形容する以外のなにものでもない、そう言った格好をしていた。

 いかにもな魔女の帽子に、杖、そして後ろの棚にならべられている怪しげな薬の数々。

 壁は一面本棚で埋め尽くされ、いかにもな魔女の家といった感じの部屋だった。


「あんたが……魔女……?」

「そうだよ。僕が君たちの探していた魔女で間違いないよ」


 そう言った魔女は、なんと僕っ子だった。

 ちょっとした萌えポイントだ。

 魔女さんは女性らしい美しい肢体に、真っ白な髪を長く伸ばしている美少女だった。

 でも、魔女とかいうくらいだからいったいいくつなのか想像もつかない。

 見ためはひかるんと同じくらい、17くらいに見えるが、魔女とかいうくらいだしな。

 こう見えて、300歳くらいのとんでもないばあさんかもしれない。


「なにか、失礼なことを考えていないかい?」


 俺は首を横にぶんぶんと振った。


「ていうかここは、どこなんだ……?」


 俺の記憶では、最後にくじらに食われたところまでしか思い出せない。


「ぼくの家だよ。とはいっても、場所はちょっと特殊でね」

「特殊……って、まさか……」

「そう、鯨の腹の中さ」


 すると、くじらがぼぉーっと鳴いた。

 家の中が揺れ、振動が響いてくる。

 たしかに、ここは鯨の体内のようだ。


「なんでまたそんなところに住んでいるんだ……?」

「魔女は秘匿主義でね。なるべく人に探されたくないんだ」

「その割には……情報屋で山の場所知れたけど……」

「ま、あの山を登ってこれる人物になら、会ってもいいとは思ってるからね。それに、もし会いたくない人物だった場合、そのまま鯨に消化してもらえばいいからね」

「うえ……」

 

 涼しい顔して、恐ろしいことを言うな、この人は。

 あやうく、俺たちがこの人に気に入られなかったら、そのままお陀仏だったかもしれないわけか。


「……っは! そうだ、よもぎ……! おもちは……!? だいふく、いなり……!」


 そういえば、周りにやつらの姿がない。

 俺はあわててあたりを見渡す。

 ってか、そういえばダンカメも知らないうちにどっかに行ってるな。


「安心して、彼らは別の部屋で遊んでいるよ。帰りにはちゃんと戻してあげるから」

「そうか……よかった……」


 ほっと胸を撫でおろす。


「あ、ダンカメは……?」

「ダンカメ? ああ、あれのことだね。あれは便利なものだねぇ。ちょっと借りてるよ。うちのプライベートを映されても困るしね」


 魔女のそんないいかたに、俺は疑問を持った。

 なんで、ダンカメがなんなのかを魔女が知っているんだ……?

 魔女は異世界の人間だ。

 だったら、電化製品やカメラなんか知らないはずだろ……?

 なのに、なんで映されても困るなんて言葉が出てくるんだ……?


「あんた、まさかこの世界の人間じゃないのか……!?」


 考えられる可能性としては、魔女もまた地球人だということ。

 俺たちと同じく、地球から、ダンジョンを攻略して異世界にやってきた人物だということ。

 可能性としては、ありえる。

 俺たちよりも先に、ひそかにダンジョンをクリアし、異世界にわたっていた人物がいても、おかしくはない。

 そして、彼女はそのまま魔女とあがめられる存在になったのだとしたら――。

 そんなストーリーは、しょうしょうできすぎだろうか。

 



============

『あとがき』


どうも、最近あまり書けてません

精神的にスランプです

なので毎日更新なるべく頑張るけど、昨日みたいに遅くなったり、止まるかもしれません

それでもゆっくり応援してくれたらうれしいです


みんと

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