16話 名ばかり皇子

 俺が最強とうたわれる皇国に生まれて、およそ7年の時が経った。

 前世の記憶を引き継いだ俺は、神童と名高い。


 使用人たちは「名君になる」と言ってくれる。

 とはいえ、もうすぐ貴族制度は消えるだろう。

 名ばかりでとても気楽だ。これからは国民から選ばれた代表者を選ぶ方式になるそうだ。


 父が事実上の最後の皇帝だ。

 皇室はもっと象徴的なものになるだろう。


 ただ一つ、この新しい人生に嫌な事がある。


 前世で革命のため死んだ俺には無二の友がいた。


 友は「お前のためにもこの革命は、必ず成し遂げる!」と誓ってくれた。

 そうして彼は革命をやり遂げた。やっと読めるようになった歴史書の最初の皇帝の名前に友の名があった。


 そしてこの国の名前は前世の俺の名前からとっているそうだ。勘弁してくれ…!

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