第7話 彼女が親に気に入られて妹になってしまった男

「ねぇ、私があなたの実家でどういう扱いを受けてるか分かる? 結婚の挨拶しに行ったのにあなたが部屋から出てこないから……」


「仕事ないって言ってたから紹介したけど、もしかしてうちってブラック企業?」


「もう結婚の挨拶じゃなくてただのバイトの面接になっちゃったし。働いてみたら……定時出勤定時退社で仕事もめちゃくちゃ丁寧に教えてもらって、あげくのはてには……」

「おっホワイト! あげくの果てに? もしかして?」

「私が天涯孤独の身だって知って……」

「いじめ?」

「養子にならないかって……」

「あれ? かおりちゃん何歳?」

「24歳」

「あぁ……。……妹よ……」

「ちょっと! まだ結婚もしてないのに、この村に伝わる迷信や家のしきたりまで教えられてるのよ……だから、蔵から出て一緒に逃げない?」

「いや、ちょっと所用の狩りがありまして……」

「こんな時にもゲームしてる!?」


「そりゃそうでしょ。ここ何だと思ってんの」

「二人で初めてボイチャした海辺」

「そう、あと俺、座敷牢なうだからちょっとね。家のことは残機いるから大丈夫大丈夫」

「双子の弟を残機っていうのやめなよ」

「今日はそんな話しにきたんじゃないでしょ……。知ってるよ?かおりちゃんがギルドのアイテムボックスに全部装備預けたこと」

「あなたと話して、決めようと思ったの。私もうこのゲームやめる」

「えぇ、あんなにレベル上げたのに?」

「さよなら、お兄ちゃん。」


「かおりちゃん……、お、本当にアカウント消してら……。……ふふ、お兄ちゃん、か」

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