第6話
「ルーナの剣術は誰にも負けないくらいの素晴らしいセンスだよ!」
「レオには勝てないけどね。」
「俺はただひたすら努力しただけだよwルーナは努力すれば俺なんかすぐ越せるよ」
「私はもっと強くなっていつかレオを超えるんだ」
「俺も負けないようにしないとな!」
〜
「私達の子、ルーナ。きっと素敵な魔獣人になるわ」
「お前の狼の血を強く引継いでるみたいだね、毛並みが素敵な子だ」
「人間と魔獣人、好きな方の道を歩んでくれたら私はそれで嬉しいわ」
「俺もそう願うよ。この世界がこの子を受け入れる事を毎日祈らないとだな。」
〜
『魔獣人の村だ!燃やしてしまえ!』
『殲滅しろぉ!!!』
「お前はルーナを連れて逃げなさい!」
「貴方も一緒にッ!」
「皆で助かる方法はもう無い!」
「お母さん…怖いよ…」
「貴方…ごめんなさい…」
「人間め、協定を結んだくせに思い知らせて殺る」
『居たぞ!総員戦闘準備!』
「お母さん…お父さんは…?」
「…お父さんは……。」
「…?お母さん?」
『まだ残りが居るはずだ!1人残らず殺せ!』
「る、ルーナ!逃げるわよ!」
「でもお父さんが…」
「ルーナ、お父さんとの繋がりは忘れないのよ」
「…?うん。」
『おい!こっちから物音したぞ!』
「ルーナ!先に逃げて!」
「いやだ!お母さんと離れたくないよ…」
「ルーナ。貴女は素敵な子になるのよ。」
「お母さーーーん!!!」
…はっ!はぁはぁ……。
私は飛び起きた。体は汗でびっしょりだった。
まだ月は昇っている。そんなに長い時間は眠っていないのだろう。
短い時間で凄く嫌な夢ばかりみた気がする。
まだ心臓がバクバクしているのがわかる。
私はゆっくりと呼吸を整えながら木から降りた。
食事は取る気にはならなかった。
ふと空を見上げると満月と数多の星々が照らし、
自然な光がこの星を照らしている。
よりによって満月かと、自分の血が少し騒ぐのを感じつつ、私は自分の呼吸を整え終えた。
そして荷物を片付けて、まだ静かなる海の方へと向かった。
静かなる海の砂場は波の音と虫達の音色で心地が良かった。
海の方を見ると波は穏やかで、満月と星々が海に反射してとても綺麗だった。
私は魔獣人であるからか、狼として満月を見るとどうしても興奮気味になってしまう。
誰とも出会いたくないなと思っていると、そんなことをちゃんと裏切る様にゲートが現れた。
「今夜は月が綺麗だね、ルーナ」
「1番会いたくない人がお出ましか…レオ…」
「顔色が良くないね、ルーナ」
「レオ、お前には関係ない…」
「会議に来なかったね?何故?」
「私は…人間の味方でありたい…」
「魔獣人なのにかい?しかも生まれつきだと言うのに。」
「生まれつきか与えられたかは関係ない。」
「まぁ確かにそうだ。俺の方が強いしな。」
「…。」
「今宵は満月だ。ルーナ、本能に従ったらどうだい?」
「うるさい!レオもダークマスターも私に関わらないで!」
「それは不可能な願いだね。まぁ今日は暴れなよ。ルーナ?」
気がついたらレオの手には黒い光が集められていた。
私はあの黒い光が魔獣人にする光の他に、魔獣人を凶暴化させる光だと知っていた。
避けなければと思うのに、本能は暴れたいという矛盾したふたつの感情が体を硬直させていた。
そして動けない私を嘲笑うかのようにレオは黒い光を私に投げつけ、私は包まれた。
私の体は無意識に魔獣人となり、前回の時と違うのは理性が切り離される感覚。
『ぅア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』
「意識が無くなるまで楽しみたまえ。ルーナ。」
レオの言葉なんか耳には入っておらず、ただ血に飢える獣として、そこに凶暴化した魔獣人がいた。
後に静かなる海での惨劇として語り継がれる程に…。
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