第4話

私はあれから月が高く登る夜に目を覚ました。何日程眠っていたのか分からなかった。

久しぶりの魔獣人化で相当体力を使ったらしい。日付を確認すると5日ほど眠っていた。体が鉛のように重い…。

人間、数日寝たきりになっただけで筋肉はかなり

衰える。5日はかなり筋肉は衰えたはずだ。また鍛え直さねばと遅くに私は決意した。

「その前に…腹減ったな…」

家にはパンがあったがもっとガッツリしたものが食べたかった。外食をしようと思い、ベッドから立ち上がろうとした。が、思いっきりふらつき床に手を着いた。

「我慢するか…w」

そして家に残っていたパンにジャムを塗り、ゆっくり噛み締め、変わらない生きているという日常を噛み締めるように食べた。

食べ終わったあと、私はあの全滅させてしまったパーティを思い出し、悔しさが全身を巡った。自分の力不足、周りの把握能力があれば守れたと。悔やんだところで死者は蘇らない。

この世界で死人が出るのは少ない事では無い。力のない村人などは日々魔獣に怯え生きている。生と死を隣り合わせに。

私は元々剣術のセンスは元々あった方らしく、男性にもほとんど負けない程には剣さばきが良いらしい。さらに体術もそれなりには出来た。そんな私の戦う動きと、雇われとして、剣士さんと呼ばれることが多い。

まぁ戦う人は剣士なのだから違いないと呼ばれ方なんか些細な事と気にせずにいた。

だがあの新人の魔法使いの少女に何度もそれを呼ばれたのに守れない私は本当にただの剣を振るう剣士なんだと思った。

雇われの身とはいえ自由に動くことは出来る。私は明日から修行の旅に出るかと考えていた。ここの町は来てまも無いが、住みやすい場所だった。だが、長居する理由もないしなと。

そんな事を思っていたら鳥達のさえずりが聞こえてきた。さすがに寝ずに出発は体に悪過ぎる。私はまた自分へ負担をかける旅に出る為に、再びベッドに入り数時間眠りについた。


お昼に近い時間に私は目を覚まし、そしてギルドマスターに声をかけた。

「お?ルーナどうした?」

「私は旅に出ようと思います。なのでこの町から出ようと思い、最後の挨拶をと。」

「この前の事故を気に病んでいるのか?確かに悲しい事故だが、冒険者になるということはその覚悟をしたのも同然。ルーナが気にすることじゃないんだぞ?」

「確かにそうですね…。ただ私の力不足は紛れもない事実なので。」

「もう覚悟は決めてるみたいなら俺は止めないさ。ルーナ、元気でやれよ。」

「ありがとうございました、ギルドマスター。」

そういい深くお辞儀をひとつした後、私はこの町を後にした。


ルーナの後ろ姿を見送ったギルドマスターは少し寂しそうな顔をしていた。

「ルーナ、お前は悪くないのにな。責任感は強いが心は強くないお前は、もっと強くなれよ。」

そんな独り言が誰の耳にも入ること無く、ギルド内の賑やかな声の中に消えていった。

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